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「分かりました」

 秘書の清水はそう言って、スーツのポケットからスマホを取り出すと、すぐに副社長に電話をした。

「会議室でお会いしたいそうです」

 電話を終えて、清水がそう言った。「会議室までお連れ致しますね」と彼女は言って、三人をそこへ案内する。

 四人はエレベーターで四階へ降りる。会議室は四階にあった。

 早速、清水が会議室の扉をノックする。失礼しますと彼女は言って、その扉を開ける。三人も彼女に続いてその部屋へ入った。

 会議室はこぢんまりとしていた。長テーブルが二列に並び、対立するようにパイプ椅子が八脚ある。そこにグレーヘアの短髪の男性がいた。彼はパソコンをいじっている。

「副社長、刑事さんたちをお連れしました」と、清水は彼に声を掛ける。

 彼は一度、パソコンを閉じた後、立ち上がり「御苦労様です」と、三人を見て言った。

 それから、兵頭部長ら三人が自己紹介をする。

「副社長の木下です」と、その男性が挨拶する。

「あの……」と、兵頭部長がすぐに口を開く。「副社長さんにお聞きしたいんですが、殺された社長の石原さんが発見された時、秘書の清水さんからお電話を貰ったそうですね」

「ええ、そうでしたね」と、木下副社長が頷く。「彼女が亡くなっている社長を発見して、どうしようと聞いたら、してないっていうから先にしてくれと頼みました」と、彼は言う。

「なるほど」と、兵頭部長が頷く。

「失礼ですけど、木下さん。あなたは社長のことを憎んでいたなんてことはありませんか?」

 それから、片桐が訊く。

「憎む……。そんなことはありません」と、木下副社長は即答する。

「そうですか。では、清水さん、あなたはどうですか?」と、今度、片桐は秘書に訊ねた。

「いえ……、私も社長を憎んでいたことは一度もありません」と、彼女も答えた。

「そうですか……」と、兵頭部長が頷く。

 ややあって、スマホが鳴った。

「あ、ちょっとすみません……」

 清水がそう言ってポケットからスマホを取り出し、その電話に出る。「あ、もしもし、水田くん?」そう言って、すぐ彼女はその会議室を出る。

「水田か……」

 それから、木下副社長がそう呟いた。

「水田さん?」と、片桐が反応する。

 それから、「どなたです?」と、兵頭部長が木下副社長に訊く。

「水田は……」

 木下副社長はそう言いかけ、少し黙る。それからすぐ彼は口を開いた。

「うちの社員です」

「社員さんですか」と、兵頭部長が言う。

「ええ」と、木下副社長が頷く。

「その、水田さんという方も、石原社長と関わりがありましたか?」

 それから、兵頭部長がそう訊く。

「そうですね……」と、木下副社長は頷く。「彼は営業部の中で、ずば抜けて優秀な社員です。そんな彼の業績を見て、社長が一番に信頼を置いていた社員なんです」

 木下副社長はわが子の様に彼の話をする。

「ほう、それは素敵な方なんですね。ぜひ一度、彼にもお話を聞かせてもらえませんかね?」

 それから、兵頭部長が笑顔で木下副社長に訊いた。

「いいですとも。清水くんが戻ってきたら、彼に連絡してもらいましょう」と、木下副社長は言った。

 それから少しして、清水が会議室へ戻って来た。

「すみません、お話の途中に……」と、彼女は申し訳ない顔で言う。

「いえ、お仕事の関係でしたら、全然構いませんよ」と、兵頭部長が言う。

「なあ、清水くん」

 それから、木下副社長が彼女を呼ぶ。

「はい? 何でしょう?」と、清水は返事する。

「今の電話、水田くんだろう?」

「ええ、そうですけど」 

「刑事さんたちが、水田くんにも話が聞きたいって仰ってるんだ」

「え?」と、清水がビックリする。

 それから、兵頭部長が口を開く。

「今さっき副社長さんからちらっと彼のお話を聞きまして……」と、兵頭部長が説明する。「なんでも営業部のエリートらしいじゃないですか! 彼も石原社長と関係があるようなので、ぜひともお話をお聞きしたいんですが……」

 兵頭部長が清水にそう言うと、「分かりました。すぐ連絡してみます」と、彼女は言った。

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