第三話-「昔の流行り病」
今回は昔のフルミネア王国女王と平執事のお話。
-これは、双子が幼い頃のお話。
昔、フルミネア王国は大陸の端に存在する未踏破の国へ攻め入ろうとした。その国の名をミルーチという。そこの国民は誰一人として見た事が無く、国の基礎、王、髪色や産業の全てにおいて不明だった。
しかし、そんな不確かな国に、とても慎重な前フルミネア王国国王が簡単に攻め入るわけも無い。攻め入るというのは名ばかりで、実際はミルーチ国の実態調査を行なう予定だった。
しかし王に急な公務が入り、その調査にはラテアの母であるシエラ前女王とお付の執事2人で向かうこととなった。
調査後のシエラ女王はミルーチ国について、
「あの国はよく分からん所じゃな。国民の髪は皆緑色をしておったが、なんと言うか、陰湿であった。ミルーチの王は武力にて国民を制しておるようじゃ」
と語った。
そしてその後、フルミネア王国では妙な病が流行りだした。病にかかるのは皆子供で、一度感染してしまったら完治は簡単だが、後遺症として食に大きな影響を及ぼすのだと言う。影響と一言で言っても人によってそれぞれで、ある者は好き嫌いが増え、ある者は辛い物が食べられなくなり。
そしてその病の魔の手は王の子供の幼き双子にも襲い掛かった。ラールド王子は軽い症状で済んだ為、チーズが食べられなくなるだけだった。しかしその姉であるラテア王女は症状が重く、小麦を始めとし、みかんやパイナップル、チーズといった様々な物がアレルギーで食べられなくなってしまった。
この病には特効薬は無く、後遺症は一生涯残る結果になってしまった。
人々は皆、神の祟りだと言い、しかしシエラ女王とその時執事だったシェイスは違う考えを持っていた。
「……女王様、この病、ミルーチ国からの伝染病では」
「そう……じゃな。童が帰国してからこの有様なのじゃ、それ以外に理由はあるまい」
「ラテア様とラールド様には……失礼なことをしました」
「よいのじゃ、シェイス。これはお主だけではない、童も責任がある。……シェイス、童と共に、リ・ボン・ヅアドル王国に行こう。そこで一人、優秀な魔導師を雇い、なんとしてでも流行を防がねばならん」
「2人で……で、ございますか?」
「なんじゃ、なにか文句でもあるのか?」
「い、いえっ!……かしこまりました、参りましょう、女王様」
そう言って彼女らは2人、王より装備品を預かり、朝日の昇る中港へ向けて歩き出した。
女王と執事、身分は違えど、幼馴染み。
-女王と執事、身分は違えど、仲良し姉弟。
その2人の背丈は今の女王と執事とほぼ同じで、
後ろ姿はとても、そっくりだった。
どうでしたでしょうか。
シエラちゃんは凄い人ですよ、うん。
なんか……かっこいいです←
あと最後の。分かりましたか?
シエラとシェイスの背中が、今のラテアとラールドの背中に似ているという。
そして、これで雇われたのが、宮廷魔導師のエアリス様。