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第十話/例えばギルドは魔窟――ラストなんて言わずに滅べ。

今回ちょっと説明がくどいかもしれません。

 結局、わたしとリファーナが王城を出たときには、時刻は八時になっていた。高い鐘が四つ鳴ったし、実際に時計も見たから間違いないはず。

 この世界――大陸の国が基本的に使う時刻制度は、日本などと同じように二十四時間制である。午前と午後の分けも、ちゃんとある。

 ただ、個人で時計を持ってるのは商人やある程度地位の人達だけで、一般の人達は『時計塔』が鳴らす鐘の音を基準に行動しているらしい。――あ、冒険者とかも時計を持ってる人が居るみたいだから、もしかしたらわりと時計を持ってる人は居るかもしれないわね。

 で、『時計塔』なんだけど、普通に考えるようなものと同じなんだよね。ロンドンとかにあるようなさ。

 『時計塔』には、文字通り時計も付いているけど、主な役割は鐘を鳴らして時間を知らせること。その機構は魔法具を使ってるとかで、王都みたいな大きな街でも『時計塔』一つで全域に鐘の音を響かせることが出来るんだって。

 鐘が鳴るのは、二時間に一回。午前は高くて、午後は低い。違いを言うなら、『カラーン』が午前で『ガラーン』が午後。あと、午前午後の零時には、鈴みたいな音が一回鳴る。

 ちなみに何故か、寝ている人には鐘の音はほとんど聞こえないんだって。まぁ身をもって知ってるけど、すんごいファンタジーだよねぇ。

「ごめんね、リファーナ。なんか時間食っちゃって」

「いえ、問題ありませんわ。それに(わたくし)自身、少々みっともないところをお見せしてしまいましたし……」

「いやいや、あれはわたしが結構悪かったわよ? それにリファーナが来てくれたから、安心して街を回れるもの」

 ニッコリ笑って、隣に立つ頭をぽんぽんと軽く叩く。それだけで、少し垂れてたケモノミミが再びピンと立った。うーん、癒されるわ〜。

 そんな風にリファーナの頭を撫でつつ、わたしは目の前に(そび)える建物を見る。

 高さは大体三階建てのビルより少し小さい程度、横幅はちょっと広めのコンビニより少しあるぐらい。というか、中規模の銀行支店ぐらいの大きさかな?

 広めに作られてある入口の上には、大きなエンブレムと『冒険者互助協会・ラックラッツ支部』なんて書かれた看板が掲げられていた。

 ちなみに、ここは中央広場と呼ばれる『時計塔』を中心に作られた場所で、王都でもほぼ中央にあるんだとか。ぶっちゃけ、名前のまんまだね。

「さて、目的地に来たんだし、とりあえず中に突入してみよう!」

「――あ、カリン様!」

 ちょっとだけ(はや)る気持ちを抑え切れず、わたしはウキウキ気分で『冒険者互助協会・ラックラッツ支部』の重厚な扉を開け放った!

「いらっしゃぁい、ギルドへようこそぉん」

 ――瞬間、わたしの全機能が凍結した。

「……あらぁん? いきなり固まっちゃってぇ、大丈夫かしらぁん?」

 そう言って『しな』を作って近づいてくるのは、明らかにわたしの理解を越えた『物体X』。

 身長二メートルオーバー。筋骨隆々のメガマッチョ。頭部はスキンヘッド――じゃなくて、麺類な正義超人みたいな髪型……確か弁髪とか言うやつ。で、ネコミミ。しかもミニなメイド服。

 ――アラヤダ、ナニコレコワスギル。

「カリン様! カリン様!?」

「――ハッ!?」

 あ、あれ? わたし、今何を……?

「良かった、気がつかれたのですわね……」

「リファーナ?」

「はい。エルリファーナですわ、カリン様」

「大丈夫かしらぁん?」

「大丈夫、大丈夫……なにか、この世のものとは思えない『物体X』を見た気がするけど、多分大丈夫よ」

 ホントに、地獄の使徒なんて言葉が生易しいぐらいに、ありえないものを、ね……。

「それは災難だったわねぇん」

「いやぁ、ホントにね」

 あっはっはっ、モウホント、ナンナンダロウネ。

「トコロデリファーナ、コチラノカタハ?」

 うわぁー、動揺が隠せないわぁ! むしろ、平然としているほうがおかしんだよ、絶対!

