光増す希望の七っ星の女神
声がした方へ顔を向けたマラルタ.トリッキー隊長。
射撃の的にされていた三人の博士も、声の主である老人に見覚えがあった。
しかし、おぼろ気ながらの記憶のためハッキリとは思い出せずいた。
マラルタ隊長は老人と、その後ろにいる年若い少女に目を止めたと思うと顔を青ざめさせた。
曙の天使とも暁の巫女とも呼ばれる闇の支配者と黙される人物を老人は同伴していた。
『暁の巫女が、その物たちの頭脳を欲しておられる。』
『ここで無きものにするのは、いと安し、簡単なことだか……』
『バビロニア.タルムートつまりは借金奴隷制度の構築に一躍を担ってもらうこととする。』
マラルタ隊長は老人の言葉に、先ほどの経緯を話した。
老人は不敵な笑いを浮かべて三人の博士を眺めた。
『この、物たちの決心は、かなり固きものと思うが
いずれ強いられてでもなく、自ら進んで我らにに協力することになろう。』
三人の博士は拘束され護送車の後部座席に乗せられた。
老人と暁の巫女は、それを見届けると共にロールスロイスファントムに乗り込み去っていった。
一方、貧民解放運動の拠点、赤レンガ倉庫に集う
湾岸水滸伝の義兄弟たちも新たな活動へと軸足を移した。
マスコミはジェイドヘルムと呼ばれる貧民たちへ対する弾圧を報道せず
かえって現体制の格差社会を、さらに促進する報道ばかりを流していた。
各地に散らばる貧民解放運動の勇士たちを集結させるため
新たな旗頭としての地涌の女神、凛花の出現を知らしめるためネットワークを駆使したり
また人界作戦で街角に女神のポスターを貼り草の根運動に尽力した。
彼らの熱心な活動が実を結び気運は次第に高まりつつあった。
七っ星の旗を掲げる地より涌き起こりし救世の女神。
貧困と弾圧に喘ぐ人々の新たな希望の光がその明るさを増しつつあった。