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白石たちは一度、署へ戻った。片桐は鑑識に社長室の鍵と紺色のハンカチを渡す。
「指紋が見つかれば、犯人の特定もすぐだな」
デスクに座っている片桐がにやりと笑って言う。
「ま、ま、まあね。で、で、でも、もしみ、み、見つからな、な、なかったら?」と、隣のデスクに座る白石が訊く。
「また一から捜すしか……」と、片桐は小声で言う。
「そ、そ、そうだね」
「それも、面倒くさいなぁ……」
つい彼は本音をポロリと言う。
「しかし、緑川さんの言う通り、あの部屋にはもう一つの扉があったとは……」と、片桐が感心して言う。
「そ、そ、そうだね」
白石もそれには驚いていた。「あ、あ、あの部屋はみ、み、密室じゃなかったんだね」
「ああ。犯人は『あの扉』から出入りした……。となると、つまり、犯人はあの扉の存在を知っている人物という訳だ。そうか! 犯人は、緑川さんだよ!」
それから、片桐が断言するように言う。
「い、い、いや。は、は、犯人がわ、わ、わざわざと、と、扉のことをお、お、教えるかな?」
白石は真顔で言う。
「ああ、そうか。じゃあ、別人か……。となると、一体誰が……?」
片桐はそう言って黙る。
「は、は、犯人はあ、あ、あのと、と、扉をし、し、知っているじ、じ、人物でま、ま、間違いないよ! ほ、ほ、他にもい、い、いるはず」と、白石は言う。
それから、白石は考える。
「そ、そうか!」
白石は閃いた。「わ、わ、分かった!」
「犯人が、かい?」と、片桐は訊く。
「こ、こ、このみ、み、密室のな、な、謎だよ!」と、白石は笑顔で言う。
それから、白石は片桐にその密室のトリックを話す。
白石の話を聞いて、片桐は驚愕する。
「なるほど! そう言うことか!」
片桐がそう言い、白石は頷く。
「すぐにS:TARへ行こう! 関係者全員集めて〈解決編〉と行こうじゃないか!」
片桐は、にやりと笑って言った。




