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派遣労働者はガイドストーンへ

『ここだろ?』


『例の場所ていうのは……』


『ああ……政府の特定秘密保護法とか言う法律で管理されているらしい。』


『契約時に滅多なことは言わないようにと念をおされたろう……』


『共謀罪とかでパクられるぞ、気を付けろ。』


席を隣り合わせた二人の若者が小声で話す。


派遣会社と契約し低賃金で雇われ建設現場へとバスで運ばれる若者たち。


ゾロゾロと高いフェンスで囲まれた円形の空き地。


かっての希望の広場と呼ばれた場所へ降り立った。


無造作に山積みされた建設用具、シャベルやツルハシ、ヘルメットそして作業服。


現場監督らしき男が前へ歩みでた。


その出で立ちに首を傾げる派遣労働者たち。


『あいつ何でナチスのSSみたいな格好をしているんだ?』


『腰に下げているのはサーベルだろ……小銃を携帯する必要があるのか?』


ザワメキたつ派遣労働者たちを尻目に一段上がった、お立ち台へと昇る現場監督。


『諸君!、栄誉あるガイドストーンの建設に、よく志願してくれた。』


『君らへの報酬は巷の比ではない。』


『契約時に話された一日ろ労働八時間に対し10000デナリを支給する。』


『十分に励んでくれたまえ!』


『何か質問が、あればこの場で訊ねなさい。』


二人の若者は顔を見合わせて小声で呟いた。


『デナリてなんだ?』


『円じゃないのか?』


現場監督は前列の二人の若者に前に出て話すよう促した。


『監督、デナリていうのは、何なんです?』


『デナリとは、この自治区で通用する新たな紙幣だよ。』


『無論、この自治区内にあるプロビデンス銀行で円に換金することも可能だ。』


『他に質問は…………』


『無いようなら、各班のリーダーの指示に従い建設作業にかかってくれ!』


『以上だ!』


若者たちは5人組のグループに分けられ各々の班にリーダーが指名された。


リーダーは作業監督から細部の作業指示を受けて作業員たちへと伝達した。


まず手始めに残骸となっている七っ星の希望のモニュメントを片付けることからはじまった。


『これって、貧民解放運動家たちのシンボルだったんだろ。』


『ひでえことを、しゃがるなぁ……プロビデンスていう奴等は。』


『おい、見回りのプロビデンス社員に聞こえるぞ。』


『余計なことは考えずに作業を済ませてあ、今日の報酬にありつこうぜ。』


『ああ……そうだな。』


『俺たちには今日、生きていくことが精一杯だ。』


政治無関心民衆(ノンポリ)を大量生産するプロビデンスの計画は着々と進展していた。


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