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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

作者: つくよみ

今日TVであるニュースが流れた。


一人の男がいなくなった。


捜索願いを出しているがいっこうに見つからないという


両親がインタビュ―を受けるなか傍らに綺麗な女が映っていた。


時折白いハンカチで顔を覆っている。


僕はそのニュースをボンヤリ聞いていた。





『可哀想に・・・・・・』




ーーーーーーーーーーーーーーー。


つい1週間前、僕は呼び出された。


いつも使う喫茶店。


雨の降る肌寒い日だった。


僕はいつものように君の好きなアメリカンコーヒーを2つ頼んだ。


『急にどうしたの?僕は会えて嬉しいけど』


「・・・・・・うん、実は話したい事があって」


いつもと様子が違っていた。


『何何?』


僕はわからないふりで、わざと明るく振る舞った。


それでもやっぱり沈黙が続いて窓越しに聞こえる雨の音だけが響いてた。


「・・・・・・・・・・・・もう終わりにしたい」


俯いたままコーヒーを触る手がカタカタと震えた。


『どうして?』


声のトーンが自然に沈む。


「・・・・・・守ってあげたい人が出来た」


やっぱりこっちは見なかった。


『ねぇ、目を見て言ってみて』


僕が言うと、ゆっくり顔をあげて


ずっとその顔を見てた僕の視線とぶつかった。


「ごめん、嫌いになったわけじゃないけど、守りたい人が出来たんだ。」


姿勢をただしながら、はっきりとした声で答える君から覚悟を感じとることが出来た。


ほんとはわかってたよ。


大分前から僕以外の誰かがいたこと。


気付かないわけないのに・・・・・・


ずっと君だけを見てきた僕が・・・。


でも君は僕が気付いてないと思ってたんだよね。


僕がずっと苦しんでること知ってた?


『そっか・・・・・・』


僕は窓から見える雨に目を移しながら呟いた。


激しくもなく、ただ淡々と降り続く。


ザーーーザーーー


一瞬、無が僕を包む。


『わかった 。でも今日は朝まで一緒にいて 』


僕がそう言うと、


「・・・わかった」


呆気ない僕の答えに、ほっとしてなのかそれとも僕に対する罪悪感からか視線を逸らしながら頷いた。


僕らは会計を済ませ店を出た。


そうして二人で雨の中を歩いた。


ただ黙って・・・・・・


ついこの前までは、あんなに楽しく腕を組んで歩いてたのに・・・


あんなに笑いあってたのに・・・


すぐに頭をくしゃくしゃするあのクセ凄く好きだったのに・・・


手を伸ばせばすぐ届く距離にいるのに触れる事が出来ない。


もうこんなに側にいても君が遠い・・・


そして雨なのか何なのか僕の目から雫が頬をこぼれ落ちていった。



部屋について、荷物を整理する間に、僕は君が好きだったコーヒーを君が使っていたカップに淹れる。


『疲れたでしょ?コーヒーでも飲んで』


まるでいつものように僕はコーヒーを差し出す。


「ありがとう」


君は当たり前のように受け取り、いつものようにゆっくり飲んで・・・・・・



朝、君は僕の腕の中で眠ったまま、二度と目覚める事のない眠りについた。






僕だけじゃダメ?


こんなに想っているのに・・・・・・


僕は君がいれば他に何もいらないよ?


他の誰かに渡すくらいなら


いっそのこと・・・・・・・・・・・・。


そうすれば君は一生僕だけのもの。





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