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学食の日の夜⑥

「穏やかではありませんね」


 残念そうに言うスズ。

 リスシタは、スズをまっすぐに見て言う。


「穏やかではありませんが、スズ様にぜひ聞いて欲しい話になります」

「それは、ゼエルのためになりますか?」

「いいえ、違います」

「そうですか……」


 スズは今までリスシタに関心をしていて、好感をもっていた。

 なぜならば、リスシタの用意した夜食はスズが満足できる内容のものだったし、想像以上のものだった。そんな夜食をリスシタがスズの部屋に来た段階では、夜食を要求するなんてことは想像できないにもかかわらず用意をしていた。もし、スズがリスシタに夜食を要求しなければ、用意していた夜食が無駄になってしまっていたかもしれないのだ。

 もしかしたら、リスシタはスズと話す機会をもうけるために、夜食の話をしようと考えていたかもしれない。が、しかし、通常は、そんな機会なんてなかなか訪れない可能性が高い。

 理由は、アリカとイリカの存在になる。

 この二人はスズの護衛の任務をしていることから、常に様々な面で警戒している。

 スズに近づいてい来るものすべて全部に警戒している。たとえ、9大魔王ルキフグ城の関係者であってもだ。だから、ゼエルのメイドであったとしたって、どんな人物だかわからない今まで話したことすらないメイドだなんてスズに近づけたくなかっただろう。

 さらに、アリカとイリカは階級や身分などに強く意識している様子があり、9大魔王ルキフグ城内では有名で、メイドなんてあんまり相手にしたくないと思っているはずだ。そのことを、当然、リスシタは知っているはずであり、普通に考えれば、門前払いされると考えるだろう。にもかかわらず、訪れてきた勇気と、スズの好みを調査したうえでの夜食を準備してきていたので、評価を上げていたのであった。

 だが、その評価を一気に崩すようなことをリスシタは行った――――


 ――――それは、自分自身の主であるゼエルの悪い情報を外部に話をしにきたことになる。まさに、裏切り行為といっていいだろう。


 スズは裏切り行為を絶対に許さない。

 もしかりに、仮に一見裏切り行為に見えるものであったとしても、何かの作戦があってゼエルのためにするものであれば裏切り行為にとは思わないだろう。

 だが、今のリスシタは、そういった状況とは言えないだろう。

 れっきとした裏切り行為だろう。

 一つの裏切りによって様々なことに影響をあたえ、屋台骨を崩す場合がある。

 今のゼエルは、理由はわからないが9大魔王ルキフグのお客さんみたいな存在であり、学園にいる以上スズと関わり合いを大きくもっていることになる。

 だから、場合によっては、リスシタを処分することも考えなければいけないとスズは思い、リスシタの話を聞くことにしたのだった。

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