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第4話 異変

~第3話までのあらすじ~

 隠れた名所「二本杉」から帰ってきた翌日、ひびき糸葉いとははそれぞれ学校へ登校した。

 充実した高校生活を送る響は、男女から広く人気を集める高嶺たかねの花、中野旗音なかのはたねを昼ご飯に誘う。

 そのとき、正午を知らせるチャイムが鳴った。

—2028年2月29日(火)—


 「おにいちゃ~~ん!」


(ん...糸葉いとはか...今日は早いな)

ひびきは糸葉の声に起こされた。その瞬間。


バサッ!


 ベッドが大きく揺れた。糸葉が響のすぐ隣に飛び込んできたようだ。まだひらききらない響の目に映ったのは、いつも通りかわいい糸葉の顔だった。しかし、いつもと違う点が一つだけあった。


 身体からだの大きさである。無意識に糸葉の顔の少し下を見ると、これまでの糸葉のものより倍近くの大きさの胸がある。そして今の寝ている姿勢では、目線はほぼ同じであるが、響のつま先が糸葉のひざあたりにあるのだ。身長は軽く2mを超えているようだ。響は驚きのあまり、完璧に目が覚めた。


「おっきくなっちゃった!」


「...糸葉...糸葉!その身体どうしたの!!」

「わかんない!目が覚めたらこうなってた!」


(なんだなんだ!?どうなっている!?昨日までは普通、だったよな...ん?)


 響は、昨日あった出来事を思い出そうとしていた。

 しかし。


(昨日の昼までは覚えているんだ...

 そう!旗音はたねを昼ご飯に誘って、で...返事は...

 あれ?12時の鐘が鳴って、それで...)


 響は気付いた。昨日の12時以降の記憶が空っぽであることに。忘れたというか、そもそもないような。

 

 念のため、響は糸葉に確認してみた。

「糸葉、昨日の午後のことって、覚えているか...?」

「昨日は学校行って~試験返ってきて~、お昼食べ...あれ?...覚えてない」


(糸葉も記憶にない、のか?)


 響は一度洗顔を済ませ、リビングの椅子に座り、状況を整理した。

(昨日の正午まではオレも糸葉も普通に生活して、今日の朝起きたら糸葉だけが大きくなって、おれは昨日と変わらない...か)


 頭の中はひとまず落ち着いたが、響はこれから糸葉をどうするか考えていた。すると糸葉は言った。

「お兄ちゃんはひとまずご飯食べて学校に行ってきな!私は今日はおうちにいるよ。」

 響はリビングに歩いてきた糸葉を見て、その大きさにもう一度驚いた。頭が天井すれすれではないか。


「え...でももし糸葉が何かの病気だったりし———」

「ないない!私はこうしてピンピンだから!ほら早くっ!学校遅れちゃうよ!」

 響の言葉を遮るように糸葉は言った。国見くにみの朝は早いので、まだ学校に遅れる時間ではない。



 響は妹の主張を聞き入れ、ひとまず登校した。クラスに入ると待っていたのは、いつもと雰囲気の異なるざわつきである。


(何か妙だな...)


「ひびきっ!!」

 違和感を覚えた響へ勢いよく駆けつけたのは、昨日旗音の件ではやし立ててきたクラスメイトの一人、仕立したてハルヤである。ハルヤはやけに慌てた様子で続ける。

「今日の報道みたか!?」

「うぁ?報道?見てな———」

「これを見ろ!」


 今朝に続き、またもや言葉をさえぎられた響は、ハルヤがこちらに向けたスマートフォンの画面をのぞき込む。画面の中では顔も名前も知らないニュースキャスターが、興奮した様子で、もし響に妹がいなければ信じがたい事実を伝えていた。


「速報です。本日2月29日火曜日、日本に身長2.5m程度の正体不明の女性が多数出現しました。政府は出現した人々を「オトナ」と名付け、調査を進めています。繰り返します。———」


 日本。身長2.5m程度。女性。響の脳内検索で該当するのは一件。糸葉。

 オトナ?多数出現?糸葉以外にも「オトナ」化したひとはいるのか。


 そのとき、クラスの担任が「席に付けー」と、教室へ入ってきた。授業はいつも通りするのだろうか。そう考えていた響は、無意識に旗音の席を見る。旗音、旗音...。

 今日最大の衝撃が、響の中で走った。


 旗音がいない。

 というより、そもそも旗音の席がない。


(なぜ旗音がいない...みんなはそれに気づかないのか?)


 担任は席順表と教室を照らし合わせ、()()いることを確認する。

「休みはいないな。よし、朝礼を始めるぞ~。今日の報道は先生も驚いたが、学校はいつも通りだからな。小試験の問題配るぞ~」


(休みは...いない??

 やはり誰も気づいていない。昨日までここにいた友達、中野旗音がいなくなったことに)


 糸葉のオトナ化、多数のオトナの出現、旗音の消失。響はもう一度状況を整理した。


*人物*

仕立したてハルヤ:響と同じクラスの男子高校生。響の仲の良い友達である。

国見響くにみひびき  :物語の主人公で、県内の高校に通う男子高校生。妹とアパートで2人暮らし。

国見糸葉くにみいとは :響の妹。県内の中学校に通う女子中学生。

・謎の少女  :10歳前後のお菓子好きな少女。

中野旗音なかのはたね :響と同じクラスの女子高校生。成績・人柄ともに良く、男女どちらからも人気が高い。



*発生したバグ*

・空白の半日

 2028年2月28日の昼12:00~夜24:00までの12時間の記憶を持つ者はいない。

・国見糸葉のオトナ化

 国見糸葉は身長およそ230cmのオトナになった。

・中野旗音の消失

 2028年2月28日を最後に、中野旗音は姿を消した。



いよいよバグが発生(お待たせしました)!

なんで急にこんなことに!?


小ネタ)

発生したバグは、実は本文中にもう1つ隠されている。

のちに明らかになるが、ぜひ探してみては!?


ヒントは担任の言葉に注目...?


おまけの小ネタ)

本話で登場した仕立ハルヤ。

アナグラムすると

したてはるや→はやしたてる→はやし立てる

となる。前回のお話で響をはやし立てていたので。


では、

中野旗音=なかのはたね

を並び替えると...?

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