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最強のお嫁さんが俺を甘やかします ~もう頑張らなくていいんだよ!~  作者: 灯色ひろ
第十二章 花婿の決着編

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シスコン

 エステルが呆れたように言った。


「騒々しいわね。せっかく良い気分だったのだから、邪魔をしてないもらえるかしら。特にそこの大男。無性に気に障る顔をしているから近づかないで」

「あ゛?」


 ヴァーンが眉をひそめる。


「私の美貌に惹かれてしまうのは無理もないけれど、まったく趣味ではないの。この私に失礼を働いたことを土下座して謝罪し、海に沈んでくれる?」

「あ゛あ゛あ゛あ゛~?」


 ヴァーンの額にピキピキと血管が浮き上がる。


「野蛮な男にはこりごりだわ。ここのバニーガールたちを全員引き取って、どこか静かなところに屋敷を建て、妹ハーレムでも作りましょうか。ウフフ、それもいいわね」

「ツルペタの処女が何言ってんだ。しっかりしろオイ」

「おこぼれにでも預かりにきたのでしょうけれど、あいにく恵んであげられるコインはないわよ。さっさと消えなさい豚さん。私は子ウサギちゃんたちの相手で忙しいの。あなたたち、おいでなさい。全員私が引き取って、妹にしてあげましょう」

「ああ……親愛なるお客様の意のままに……」


 エステルの周りに集まるバニーガールたち。互いにキラキラと見つめ合い、寄り添い合って、なんだか妖艶な雰囲気漂う大人の空間になってしまった。


 ヴァーンが眉間に濃い皺を寄せながら、しかめっ面でクレスとフィオナの方を向く。


「オイ。オレもこんくらい寝ぼけたヤベーヤツだったか?」

「い、いや、どうだろうか……」

「うう……エステルさぁん……。クレスさんっ、エステルさんも早く――!」

「む。そ、そうだな」


 うなずいたクレスは、剣の鞘を持ち上げてエステルの方へ向ける。


「……? 貴方、そんなものを向けてどういうつも――」

「すまない、エステル」


 コン、と優しく頭に乗せる程度の強さでエステルの頭を叩くクレス。その瞬間、エステルの目がハッと大きく見開かれた。

 ヴァーンがまじまじと見下ろす。


「ほぉ、これで元に戻んのか? ――ってオイコラクレス! オレ様のときとずいぶん違ぇぞ! お前さっきはおもいきり振り下ろしたじゃねーか!」

「エステルは女性だぞ。何より大切な仲間だ。そんなことが出来るはずがない」

「オレは大切な仲間じゃねぇの!?」

「もちろん大切な仲間だが……ヴァーンの場合はああした方が良い気がしたんだ。お前は強いからきっと耐えてくれると信じていた。ありがとう、ヴァーン」

「マジな顔して爽やかに微笑むな! オレへの評価を見直せ! ありゃ下手したら死んでんぞ! オレ様だから耐えられただけだぞ! わかってんのかクレス!」

「わかっている。お前は信頼出来る大切な仲間だ。これからもよろしく頼む」

「ハイハイこちらこそよろしくねぇ!」


 投げやりに同意して槍を抱えたまま対面のソファに寝転ぶヴァーン。


「……貴女たち、離れて、もらえるかしら……」


 その言葉に、バニーガールたちがすぐに身を引く。


 囲まれていた女性――エステルがうつむきがちにつぶやいた。


「……忘れてちょうだい」


「む?」「え?」「は?」


 クレスたちの反応に、エステルは顔を上げることなくもう一度言った。


「お願い。忘れて、ちょうだい」


 クレスたちは目を丸くし、それから、クレスとフィオナが顔を向き合わせて小さく笑った。

 横になっていたヴァーンが吹き出す。


「……ぶふっ! わ、忘れろ? 忘れろってのはアレか? オメーが室内でグラサンなんかして成金みたいに振る舞ったあげくバニーガール共集めて妹にしてあげるなんて乳繰り合ってたことか!? ぶわははははは! あんなアホみてぇな勘違い女の末路忘れられるはずねぇだろ! ヒーヒー! 面白すぎて腹がよじれるぜ! つーかお前ホントシスコンなのな! よかったなァ一時でも妹ハーレムが作れてよぉ! お前みたいな女にはそっちの方が似合って――ブゲラァッ!?」


 天井から巨大な氷が落下し、ソファ上のヴァーンを押しつぶす。エステルが持つ細身のステッキからは魔力が拡散しており、バニーガールたちが蜘蛛の子を散らすように逃げていく。


 クレスとフィオナは、おそるおそる声を掛ける。


「……だ、大丈夫だエステル。じきに、忘れるだろう……」

「あの、エ、エステルさん。大丈夫ですよ。わたしたちもみんな、お、同じような感じなので……」


 エステルはソファの上で子どものように縮こまって膝を抱きながら、前髪の隙間からクレスとフィオナの方を見上げる。


「……クーちゃん、フィオナちゃん…………ありがと……」


 そうつぶやくエステルの耳は、赤く染まっていた。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんな状態になってても何となくヴァーンのことが特別なの尊い
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