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極東の神国
あれから気が遠くなるほどの月日が経ち……。
時は前刀歴二〇一二年。
地球滅亡が噂された十二月二十一日のことだった。
世界に住む、ごく一部の人間が、生涯に必ず犯罪を犯す『ムイ』という人種に突然変異した。
ムイには一騎当億とも言えるほどの凄まじい異能の力が宿っていた。それを恐れた世界は、ムイを幽閉することを決めた。
世界の人口、一九億八八四五万人(推定)に対し、ムイは僅か一八八一人で、何故か前刀歴二〇〇〇年に生まれた子どもしか居なかった。
ムイ幽閉後、過失犯しか存在しないのが当たり前の、汚れ無き世界ができあがったのだった。
故意犯罪者が存在し得ない、汚れ無き世界は、いつしか『極東の神国』と呼ばれるようになっていた。
そして前刀二〇一二年以降、世界にムイが生まれてくることはなかった。
その『代償』が……彼らの運命を大きく変えることになる。




