子供を洗脳するカルマスクール
カラーンコローン)))))
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貧民層と呼ばれる自治区を周回するカルマ.スクールバス。
バスの屋根に取り付けられているマイクロホーンから歌が流れる。
就学児童を無料で学校まで送迎する。
ありがたいプロビデンス社会福祉促進会が寄与したものだった。
流れるメロデイーに乗せて『友愛』『平等』『自由』が賛歌されていた。
その軽やかで心地よい音律に子供たちは、いつしかメロデイーをハミングするまでなっていた。
送迎、学費、給食とすべてをプロビデンス社会福祉促進会が負担していた。
子供たちの家族である保護者はプロビデンスの政策に、いつしか迎合して感謝の念さえ心に芽生えていた。
貧民解放運動活動家たちの、熱い理念ほんの数ヶ月前までは賛同していたはずであった彼らがである。
プロビデンス自治区の巧みなプロパガンダにより人々は地涌の女神
忘れて去ろうとしていた。
誰もが支配されない社会、『真理』の具現化された世界の構築という崇高な志はいつしか風化しつつあった。
友愛、平等、自由、に加えて四つの車輪に数えられる最も大切な一つ。
『真理』がないがしろにされ、あたかも無いものかように闇から闇へと葬られていた。
人々にとつて最も大切なこの『真理』こそ万物の創造主、つまりは神との繋がりであった。
しかし、スクールバスの中には、三つ指針、友愛、平等、自由が大きく書かれていた。
『今日のお昼の給食はなんだろうね~♪』
『トウモロコシと牛肉、それに美味しいパン』
『プロビデンス農場から運ばれて来るらしいよ~♪』
純粋無垢な幼い子供たちは無料で配布される給食に毎日、喜んで学校へと向かっていた。
貧民街で暮らす彼らには日々の食料品を調達することさえ難しい世の中。
現実を受け入れるしか生きる術はない有り様であった。
バスの窓から見える光景は今の社会を写す鏡、そのもの……
空き缶を自転車に大量に積んで走る老人の列。
そこかしこに見られる段ボールハウス。
派遣切りに合い路傍に迷うハウジングプアやたち。
バイトやパートタイマーで幾ばくかの低賃金をもらうも
日々、食い繋ぐのが精一杯のワーキングプアたち。
好きな異性ができても不安定な生活で結婚や子供を持つことをあきらめた若者たち。
毎日のように、貧民街のどこがでのたれ死んでしまっている無縁仏となった老人。
もはや、このような光景は珍しくもなく足を止めて振り向く人もなかった。
超格差社会は日増しに成長をつづけている。
総中流と呼ばれた時代は、まるで遠い過去の歴史のように語られていた。
そんな中で、一人、セントラル広場で呼ばわる老人の姿。
『まもなく救世の女神が現れる!!』
『このような社会が永く続くことはない!!』
湾岸水滸伝の勇士に数えられる和多志老子であった。
『eとπとiに真理という一つ(女神)を加えよ!!』
『さすれば、全ては無に帰する!!』
『女神とともに、地より涌き出ずる七っ星よ!!』
『早、来たれーーー!!