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学食の日の夜⑩

「そろそろ本当のこと言ったほうがいいよ」とアリカ。

「そうですわ。本当のことを言わないと、何もできずにここで終わってしまいますわ。

 本当のことを言ったら内容によっては協力してあげることもできるかもしれませんし」とイリカ。

「……、……」


 さっきまでは恐縮したようすでやりすごそうとしていたリスシタであったが、考えごとをするかのように無言でうつむく。


「では、こうしましょう。

 もし本当のことをここで話をしてくれたら、私たちが協力できるものであったら、協力してあげましょう」


 と、イリカはリスシタの様子を見てあともう少しで、本音を話し出すだろうと思い、リスシタにとって有利な条件を投げかける。

 リスシタはイリカの話の内容が自分自身にとっては良すぎると思い、警戒するも、イリカの誘いに乗ってみたいという気持ちにかられる。なぜならば、黙ったままではなにも話は進まない。

 それにもともとリスシタとしても、スズに協力を求めるために来たのだ。

 だから、ここでイリカの提案にのるのが危険でもあるかもしれないが、チャンスだと思い、本当の目的を話出す。


「私がここに来た本当の目的は、天界に戻りたいのです」

「「「――えっ……!」」」


 と、驚くスズとアリカ、イリカの三人。

 誰が話し出すか一瞬とまどい、長年一緒にいた阿吽の呼吸で、スズが話し出す。

 スズとしては、リスシタに天界に戻りたいという気持ちを考え直させるようになだめる立場だ。


「天界に戻りたいって……、どうしてと聞くのもあれだけれども、おそらくもともと天界に住んでいた天使だからだろうけれども……」

「はい、もといた天界に戻りたいのです。故郷になりますので」

「けれども、もうすでにこっちに来ていて、メイドという役目を与えられているものの、実態は奴隷だっていうことを忘れていないわよね?」

「はい、忘れておりません」

「では、普通に考えて、天界に戻れないこともわかっているわよね?」

「はい、わかっております」

「そのうえ、リスシタがいた天界で住んでいた村か国は、すでに滅びていると聞いています。

 それが本当であれば、天界に戻ったって、居場所がないのでは?」

「はい、そうです」

「そのうえ、天界は今、ちょっと治安が悪くなっていると聞いています。

 むしろ、こっちにいたほうがいいのでは?

 確かに奴隷といった身分であっても、9大魔王ルキフグに関係する奴隷なのです。

 なので、9大魔王ルキフグよりも下の家の奴隷よりも身分は上の扱いを受けることができます。

 ちゃんと主人の命令にしたがっていれば、天界にいるよりも楽しく過ごせると思いますよ。

 ゼエルと最近一緒にいて性格を徐々に把握してきてますが、そんな無茶な命令や悪趣味な命令なんてしそうもないので、奴隷メイドとして仕える主人としてはいいほうだと思いますよ」

「はい、わかっています。

 今の状況が、奴隷メイドとして恵まれた状況であるって十分認識しております」

「ではなんで天界に戻りたいって言い出すの?」

「ここは、私の故郷ではありません。私は天使なのです。

 仮に、天界に戻ってすぐに死ぬことになったとしても、天界で天使として死にたいのです。

 それが、短命だったとしても……」


 真剣なまなざしで言うリスシタ。

 スズ、アリカ、イリカはリスシタの強い意志を感じ、場合によっては罰を受けるかもしれないような内容のゼエルの報告に来たのか理解しどうしようか考えだしたのだった。

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