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ループした凪(時が戻る違和感)

(???)───そうやったな。


───────

──1回目(8月9日・長崎)


「うっっっ......頭が痛い......」


僕はものすごい頭痛で目が覚めた。


「ここ...は...?」


僕は周りを見て、思わず目を見開いた。

そこには建物などはなく、死体や炎の海だった。

匂いはとてもキツく、嗅いだことのある匂いが、魂にまでまとわりつく。


この光景、見たことある。それに、この匂い。

頭の中で映像として、こびりつくように残ってる景色に匂いだ。


「ここは......長崎...?」

「なんで?さっきまで祐徳稲荷神社にいたはず......」


考えろ、考えろ、考えろ。

僕は確かに祐徳稲荷に居た。そして、湊が息をしなくなって......


ループした?

いや、そんなはずはない。

僕がループするのは朧が死んだ時のはず。

じゃあ、なんだ?夢......?


そんな時、自分の足の怪我が目に入った。


「あれ、これは爆発で飛んできた小石が当たった場所?」


足を怪我したのは、湊を抱えて走っていた時だけだ。


「......てことはさっきのは夢じゃない」

「つまり、どういう事だ?」

「湊が死んだからループした?」


もしかして、湊が死んでもループする?

でも、朧が死んだら僕がループするって.....

僕の大切な人が死んだらループしたりするのか?

だから、僕はループして長崎に......。


必死に考えたが答えは出なかった。

そこで、僕は気づいた。


「てことは、まだ湊は生きてる!」

「もし、ここが3日前の長崎なら確実に」


湊、湊、お願い、生きてて。

神様、お願いします.....お願いします.......


その時、遠くから声がした。


「オギャア、オギャア」


....っ!

この声は湊だ。

生きてる、湊は生きてる。また会えるんだ...!


僕は必死に湊を探した。

前と同じならここら辺にいたはず


「っっっ、いた!湊!」

「よかった、本当に......」


僕は湊を抱き上げた。

目からは止まらない涙で、湊の顔がビシャビシャだ。

心臓は脈を打って、瞳は光り、鼻からは鼻水がでている。

本当に夢みたいだ。湊は生き返った。

違う、まだ死んでいないんだ。


「そうだ、黒い雨」

「あれのせいで、湊は......」


僕はすぐ湊を服の中に隠した。

深く、湊が完全に隠れるように。


「これで、大丈夫なはず」


これからどこに行く?佐賀?

でも、まだ危険だよな。


......そうだ、あのおじさんの所に行こう。

食料も分けてくれて、優しかった。

今度もきっとおじさんは食料を分けてくれる。

そして、僕は本河内にある防空壕に向かった。


途中で、黒い雨が降った。

僕は湊を下にしながら走った。

雨はひんやり冷たく、少し寒かった。

それが僕には、毒の雨が殺しにかかっているようにしか見えなかった。

とても怖い。また湊を掠めるんじゃないかと。

でも絶対、黒い雨にはあたらせない。


僕は走り続けた。


そして無事、防空壕に着いた。


「今度は絶対、湊には黒い雨はあったってはいない!」

本当に、本当によかった....

僕はまた涙が止まらなかった。


僕は、さっそくおじさんを探した。

ここには、おじさんを探しに来たと言っても過言ではないからな。


(また、抱きしめられて、ヒーローだと言われたい)

少しだけそう思ってしまっていた。

あの優しさに包まれたい。


でも、いくら見渡してもおじさんは居なかった。


「すいません、服がボロボロで裸足のおじさんは知りませんか?」


僕はやみくもに聞き回った。


「服がボロボロで裸足なんて、そこらじゅうにいるよ」

みんなそう言う。


そりゃそうだ。ここは戦争があっていた時代だ。

悲しいが、仕方がない。

食料は他の人に少しだけ分けてもらおう。


防空壕に入って3日が経った。


「そろそろ出発するか」

食料は前より少ないが、みんなが恵んでくれた。

僕は食べなくても死なない。

今度も全て湊にあげるつもりだ。


僕は再び、祐徳稲荷神社に向かうことにした。

一応、医者に湊を診せといた方がいい。

また何かあったら嫌だ。

今回、ループできたとしても、次できるかはわからない。

何より、もう湊に苦しい思いはしてほしくない。


そして14時間後、僕は祐徳稲荷に無事着いた。

今度の道のりは前より長かったが、早く感じた。


「......?」

「あれ...?」


祐徳稲荷に足を踏み入れた途端、違和感を感じた。

何かが前回とは違うような気がする。

でも何が違うのかわからなかった。


違和感を感じながらも医者を探した。

前と同じ場所に居るはずだ。


だが、その場所には居なかった。

前より6時間遅れてきたから、帰っちゃったのかな?

そう思いながらも、隅々まで探す。


「居ないな......」

「やっぱりもうここから離れちゃったのか?」


医者に、湊を診てもらっておきたかったが仕方ないか。

今回は血も吐いていないし、体調も悪くはなさそうだから...まあいっか。


歴史通りならあと数日で終戦のはず。

大きな街に行けば、軍の医者じゃなくてまともな病院があるはずだ。そこで診てもらおう。

それが今できる最善の選択だ。


今回はおじさんとも医者とも会えなかったな...

前回助けられたから、名前だけでも聞きたかったけど。


「無事だといいな...」


そして今度は大宰府・博多方面に向かうことにした。

確か、久留米に行く道で1番でかい街だったはず...

歴史とか苦手だったから心配だけど...

まあ、僕が住んでた時代では都会だったし、大丈夫だろ。


違和感は残ったまま、曖昧な答えで僕は福岡を目指して歩き始めた。


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