表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
-i  作者: リョーシリキガク
5章 一ノ瀬編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/51

cos 45x ¬ツンデレ

「こんなの……おかしいだろ!あり得ない!」


 男が顔を引きつらせ、テーブルを両手で叩いた。静まり返ったポーカールームに、乾いた音が響く。


「イカサマしたのはそちらでしょ?」


 一ノ瀬は冷ややかに言い返す。


「まさか自分だけ仕掛けた罠に、引っかかるとは思わなかった?」


 男が歯ぎしりするように拳を握った。


「ふざけるな……!勝ったからって調子に──」


「ええ、勝ちました。だから、この交渉は白紙で……私からもう一つ条件をつけさせてもらうわ」


 一ノ瀬の声が静かに響いた。彼女の背筋は伸びていて、まるで何かの判決を言い渡す判事のようだった。


「今後、二度とセレス国の若手プロハンターに近づかないこと。出資者としての登録も取り消す。こちらからの正式な通告書も、後日送らせていただきます」


 男の顔色が変わった。


「てめぇ……女一人が調子に乗りやがって!」


 憤怒に任せ、男はテーブルを乗り越えようと一ノ瀬に飛びかかる──その瞬間、


「やめろッ!」


 有馬が間に割って入った。

 鋭く蹴り上げた椅子がテーブルを押し、男の足がもつれる。次の瞬間、有馬の手刀が男の首筋を叩いた。


「ッ……!」


 男は呻き声をあげて崩れ落ちる。静寂の中、ディーラーたちは息を呑んだまま固まっている。


 有馬は一ノ瀬の前に立ち、彼女の無事を確認した。


「大丈夫ですか」


「ええ、ありがとう」


 その答えが、思いのほか素直で、有馬は少し驚いた。



 数時間後、出資者名簿から危険な人物を排除し、安全な出資先との契約は全て成立。任務は、完全な成功に終わった。


 ホテルを発ち、帰路につく車内。

 有馬は窓の外に流れる灯りを眺めながら、ふっと息をついた。


「無事に終わってよかった。フルーツタルトも美味しかったけど……ああ、なんか、煮物とか食べたい」


 一ノ瀬が助手席でちらりとこちらを見て、やや微笑む。


「家庭の味が恋しくなるの、わかるわ。任務中は、気が張るものね」


「……助けてくれてありがとう、って言ってくださって、ちょっと意外でした」


「何が?」


「あ、いや……別になんでも」


 有馬はそっぽを向いたが、一ノ瀬の瞳に波紋が浮かぶ。


「“別に助けなんか要らなかった”って言うかと思った?」


 口をつぐむ有馬に、一ノ瀬は小さく笑って首を横に振った。


「別にこの隊、ツンデレしかいない訳じゃないわよ? あなたの"優しさ"はちゃんと感じたわ。ありがとう、有馬くん」


 その言葉が、有馬の胸にじんわりと染み込む。

 ツンデレが三人、素直に優しいのが二人。役は揃った、フルハウスだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