49年後 日独ソ軍事演習
大戦終結から49年の月日が過ぎた。
今や世界は世界一の軍事力を持つドイツ第三帝国、経済大国日本。資源の宝庫となったソビエト共和国の三か国が台頭してる。
まもなく日本の管理下にあったアメリカが独立する頃だ。
現地の新政府には親日大統領であるハリス・エドワードが就任するだろうと言われている。
また、アジア諸国では日本を筆頭とする大同盟、環太平洋条約機構が成立。
これは加盟国への軍事攻撃があった場合、加盟国すべてが攻撃してきた国に対して自衛権を発動するというものだ。
これに呼応してか、ドイツ周辺国ではドイツ第三帝国への併合が加速。
フランス、スペイン、チェコ、バルト三国をはじめとする国々が次々と併合され、ドイツとなった。
永世中立国であるスイスは併合を拒んだため、ドイツ領の中にスイスだけが残される形となった。
1994年8月2日
ロシアとカザフスタンの国境付近の砂漠で日独ソ三国による軍事演習が行われていた。
演習の第一段は機甲部隊による射撃訓練だ。
「左砲戦用意!弾、徹甲。 撃て!!」
土煙をあげて前進してきたのはドイツ陸軍のパンターIVとティーガーIIIだ。
かつて連合国に猛威を振るったこれらの戦車は改良を重ね、最強というに足る戦車へと進化していた。
主砲は88mmをさらに大きくした105mm砲だ。
圧倒的な命中精度で次々に目標を撃破する。
「全弾命中!撃ち方待て!!」
ドイツ軍の攻撃終了後、帝国陸軍の掃討が始まる。
今回射撃するのは74式戦車と90式戦車だ。
90式戦車は高い攻撃力と防御力を併せ持つ万能戦車だ。
残る的はすべて破壊された後、周りの丘から風船が立ち上がった。
上空には帝国陸軍の輸送ヘリ、千怒がホバリングしている。
後部ハッチからロープがおろされ、89式小銃を持った兵士が降りてくる。
地上には先行してソビエト軍の装甲車ローザリアが展開し、制圧射撃を開始している。
降下し終えた隊員が順次射撃し、第二段演習は終了。
最後は航空機による空爆だ。
大きなエンジン音を響かせ、帝国海軍の晴嵐とMe547。そして帝国空軍の戦略爆撃機である52式重爆撃機が飛来。
装甲車を模したコンテナが晴嵐の対地ミサイルで粉々に吹き飛ばされる。
付近に爆発音の余韻が残るころ。 ヒューーーーーと風を切る音がした。
戦場経験したものならば耳をふさぎたくなる音が一瞬やんだ。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
何もなかった大地に次々に火柱が立ち上がる。
一瞬遅れて衝撃波と轟音がはしる。
観覧席で見ていた河野陸軍大臣と麻生海軍大臣が目を見張り、ドイツからはるばるやってきていたグデーリアン将軍は満足そうに眼を細めた。




