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3.ミックス授業

「ん…。」

寮の机に肘をつき、窓の外を眺めながら私は考えていた。


(私がやっていたゲームの中だと思うんだけどな…。設定とか登場人物とか一緒だし、唯一違うのは蒼君のキャラ。外見はそのままイケメンで…。でも、性格があんなにクール?冷たかったっけ?ゲームの中では、優しい蒼君だったんだけどな…。ちょくちょくゲームのシナリオ通りに進んでいないし…。せっかく推しのゲームに転生したのに、青春せずに終わっちゃうのー!?)


「何!?悩み事?話聞こうか?」

急に肩にポンっと手を鈴奈が置き、心配そうに見つめてきた。


「あっ、大丈夫大丈夫。ごめんごめん、ちょっと考え事してただけだよ。」

アハハと苦笑いしながら答えた。


(言えるわけないよね。ここが乙女ゲームの中で、蒼君が私の知ってるキャラじゃないってこと…。)


「ねぇ、そう言えばさ、来週専攻教科のミックス授業だよね。」

と鈴奈がふと思い出したように言う。


「ミックス授業?…ミックス授業かぁ…。あっ!!」

ふと大きな声を出し、ゲームのクエストを思い出す。


(ミックス授業とは、専攻教科が異なるペアがお互いに知識や感性を広げるために行われる授業であり、ゲームのクエストの1つでもある。確か私は、蒼君とペアになるはず…。そして、お互いの好感度が上がり、距離が縮まるはず…。)


ミックス授業当日


「今回、初めてのミックス授業だからまずは、席の隣同士でやってもらう。」

と担任の先生が言い、クラスメイト各々がお互いに机をくっつけて授業にとりかかる。


「蒼君、よろしくね。」

隣で机に伏せている蒼君に声をかけ、机をくっつけようとすると


「あっ!?まじだりぃから、適当にやっといて。」

と軽くあしらわれ、再び蒼君は机に伏せた。


(えっー!?こういう展開だったっけ?違う違う。お互いに教え合ったりとかするはずなんだけど…。)


「あっ、でも…ミックス授業だから、蒼君が普段勉強してることとか教えて欲しいなぁ…。」

一瞬、蒼君の反応に驚くも、平然を装いながら話しかけるも


「うざいなぁ!!」

と一言大きい声で言い、蒼君は教室を出て行った。

担任の先生が急いで蒼君を追いかけて行った。

蒼君の声は、クラス中に響いていて皆私に注目していた。

まさかの蒼君の態度にぽかーんと私は固まってしまった。


「何なら、俺らのグループに入る?俺はアイドルだし、鈴奈は作曲だし。皆、専攻教科違うからさ?」

と近くにいた朱馬君に誘われ、3人でミックス授業をすることにした。


「本当、蒼君って最近変だよね。」


「そうそう、前まで俺らとよくつるんでたのに、全然最近は1人でいるようになったし。アイドルに対しての熱も何か冷めてるみたいな感じなんだよな。」

と鈴奈と朱馬君が話していて、蒼君の何かしらの違和感を感じているらしい…。


(この授業で、距離が縮まるどころか逆に嫌われてるんじゃない?好感度ダダ下がりじゃない?)


「まぁまぁ、気にすんなって。花音の専攻作詞だろ?色々教えてくれよー。」


「あたしにも教えて教えて!!」


「うん、えっとね…。」

と私は作詞に関する知識などを朱馬君と鈴奈に教えた。

2人はうんうんとうなずきながら、私の話を聞いていた。

朱馬君のアイドルの知識、鈴奈の作曲の知識について教えてもらいミックス授業は、無事に終わった。

結局、蒼君はミックス授業中教室には戻ってこなかった。 

次の授業前には、何もなかったかのように教室に戻ってきた。

相変わらず、授業中はふて寝していたりとまじめに授業は受けていなかった。


昼休み

「ねぇねぇ、学校終わったあとひま!?」

と朱馬君が、私の机の前にスキップしながらやってきた。


「えっ?まぁ、ひまだけど」


「じゃあ、カラオケいかない!?」


「ふえっ!?」

急な誘いにびっくりして変な声が出てしまった。


「んで、どうなの?行ける?」


「ええっ!?えっと、あたし音痴だからさ、蒼君とか歌上手そうだし、誘ってみたら?」

と横目で蒼君を見ると、さっきまでふて寝していたがふと目が合った。


「なんで俺なんだよ。行かねーよ。」

と言って教室を出ていってしまった。


「あっ、何かごめんね。聞く専でよければいいよ。」

場の悪い雰囲気になってしまい、朱馬君に謝る。


「全然気にしなくていいよ。本当、蒼のやつ何か変だよなー。じゃあ、また放課後ね?」

と言い、朱馬君はどこかへ行った。


(行くとは言ったものの…。何か気まずいなぁ。鈴奈誘えばよかったなぁ。これって、朱馬君のルートに入ってるのかな?蒼君のルートしかやってないから展開が読めないなぁ…。)


放課後

ホームルームが終わり、教科書を鞄に詰め込み、朱馬君をキョロキョロと探すも教室にはおらず、戻ってくるのを待っていると…。


「結局、2人だけで行くの?」

と蒼君が鞄を持ちながら言った。


「ん…まぁそうだね」

私は軽く頷きながら答えた。


「やめといたほうがいいよ」

蒼君は一言そう言って、教室を出て行った。


「えっ!?」

一瞬驚くもすでに蒼君の姿はなく、朱馬君をとりあえず待つことにした。


がしかし…

いくら時間が過ぎても朱馬君は来ず。

よく見たら、鞄もない。

結局、補習の時間帯になっても来ず。


「えっ??どういうこと?」

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