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白石はデスクに座ると、白い紙とペンを取り、図面を描き始める。
「何を描いているんだ?」
白石の隣に座っている片桐がそれを見て訊いた。
「しゃ、しゃ、社長室の絵だよ」と、白石は答える。
「あー、あの密室現場ね」
「そ、そ、そう」
それから少しして、白石はその絵を描き終えてペンを置いた。
白石はその絵をじっくり見る。片桐もその絵を覗き込むように見た。
社長室には、社長デスク、椅子、観葉植物、本棚、テーブル、長ソファが二脚、タンス、ひまわりの画、クローゼットがあった。
それから、社長が扉の前に倒れていた。
現場は密室だった。
犯人はどのようにして社長を殺したのだろうか。
そして、犯行後、犯人はどこから姿を消したのか。
白石は考える。しかし、全く見当もつかなかった。
「そうか! クローゼットだ!」
それから、その絵を見ていた片桐が閃いたように言った。
「く、く、クローゼット!?」と、白石が訊き返す。
「そう。犯人はクローゼットの中に隠れていたんだ!」
片桐がにやりと笑う。
「ほう」
それから、片桐が口早に説明する。
「犯人は、あらかじめ社長を社長室に呼んでいた。その前に、犯人は社長室の鍵を開けるかしてそこへ入った。それからすぐにクローゼットの中に隠れて、社長が来るのを待った。数分後、社長がそこへやって来て、犯人はすぐにクローゼットから出てきて社長を殺した……」
「なるほど」と、白石は頷く。「だ、だ、だけど、し、し、清水さんがは、は、発見した時、しゃ、しゃ、社長室の鍵はし、し、閉まっていたんだろう?」と、白石は訊く。
「ああ、そうだ。ということはだ、犯人は鍵を持っていた人物になる!」
「そ、そ、そうか!」
「うん。つまり、社長室の鍵を持っていたのは石原社長と秘書の清水さんの二人。社長でないとすれば当然彼女が怪しい……ということになる」
片桐はにやりと笑って言う。
「た、た、確かに! ぼ、ぼ、僕もそ、そ、そんなき、き、気がする……」と、白石は言った。
「だろ? すぐに彼女に話を聞きに行こう!」
それから、片桐が意気揚々に言う。
「ちょ、ちょ、ちょっとま、ま、待って」
それから、白石が片桐を制して言う。
「何?」
「しょ、しょ、証拠は?」と、白石は訊く。
「証拠か。あーそうだな……。防犯カメラに映ってるんじゃない?」と、片桐は言う。
「か、か、確認したけど、ぼ、ぼ、防犯か、か、カメラなんてな、な、なかったよ」
「え? そうか……。それじゃあ、クローゼットに彼女の物や指紋なんかが付着してるんじゃないかな?」
「か、か、鑑識がだ、だ、大体見たって、い、い、言ってるみ、み、みたいだけど」
「もっと調べれば、何か出てくるんじゃないのか?」
「ま、ま、まあ、そ、そ、そうかもね。そ、そ、それと、きょ、きょ、凶器は?」
「凶器か……。あの部屋にないとなれば、彼女がまだ持ってるんじゃないかな?」
「す、す、捨てるば、ば、場合だってあ、あ、あるとお、お、思うけど」
「彼女のカバン全てひっくり返せば、凶器の一個や二個出てくるって!」
「い、い、いや、きょ、きょ、凶器はに、に、二個以上で、で、出てきたら、こ、こ、怖いから!」
白石がそう言うと、「そんなの冗談に決まってるだろう!」と、片桐は呆れた顔で言う。
冗談ならいいのだが。「はあ……」と、白石はため息を吐く。
悪い悪いと、片桐は反省して無さそうに言う。
「さ、彼女のところへ行こうじゃないか!」
それから、片桐はにやりと笑って言った。




