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二人の婚姻譚《ものがたり》

 ――恋愛とはなんと難しいものか。


 勇者クレスは彼女に出逢って、初めてそんな当たり前のことを知った。


 戦いばかりの人生だった。

 魔物を退治し、魔族と戦って、魔王を打ち倒し、世界に平和を取り戻す。


 そのために身体を鍛え、剣を学び、魔術を覚えた。強くあろうとした。

 今までの人生に必要なものは、それだけだった。


 同年代の少年少女たちがしてきた当たり前のことをほとんど体験せずに大人になってしまった勇者クレスには、女性とどのように接していいのかがわからない。恋愛など、それこそ未知の世界だった。

 

 だから、目の前で真っ赤な顔をしながら涙を浮かべている彼女に、どんな声をかけていいのかわからない。


 心臓が熱くなる。


 わからなくても、やることは決まっていた。


 もう決めたのだから。


 彼女と人生を共にすることを。


 初めて愛おしさを知った彼女と、添い遂げることを。



 だからクレスは、逃げることなく彼女と目を合わせた。


「フィオナ」


「は、はい」


 そして、言った。



「君の……胸を吸わせてほしい!!」



「…………ふぇっ!?」



 かつて世界を救った勇者は、不器用で、誰よりも真っ直ぐな男だった。


 そんな勇者を救った少女は、優しく、誰よりも深い愛情を持つ少女だった。



 まだ、何も知らなかった二人。



 これは、恋愛初心者の二人が想いを紡ぐための、愛と希望の婚姻譚ものがたり

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