「あ、こちらの方は、このギルドの副支部長で……」

「違うわよぉん、エルリファーナちゃぁん? ワ・タ・シはぁ、このギルドの看板娘兼酒場の看板娘。しかしてその正体はぁ、ラストアマゾネス・アマンダちゃんよぉ!」

 そう言ってビシッ! とポーズを決める『物体X』。だけど、わたしの限界はここまでなようです。

「ラストなんて言わずに――」

 踏み込み。ズダン! と音が響き、わたしは『物体X』の懐へ入り弓のように身体を絞る。同時、『想像』を開始!

「遠慮せず滅ぶべしっ!」

 叫びながら、昨日の試合みたいに手首を合わせた掌底を繰り出す。でも、今回は技名省略で動作のみの発動! そして突き出された掌底から具現化した魔力が現れ、『物体X』をぶっ飛ばした!

 わたしはね、ホントは《まんぼう戦吼》派なのよ! だから今回はまんぼうを飛ばしてあげたわっ!

 ……あ、吹き飛んだ『物体X』はどこに? とりあえずわたしの精神を安定させるために、確かにぶちのめしたのか確認しないと。

 そんな感じにキョロキョロ見渡すと、そこに居た人達がみんな呆然としているのが視界に入る。……はて? 何をそんなに呆然と? というか、なんでみんなこっちを見てるのよ。

 あ、一画に凄い埃が舞ってる。多分、『物体X』はあそこに吹き飛んだのね。

「か、カリン様!? 一体何を!?」

「え? ……いやぁ、わたしの理解を越えた『物体X』が居たから、ついついツッコミを全力で入れちゃったみたい」

 てへっ。と、ちょっとノリでかわいこぶったリアクションをしてみる。……うわぁ、自分で自分を殴りたくなったわ……。

 かなりの自己嫌悪に襲われて、わたしは「じーざす……」と呟いてからガックリ膝と手を床に着く。それに驚いたのか、リファーナが慌てた様子で呼びかけてくる。

 でもごめん、今は答えれる気力がないんだよ……。

「はっはっはっ、そんな落ち込まなくても大丈夫だよお嬢ちゃん」

 ……うん? いや、誰ですか? 今のわたしに話し掛けるなんて、リファーナぐらいしか居ないはずなんだけどなぁ。

 疑問に思いながら顔を上げると、幼女が豪快な笑顔を浮かべながら二階から下りてくるところだった。

「……あ」

 幼女がそんな笑顔を浮かべてることも不思議な光景だけど、わたしの目を奪ったのはそんなことじゃない。幼女の頭にネコミミがあることも凄くそそ――気になるけど、それでもない。

 幼女が着ているのが、紛れも無く和服。といっても、振袖とか十二単(じゅうにひとえ)とか、そういうキッチリズッシリしたやつじゃなくて、着流しと呼ばれる略式装束だけど。

 ……一応、着流しは一般的には男性が着るものだった気がするけど、こっちじゃ違うのかな? しかも、刀差してるし。一本だけだけど。

 やがて幼女が目の前に来たときには、わたしはさっきまでの自己嫌悪も忘れて立ち上がっていた。――だってそうでしょ? そうかもしれないって思ってた、ある種の願望的な考えを肯定するものが、目の前に存在してるんだよ?

「ん? どうしたお嬢ちゃん、そんな呆けて」

「いえ、あの……貴女はもしかして、『豊葦原』の出身ですか?」

「そうだけど……おかしなことを聞くね、お嬢ちゃん。別に、『豊葦原』出身が珍しいわけでもないだろう?」

 一般的にはそうなんだろうね。比較的、どこの国も行き来が自由だから。多分わたしが出会った中にも、『豊葦原』出身の人が居たかもしれないし。

 それでも……それでもさ、ここまで『日本』を感じるようなものは、今まで無かったんだよ。

「是非、お話を聞かせて下さい!」

「あ、あぁ……」

 幼女の手をガッチリ掴み、わたしはそう言葉をかける。鼻息が荒いのは分かっているし、周りから見てもちょっとおかしい光景なのも理解出来る。

 だけど、こんなチャンスは滅多に無いと思うし国王さんからの話もあるから、ここで話を聞かないといけないのよ!



