表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/40

第38話 結び



(よろしくお願いします...!)


 開かれた俯瞰ふかんの書から出てきたのは、先が二股に分かれた細長いやりだった。


「結びの道具...聖なる槍...」

 響はそうつぶやいた。開かれたページに書かれていた言葉である。


「自らの名を貫く...ということは、それをこの石の響くんの名前に挿す、ということでしょうか?」

「そうみたい...だね」

 衣央いおの問いに、永久野とわのは不安そうに返す。


 響はその場で立ち上がった。それを見て、4人も同じように起立した。


 伊奈瀬いなせは響の頭にポンッと右手を置いた。

「ひっきー。いよいよだね」

「...はい!」



 理想の未来を描き 大石に記された自らの名を貫けば 所有者オーナーとしての生を終え それを実現できるだろう



 響は「理想の未来」について、ずっと考えていた。


 響の理想は、糸葉いとはとも伊奈瀬たちとも離ればなれにならないこと。

 響にすべてを委ねてくれたリリーの理想は、あいりや茶緒ちゃおとずっと一緒にいること。

 しかし、少し前の彼女たちのように、4次元に帰りたいと思うオトナもいるだろう。


 そして響の中では、すでに答えは決まっていた。これらを実現する1つの答えだ。

 そんな響に、「どんな世界を願うの?」と聞く人はいなかった。


「おにいちゃん!がんば!」

「任せろ、糸葉!」



 そして糸葉は響の両肩に手を置いた。伊奈瀬は左手、永久野は右手を掴み...


「って、これじゃ槍挿せないんですけど!!」

 響は突っ込んだ。


「ちょっとあい!あんたが離しなさいよ!」

「伊奈瀬ちゃんだって、さっきひーくんの頭にポンッってやってたじゃん!」


 このに及んで響の取り合いである。

「2人とも離してください。響くんの晴れ舞台ですよ!」


 そう言って衣央は、伊奈瀬と永久野を響から引き剝がした。

「衣央さんありがとうございます」

「いえいえ!」


 そして響は少し離れたインターホンに向かって叫んだ。

「今までありがとうございました、王那さん!これからもよろしくお願いします!」



 そして聖なる槍を両手で持ち上げ、Hibiki Kunimiの文字に向かって挿し込んだ。

「えっちょっと、王那さんにこれからもよろしくって、どういうこと!?」と混乱している伊奈瀬たちに構わずに。



小ネタ)

聖なる槍のモデルは「ロンギヌスの槍」です。

ロンギヌスの槍をアナグラムすると...

ろんぎぬすのやり→すぎのやぬりろん→杉野ヤヌ理論

となります。杉野ヤヌ理論帳の名前そのものが、結びの道具の正体につながっていたんですね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