平和の前の戦い
「こちらカリフォルニア第三飛行場。富嶽、連山の離陸準備完了」
「こちら第二飛行場。屠龍及び紫電、景雲改の離陸用意完了。先月のお礼参りに行きましょう!!」
あの攻撃からおよそ一か月。
飛行場の修理も無事終わり、いよいよアメリカでの最後の攻勢を始めるときがきた。
敵の残存兵力はネブラスカ州のオマハ市周辺に集結している。
水道局があったこの場所は無数の配管が町中に張り巡らされている。
その一つ一つに兵士が潜み、最期の抵抗を敢行している。
すでにドイツ軍の戦車部隊や機械化歩兵が何度も攻撃しているがすべて返り討ちにあっている。
町中のマンホールや側溝からいきなり出てきて攻撃してきているのだ。
毒ガスの攻撃も行ったようだが、相手はガスマスクも装備しているために効果は薄い。
ドイツ軍からの救援要請を受け、陸軍は徹底的な空爆ののちに精鋭部隊の突入によって制圧しようとしていた。
離陸指令を受け、飛行場から爆撃機とその護衛戦闘機が発進する。
数時間のフライトの間、迎撃もなく一機も失わずに目標上空に到達できた。
超重爆撃機富嶽らの爆撃機によって街は壊滅。家屋もほぼすべてが破壊された。
爆撃の間にパラシュートで武装偵察大隊一個中隊300名が降下した。
百式機関短銃に消音機をつけてマンホールから地下に侵入する。
いつどこから敵が出てくるからわからないため慎重に突入する。
敵のせん滅には、地下にあるといわれている火薬庫と燃料貯蔵庫に爆弾を仕掛け遠隔で爆破、敵をせん滅する。
ー中隊長 睦谷中佐ー
「前方に歩哨三人、銃剣で刺殺する」
その言葉の通り流れるように敵の背後に忍び寄り喉を銃剣でかき切った。
敵はうめき声一つ上げずに倒れる。
その歩兵たちはMp40。ドイツ軍のサブマシンガンを装備していた。
おそらく前に攻撃したドイツ軍から鹵獲したのだろう。
歩兵たちを処理した後、次の部屋に突入する。
武器庫のようだ。
中には6人の兵士。気づかれた。
壁に掛けられている銃をとろうとする。
「撃て!」
プシュッ!プシュッ!
銃弾は正確に敵兵を捉えた。
血まみれになった敵兵がその場に崩れ落ちる。
「隊長、こいつらどうします?」
このまま死体を残していたら見つかってしまう。
そう言いたかったのだろう。
「そこの武器の入っているロッカーに放り込め」
兵士が慎重にロッカーを開ける。
その中には見慣れぬ武器が並んでいた。
「隊長・・・これ本当にアメリカ軍の装備なんですか?」
そこには特徴的な外見の対戦車火器、パンツァーファウストが何本もならんでいた。
「おい、これはドイツ軍の装備じゃないか。なぜこいつらが持っているんだ!?」
「隊長、これを見てください!」
隊員の一人が木箱を指さす。中には汎用機関銃、MG42が入っていた。隣の金属の箱には弾薬ベルト。箱にはドイツ軍のシンボル、鍵十字が描かれていた。
「鹵獲にしてはきれいだな・・・ほかのロッカーも調べろ!」
指示を受けた隊員があたりのロッカーや引き出しを開ける。
武器が山ほどでてきた。
ドイツ製の対戦車地雷や20ミリ機関砲、対戦車砲とその弾薬数十発。さらには戦闘糧食まででてきた。
「なぜアメリカ軍の地下壕にこんなにドイツ軍の武器があるんだ!?」
「既にドイツ軍が制圧した・・・という可能性は?」
「ありえん。我々はドイツ軍の要請を受けてここに突入したのだぞ!・・・ドイツ軍の・・・要請で・・・?」
その時足音が近づいてきた。おそらく二人。言語は英語だ。
「静かに、入ってきたら殺すぞ」
幸いこの時は素通りしていった。
「隊長、どうします?」
「とにかく任務を果たして離脱しよう。このことは大本営に知らせなくてはならない」
隊員は武器庫に爆薬を仕掛け、次の部屋へと急いだ。
歩き続けること数分。大きな廊下にでた。
ブーー!
クラクションを鳴らしてトラックが通り過ぎる。
星のマークがある。明らかにアメリカ軍のものだ。
問題は積み荷だ。数メートル走ったところで停止したトラックの荷台が開き、中からコンテナが出てきた。
Meal・・・食料と書かれた箱からは小麦や肉などの食材が出てきた。
最後に出てきたのは鍵十字の箱に入った弾薬だった。
「信じられんな・・・」
「隊長、あのトラックに爆薬を仕掛けましょう。あれが吹き飛べばここは寸断されます」
「よし、許可する」
その後、接敵もなくすべての部屋に爆薬を仕掛けることに成功した。
「部隊の回収完了、爆破します」
隊員を回収した装甲車の中から遠隔で爆破された地下壕は米兵数万とともに吹き飛んだ。
米軍戦力の完全なる壊滅にホワイトハウスは降伏を決意した。
次回、日米独の和平交渉がおこなわれます!!
(和平交渉後もこのお話は続きます。「史実のアメリカとソ連みたいな感じになる」といえばわかるかな?