憂鬱な1日
「・・・朝か」
彼はそう呟くと布団から出て布団を片付け朝ごはんの準備をした。
しばらくすると料理を居間へ運んで机の上に料理を並べた。今日の朝ご飯は、鯖の塩焼き、赤味噌の味噌汁、卵焼き、きゅうりの漬物、白米と朝から以外と豪華だった。
彼は静かにご飯を食べようとした。
「・・・文」
「はい、何でしょうか?」
「朝から何してんだ?」
「勿論、珀さんの一日を読者さんに
お伝えしようかと思いまして」
今話している彼女の名前は
『射名丸 文』
妖怪の山に住んでいる鴉天狗だ。
「読者は俺の一日などに興味ある人はいないだろう」
「確かにそうかもしれませんが私が面白いので良いかと」
「よくないだろ」
「そうですか・・・まぁ、私が楽しいので良いのですが」
「そうか…まぁ、そんな事は置いといて飯食わないのか?冷めるぞ」
「勿論いただきますよ、私は毎日、珀さんの料理を食べるためだけにわざわざ妖怪の山
から来ているんですからね」
文はさっきも言っていた通り、毎朝来て朝飯を食いすぐどこかに行ってしまう、言わば食い逃げというものだ。そのせいで俺の食費は一人分多くなってしまい普段の生活に痛いのでもうそろそろやめてほしい。
「やめませんよ私は」
「何でわかるの⁉︎」
「乙女の勘です」
「そ〜なのか〜?」
「あ、この卵焼きおいしい」
「まさかの無視!?」
「無視して何が悪いんですか!?」
「何でキレてんの!?」
こんな感じの会話で俺の一日は始まる。俺と文は会話をしながらもご飯を食べ終えた。
「そんで今日は何の用で来たんだ?」
俺は文に問いかけた。文はニヤニヤしながら俺を見た。
「今日博麗神社にて宴会があるんですよ」
「それで俺を誘いに来たと言う訳か?」
「その通りです、やっぱり珀さん、理解が速くて楽です」
「だが断る」
「どうしてですか?」
「宴会に俺が行くと必ず何か起きるだろう、しかも博麗神社でやるとなると尚更だ」
俺はさっきも言った通り宴会に行くと何かが起こる(悪い意味で)だから俺は行きたくないのだ。前は鬼の四天王の伊吹萃香に勝負を仕掛けられた。俺が選ばれた理由が、確か
『最近一緒に酒を飲んでくれないから』
その結果俺は生死の境をさまよう羽目になった。だから俺はよほどの事がなければ宴会には絶対に行かない。
「そんな事もありましたね」
「心読めるのか?お前は」
「さとり妖怪の貴方じゃないんですからそんなこと出来るわけないじゃないですか」
言い忘れていたが俺は妖怪である。しかも幻想郷では忌み嫌われているさとり妖怪だ。なのにどうして文が嫌われ者の所に来たのかって?最初から話すと長いので結論から言うと俺の能力が常時発動しないからである。俺の能力は
『心を読む程度の能力』
なのだが、ここ幻想郷の管理者こと八雲紫によれば
『貴方は他の覚り妖怪とは違い、理由は分からないけど、能力が常に働かないの、だから別に地底に行かなくても良いわ』
と言われた。だから文は気軽に俺の所へ来てタダ飯を食いに来れるわけだ。
「『簡単に』とか言っといて普通に長かったですね」
「何を言う、俺が本気を出せば一日かけて話すこと出来るぞ?」
「そうですか・・・そんなことはどうでもいいので、行かないで良いんですか?宴会」
「あぁ、悪いが行かない」
「はぁ~・・・分かりました、それでは萃香様達にお伝えしときます」
「・・・ちょっと待て」
「私は今から萃香様に『今日の宴会に珀さんは来ません』とお伝えしなければなりませんのでこれにて失礼します」
「だから待てって!・・・それより萃香の他に誰が来る?」
「萃香様の他には、勇儀様、紅魔館勢、紫さん、その他色々きます」
「なぁ…この宴会誰が主催だ?」
「萃香様ですが?」
文は品のない笑顔を見せながらこっちを向いた。
「・・・やっぱ俺も宴会に行くよ」
「はい?今なんとおっしゃいましたか?よく聞こえませんでしたねぇ~」
「だから俺も今日やる宴会に行くって言ってるんだよ」
「お!そうですか、それではまた宴会会場にてお会いしましょう」
そう言うと文は飛んで行った。不思議に思うだろう宴会に行きたくないと言った俺が突然宴会に行くと言ったのか・・・理由は簡単行かなかったら殺されるから(萃香に)。誰かが俺を強制的に宴会に来させようとして萃香と紫が手を組んだな…。
朝から憂鬱な気持ちになりながらも俺は朝飯の片付けを始めた。