表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
-i  作者: リョーシリキガク
5章 一ノ瀬編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/51

cos 43x ポーカー

 豪奢なパーティホールの一角。ワインの赤がグラスを染める中、有馬と一ノ瀬は、ある男と対峙していた。


 男は、頬にうっすらと髭を蓄えた中年の紳士風。だがその目には、計算された濁りがあった。財閥関係者という肩書きの裏に、噂の絶えぬ「影の出資者」──名前だけでなく、金の流れまでも曖昧な存在だった。


「いやぁ、お若いのに立派ですね。0番隊の方と聞いて、ぜひ一度お話をと思ってました」


 慇懃無礼な笑顔でそう言いながら、彼はシャンパンを口に含む。


「私ども、開発支援に興味がありましてね。……ただ、正式な投資契約の前に、個人的なお付き合いというか、まあ“パイロット的な合意”をお願いできればと」


「……パイロット的な合意?」


 一ノ瀬の口調は穏やかだったが、その奥の瞳は冷静だった。


(“口約束”を盾に、後で正式な契約に持ち込むつもりね)


 彼女は心の内で、男の考えをすでに読み切っていた。


「申し訳ありませんが、今はそのような段階ではありません」


 にこやかな拒絶。だが男は微笑を崩さず、さらに一歩、詰め寄る。


「堅いことおっしゃらず。せっかくこういう場なんですから。少し砕けた交流も、悪くないでしょう?」


 彼の声に、有馬が眉をひそめる。隣で、一ノ瀬がさりげなく有馬の袖を軽く引いた。


「大丈夫、落ち着いて。こういう手合いは慣れてる」


 そっと囁かれた声が、会場の喧騒にかき消される。だが、有馬の胸の緊張が少し和らいだ。


「……じゃあ、こうしましょうか」


 男はグラスをテーブルに置き、挑発的に口を開いた。


「一勝負。せっかくカジノでのパーティなんですから。少し遊びましょう。勝負に勝ったら……こちらの話、もう少し真面目に聞いていただくってことで」


「え? ちょっと、それは──」


 有馬が思わず声を上げる。カジノなんてやったことがない。契約をそんなことで決めるなんて。


「はっはっは。いやなら、引いていただいても結構ですが──プロハンターともあろう方が、逃げるとは思いませんでしたな?」


 その言葉に、有馬は息を呑んだ。


「……っ」


「プロハンターは逃げませんよ」


 ふ、と微笑みながら一ノ瀬が前に出た。


「勝負、受けます」


 男の笑みが深くなる。


「……ポーカーにしましょうか」


 その言葉と共に、一ノ瀬の指輪が光る。

 エルミート演算子、起動。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