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-i  作者: リョーシリキガク
1章 リリス編

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3/21

cos 2x 第21回プロハンタードラフト

「0番隊、第一巡指名。有馬遥翔」


 アナウンスと同時に、場内がざわめいた。轟くような拍手、そしてフラッシュの閃光が空間を白く染め上げる。


《史上最年少、15歳11ヶ月!

飛び級の天才能力者、有馬遥翔が、悪魔討伐の要たる“0番隊”の第一指名を受けました!》


「昨日は歴史的なドラフトになりましたね、有馬くん! 映像を見て改めて、今後プロハンターとしての意気込みをお願いします!」


 インタビュアーがマイクを差し出す。

 磨かれた黒髪に、澄んだ黒の瞳。人目を引く整った顔立ちが、テレビの中で光を帯びていた。

 けれど――天才と呼ばれているその人物が、本当に“自分”なのか。有馬にはまだ実感がなかった。


「生まれながらの超能力を使って人を守るのは当然だと思います。市民の安全のために、全力を尽くします」


 英雄になる。

 それは願いではなく、義務だった。


 画面が切り替わり、隣に立つ金髪の女性が映る。すらりとした体躯に、黒の制服。胸元には銀の徽章が光り、両手には黒革の手袋がはめられていた。

 手袋は指先までぴたりと張り付き、関節の位置には細い銀のステッチが走っている。


「そしてリリスさんも0番隊に選ばれ、これから相棒となるわけですが!」


 インタビュアーの声に、リリスは短く息を吸い、マイクの方を向いた。

 白磁のような肌に、冷たい青の瞳。声はよく通るが、温度を感じさせない。


「私は、悪魔を一匹でも多く潰したいです」


 その言葉は、有馬の抱く“義務”とは違う――鋭く、感情を削ぎ落とした意思だった。


「え……まぁ、時には逃げても構わない、と神宮さんも仰ってましたし」


 インタビュアーが苦笑いを浮かべる。そして画面が切り替わり、隊長・神宮帝翔の姿が映し出された。


「英雄は、死後に造られる虚像だ」


 低く落ち着いた声が、スタジオの空気を支配する。


「死人は美化される。

 美しい死なんて言葉に囚われず、生き延びてほしい。

 この仕事は、命を懸ける仕事だが――命を捨てる仕事じゃない」


 有馬は画面の中の神宮と、ほんの一瞬、目が合った気がした。


「生き延びた者だけが、何かを守れる」



 五月末。プロハンターとしての初任務は、殺人事件の調査だった。

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