 あれから幼女に聞いた話は、朗報といっても良い感じだった。

 確かに『豊葦原』は、日本と同じような文化を持っていた。雰囲気としては、時代劇とかそういう感じかな? ただ、国のトップは『(みかど)』って呼ばれるらしい。

 といっても、わたしが聞きたかったのは国の仕組みとかじゃなくて、普通の生活とか家屋の作りとかだったからそっちを中心に聞きまくった。

 結果、国王さんへの希望は大体固まった。ありがとう、ネコミミ幼女!

 しかも、食生活も日本と同じようなものらしくて、お米とか醤油とか味噌とか刺身とかもあるらしい。やったね!

「ありがとうございました。色々、参考になりましたよ」

「なぁに、こっちは知ってることを話しただけさ」

 長々と付き合ってもらった幼女に頭を下げると、カラカラと笑いながらそんな風に言葉を返された。いやぁこの幼女、凄くいい人だわ。

 といっても、実はこの人全然幼女じゃなかったんだけどね。なんと二十三歳なんだってさ。こういうのを、合法ロリとか言うんだろうね〜。

 ちなみに、名前はサヤ・ヤツギリと言って、このギルドの支部長なんだって。しかも、あの『物体X』は実の弟……妹? なんだってさ。遺伝子仕事しようよ、マジで。

「ところで、なんで『豊葦原』のことなんか聞くんだい? 少し調べれば、分かりそうなものだけどねぇ」

「わたしの故郷が、『豊葦原』とどれだけ似てるか知りたかったのよ。昨日こっちに着いたばっかりだから、ほとんどの知識は無いしね」

 話をするうちに、サヤさんから敬語は止めてくれって言われたから、今は普段の調子で喋ってる。なんか背中が痒くなる感覚がするとか、敬語で話されると落ち着かないんだって。

 なんというか、この人世話好きそうだし姐御肌だね。姐さんって呼ぼうかな?

「なぁるほど。確かに、『豊葦原』と似てるわね。名前なんて『カリン・ナナカワ』だし、黒髪なんて『豊葦原(うちのくに)』関係ぐらいだもんな、見かけるの」

 ネコミミをピコピコさせながら頷くサヤさん。色々納得はしてくれてるみたいだけど、こっちの事情には何も突っ込んではこない。多分、訳ありって気付いてるんだろうね。

 ……流石、若くして支部長やってるだけはありますな。

「にしても……エルリファーナと一緒に居るってことは、カリンも冒険者なのかい?」

「いやいや、まだ登録はしてないのよ」

「そうなのか? なら、今日は登録に来たってことか。……あー、それでうちの愚弟に驚いてたんだねぇ」

 そういって視線を向けてくるサヤさんは、クックッと喉を鳴らすような笑い方をする。……いや、アレを驚くなってほうが無理でしょ。

「アイツを見て驚くやら逃げ出すやらは見てきたが、あんな風にツッコミを入れた奴は初めてだったな」

「そうなの?」

 色々ツッコミ所もあったし、かなりツッコミしやすかったんだけどなぁ。初見は固まったけど。

「ま、こっちとしちゃ、面白いもん見せてもらえたからいいんだけど。アイツはあれぐらいで、どうにかなるような玉じゃないし」

 そうなのだ。あの後、『物体X』ことラストアマゾネス・アマンダ――改め、本名キリヒコ・ヤツギリさんは、何事もなかったように振る舞っていたのだ。まさかのノーダメージでしたよ。ありえない。

 ついでに、キリヒコさんはギルドとフランチャイズみたいな感じで作られている酒場、『鉄壁の乙女亭』のオーナーでもあるんだって。本人談『看板娘』。ありえない。

「ま、登録ってなら歓迎するよ。――あ、ちょっといいかい?」

 ちょうど近くを歩いていたメイドっぽい恰好のお姉さんを捕まえ、サヤさんは二、三会話して開放した。はて? あれって、酒場の店員さんじゃないのかな?

