1.出会い
私は、急にいろいろあってとある学校に転校してます。
「初めまして。一色花音です。よろしくお願いします。」
緊張しながら一言挨拶をし、軽くお辞儀をする。
「じゃあ、席は蒼の隣で」
担任の先生が窓側の一番後ろの席を指差しながら言う。
黒髪に青のメッシュが入った男の子の隣の席である。
(そうそう、席は蒼君の隣で、、、)
「わかりました」
と言い、私はその席に向かって歩き
(うわぁー、、、イケメンばっかり。やっぱり、生で見るとレベチだわ。)
と目線だけキョロキョロと動かし、クラスメイトの顔を見る。
「蒼君、初めまして。よろしくね」
と隣の席の男の子に声をかけた。
(うわぁぁぁあ。生蒼君だ!!やばぁぁあい。一番はやっぱり、蒼君だよ!!いけないいけない平常心平常心。んで、蒼君は"へぇ〜君可愛いね"と返事をするはず)
「ぁ!?馴れ馴れしいな、お前なんだよ」
と怪訝そうな顔つきで言い放つ。
(えっ?あれっ?えっー!!)
「えっ!?」
と不意に心の声が漏れ、きょとんとした顔をし、とりあえず席に着く。
(ちょっと待って待って?出会いの始まりが真逆なんですけど?どーゆーこと?私が思っている蒼君のキャラじゃない、、、)
なぜ、このような状況になるのが分かるのかと言うと
私、一色花音はやり込んでいた乙女ゲームのLOVE STAR学園の主人公に転生しているからである。
アイドル育成、そしてアイドル育成生との恋愛、逆ハーレムの世界観のゲームである。
のはず、、、。
(あれれ?最初から、ハーレムどころか嫌われてるような?)
もちろん乙女ゲームだから、皆イケメンなんだけど
私の一番の推しは、蒼君。
見た目はもちろんイケメン、それだけじゃなくてとても優しいの。
蒼君のグッズ頑張って集めてたし、何なら痛バックいや蒼君バックも作って持ってた。
いわゆるヲタクである。
そんな乙女ゲームの主人公に何故転生しているかと言うと、、、。
朝、バスで通学中に事故に遭った
一瞬の出来事で、驚くどころか痛みさえないまま、、、
いつの間にか、LOVE STAR学園の転入生になっていた
私、ハーレムじゃんと思ったのも束の間、、、。
私の知ってるゲームの蒼君とは真逆なんですけど!?
ハーレムどころか嫌われてる!?
蒼君ルートをやり込んでいた私は、この乙女ゲームを熟知している。
主人公(私)と蒼君をはじめ、他のアイドル育成生との恋愛ハーレムを楽しめるはずなのだが、、、。
全くもっての真逆なんですけどー!?
「ねぇねぇ、花音ちゃんだっけ?私、鈴奈。よかったら仲良くしてね」
と前の席の女の子が声をかけてきた。
「あ、ぜひぜひ!よろしくね。」
私は鈴奈と友達になるのであった。
鈴奈
主人公の友達で寮のルームメイト。
LOVE STAR学園の登場人物の1人で、とても可愛らしい子
専攻は、作曲
ちなみに私の専攻は作詞
LOVE STAR学園は、アイドル育成だけじゃなく音楽全般の専門の学校である。
蒼君はアイドル専攻
ダンスや歌の練習で大変そうだ。
「次は、専攻授業だからそれぞれの教室に行くように」
担任が言いながら、専攻授業の移動教室の案内を黒板に貼り出す。
「はーい」
とクラスメイト各々が貼り出された案内を見に行く。
「あ、、、めんどくせぇ。」
隣から気怠そうな声がする
渋々案内を見に行き、教室を移動する蒼君の姿に驚く。
「蒼君って、こんな何かやる気ない感じだったの?」
と鈴奈に尋ねると
「前までは、レッスンとかまじめにやっていたんだけどね。ここ最近、やる気がないみたいな感じ」
鈴奈の言う通り、私の知ってる蒼君は昔からアイドルに憧れて夢に向かって頑張ってるっていうイメージなんだけど、、、。
ゲームではこんな感じじゃなかったのにな。
ゲームのバグ?かなんかなのかな?