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-i  作者: リョーシリキガク
3章 講義・試験編

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20/51

cos 20x 例'

 講義後半、有馬たちは医務室の区画へと移動させられた。


 白を基調としたクリーンな室内。天井には薄い照明があり、病院の一室のようだった。


 壁際にはいくつもの診断椅子が並び、それぞれにコードが取り付けられた透明なヘッドギアが備えられていた。


「これから脳波を測定し、自分の能力がどの周波数に対応しているか確認してもらう。まず私の脳波から始めよう」


 そう言って教授は機器を手に取った。彼も、能力者というわけか。


「私はcos108x……知識や直感にまつわる分野の向上であり、世界を理解することには長けているが、世界を変化させる力はない」

 

「なんでcosなんですか?超能力の脳波って、虚数ですよね。sinじゃないんですか?」


 とある男が手を挙げて尋ねた。


「測定できるのは実数のみなのだよ。弱い-iをかけて吸収を見ている。

これは、自分に合わない、他人の演算子を使うようなものだから、多少気分が悪くなる可能性はある」


 その言葉にリリスは眉をひそめ、ヘッドギアをじっと睨んだ。


「では0番隊、リリス少尉から」


 リリスがヘッドギアをつける。ゆったりと波打つグラフが確認できた。


「……cos25x。サイコメトリーI型。物体の過去を読み取る能力だ」


 次は一ノ瀬が呼ばれ、検査が始まった。彼女の波は、波ではなく直線だった。


「ほう、この波形は特徴的だ。なんだったか覚えているか?ではリリス」


「えっと、cos0x」


「その通りだ。この場合はxの値に関わらず角度部分が0で、cosは常に1になる」


 だから波うたない。


 測定の順番が進み、ついに有馬が診断椅子に座る番が来た。

 技師が手際よく、彼の頭部にヘッドギアを装着する。ガラスのような透明な装置が、ぴたりと額を覆った。


「有馬少尉、スキャン開始」


 音声が響くと同時に、室内のモニターに波形が映し出されていく。


 静かなcos波。だがすぐに複数の波が重なり合いながら現れた。


「これは……重ね合わせですか?」


技師が息を呑んだ。

教授が眉を上げる。


「有馬の波形については、次回の講義で扱う」



 ――薄暗い実験室。


 ホログラムに浮かぶのは、滑らかな正規分布。

 それを前に、誰かが口を開く。


「この脳波と理論モデル。99.9%の一致が確認できました。……つまり、あなたは――」


「違う……」


 低く、かすれた声が返る。


「彼は∞だった……

  だから、あなたは……0なのでしょう」


「違う、違う、違う……!」


 叫び。

 虚空に爪を立てるような言葉。


「あれは、嘘じゃない……!」

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