「今のって、酒場の従業員じゃないの?」

「ん? あぁ、ギルドの人間は、酒場の従業員も兼ねてるんだよ。基本、ギルドは酒場とセットだからね」

 なるほど。それは働くとなると、結構大変な職場だね。

 というか、確かにギルドと酒場がセットっていうのも、改めて見るとそうなんだよね。わたし達が居るのも、普通のテーブルだし。

 ギルド自体は、受付カウンターと依頼を貼り付ける掲示板、事務所があれば十分なんだって。それで、冒険者達の交流とか情報収集とか、はたまた打ち上げとかの場所として酒場が一緒にあるらしい。

 だから、一階部分の半分以上が酒場になってる。でもまぁ、内装のイメージ的には狩猟ゲームの集会場みたいな感じかな? 武器防具装備の人が多いし、まんまとは言わないけどそんな感じなんだよね。

「支部長、持ってきましたよ」

「あぁ、ご苦労様。ほら、カリン」

 っと、色々観察してたら、サヤさんから声がかけられましたよ。……ん? 紙?

「これが、『冒険者互助協会登録申請書』だよ。記入事項は、名前、生年月日、性別……あとは、魔法が『使える』かどうか」

 ほほう、案外書く項目は少ないんだね。ということで、紙と鉛筆を受け取ってささっと書いていく。

 一応この世界の文字は書けますよ? 特訓しましたからね、馬車の旅の時に。

 生年月日もバッチリ大丈夫。こっちも一年が十二ヶ月だったからね。一週間が七日、一月が三十日です。特殊なのは、年末年始が五日間だけ『虹の日』として独立してることかな? 三十日×十二ヶ月で、三百六十日。プラス、『虹の日』の五日で、三百六十五日の一年ってこと。

 そんなこんなで全部書き終わり、サヤさんに『登録書』を返す。ちなみに、『冒険者互助協会』っていうのはギルドの正式名称。ギルドってのは、公式な通称なんだってさ。……そりゃ、いちいち『冒険者互助協会』なんて言ってたら、長くて嫌になるわよ。

 それを受け取って内容を確かめると、サヤさんは「ちょっと待ってな」と言って席を立った。うん、漏れや不備は無かったみたいだね。

 サヤさんの背中と揺れる尻尾を見送っていると、横からスカートを軽く引っ張られた。

「ん? なに、リファーナ?」

「いえ、今まで機会が無かったので……。カリン様、これを落としていましたわ」

 といって、何故か申し訳なさそうな雰囲気のリファーナが差し出してきたのは、わたしの改造キセルだった。

「――あ。落としてたんだ……」

 どうりで、口寂しいわけだ。……って、それじゃ愛煙家のオッサンみたいじゃん。

「ありがとリファーナ、拾っといてくれて」

「いえ、これぐらいは当然ですわ」

「ふむ……しかし、このままだと銜えるのに抵抗があるわね」

 一応、この改造キセルには、わたしのスペックに物言わせた『品質最上・保持』『絶対破壊不可』『抗菌除菌滅菌』という三つの魔法が掛けてあるけど、床に落ちたやつをそのままってのは無いわね。ちなみに、魔法の効果は永久持続。超チートね、マジで。

「とりあえず洗うか……《水玉(みずたま)》」

 ポワンと現れたのは、バスケットボール大の水の玉。それに、改造キセルをポイッと入れる。

「《全自動ドラム式洗浄》」

 魔力を維持したまま、第二段階へと魔法を移行させる。別に家電の仕組みは分かってないけど、『イメージ』すれば魔法は使えるから問題無し!

 でも、こうやって魔法を操作するタイプだと、魔力は常に流さなくちゃいけない。発動して終わりってタイプより、少しだけ集中がいるのよねぇ。――っと、もういいかな?

「《停止、排出》」

 言葉を受けて、ぐるんぐるん動いていた水の玉は動きを止めて、改造キセルが中から浮かび上がる。そんな水玉の十センチぐらい上に浮く改造キセルへ、さらに『イメージ』を重ねて魔法を発動させる。

「《脱水、乾燥》」

 瞬間、改造キセルから余分な水分が抜け出て水玉に合体していき、濡れていた改造キセルが一気に乾いていった。で、また一瞬のうちに品質が最上に戻りました。

 こういう時、手入れを気にしないで良いって最高ね! まぁそれでも、ちゃんとしたメンテナンスとかはするわよ? それが道具を大事にするってことだからね。

「やれやれ、なんだ今の非常識な魔法は」

 とか言いながら、サヤさんがちょっとした荷物を持って帰ってきた。

「おかえりなさい。それは何?」

「あぁ、魔法が使えるほど魔力があるのかを調べる道具と、登録証だ。まぁ、魔力を調べる道具は無駄になったみたいだけどね」

 あはは、今の見てたみたいだからねぇ。そりゃ、目の前で魔法を使われたら、調べる必要もないか。

「とりあえず、登録証には魔法士の認定もしておくよ」

 そういって、サヤさんは登録証に何かをくっつけた。あれが魔法士の認定なのかな?

「それじゃあ、この登録証に血を二、三滴垂らして」

 わー、それは少しだけ予想外の行為だわ。まぁ理由が無いわけじゃ無いんだろうから、意味があるんだろうけど。

 とりあえず登録証とナイフを受け取り、左の親指に切っ先を少し食い込ませてすぐに離す。そしてぷっくりと浮かび上がってきた血の玉を確認して、指を下に向ける。

 でも血は結構粘着性があるから、垂れるように少し指を押さえて絞るようなことをする。……うん、地味に痛い。

 なんとか血を垂らし終わると、不思議なことに登録証が血を吸収しましたよ。これ、決して紙じゃありませんよ? なんかの金属っぽいので作られた、保険証ぐらいの大きさをしたカードですよ?

 そして血を吸収した登録証は、その色を黒から青に変えて文字を浮かび上がらせた。……なんという不思議物質。

「それじゃあ、登録証の説明をしようかね。まず、これが名前、生年月日、性別で、この部分が魔法士であることを表している。そしてこっちは、今のランクがどれぐらいかが書いてある」

 そう説明しながら、サヤさんは登録証を指差し確認……指差し説明? 魔法士の部分とか言うのは右上で、そこには黄色い丸が付けられている。魔法士じゃなかったら、何も付いていないそうだ。

 で、ランクの部分は登録証の下側。ちなみに文字は全部白で書かれている。

「ランクは星の数で分けられている。一番駆け出しが十個で、上になるほど数が減っていき、最終的なランクは星一つで色が金だ」

 わたしの登録証は、当然ながら星が十個で白色ですよ?

「ランクを上げるには、一定以上の依頼を達成すること。ただし、自分のランクより上じゃないと意味がないけどな」

 ふむふむ、楽して上げれるもんじゃねーぞ、ってことね。

「あと、星三つ以上からはランクを上げるのに昇級試験みたいなものがあるから、少しだけ注意しておく」

「依頼を受けるときに制限とかあるの?」

「いや、基本的にはない。ただ、明らかにランクが低いと危険だと判断された場合には、例外として制限がつけられるな。あと、たまに個人を指定される依頼もあるが、それは掲示板には貼られない。そういう類のものは、受付で本人に掲示する決まりになっている」

 実力者には、それなりの優遇があるわけね。名前の知名度も、結構関係してるっぽいし。

「あとは……そうだね、依頼を達成出来ないと判断した場合には、受付に言ってもらえば契約破棄が出来るよ。ま、違約金を払ってもらうことになるけど。――あぁ、依頼の種類とかは、掲示板見て覚えといて。大まかな種類覚えれば、ほとんど不便しないから」

 いやいや、そこはちゃんと説明しようよ支部長さんや。カラカラと笑ってないでさ。

「んで、早速何か依頼を受けてみるかい?」

「あー、いや、今日は止めとくわ。とりあえず、王都を見て回りたいし」

「そうかい。ま、これからもギルドをごひいきに」

 そう言ってニヤリと笑うサヤさんにニヤリと笑い返し、登録証をポケットに入れてリファーナの手をとり、わたしはギルドを後にした。

ラストアマゾネス&姐さんは、友人からのリクエスト&馬鹿話の産物。

どちらがどちらかは、ご想像にお任せします(笑)

ちなみに、若干のアレンジが加えられております。

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