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皇国最期の反撃作戦  作者: パイン
対連合国戦線
34/49

陸軍パイロット

ゴオオオオオオオオ


レシプロとは明らかに異なるエンジン音が飛行場に響く。


800キロ爆弾を翼下に2基搭載したジェット攻撃機「景雲」は米国原爆研究室への空爆を行う。


高速で敵の迎撃機や対空砲火を突破。


爆弾投下後はレーダーを避け、低空を飛び離脱する。


1945年6月30日 午前二時。


かつての戦艦の名前の由来となったアリゾナ州のグルシー飛行場に5機の景雲の姿があった。


極秘作戦のため、見送りもなく飛び立つ。


隊長機は山本中尉。


なれないジェット推進機を離陸させ、5機の景雲はロスアラモス研究所を目指した。


目標到達は午前6時。


夜明けと共に攻撃を仕掛ける。


景雲には初めて航空機用電探が搭載された。


探知半径は90キロ。しかし、地形の影響を受けるため急な接敵も考えられる。


武装には五式30ミリ機関砲が2基と99式2号20ミリ機関砲が2基搭載されている。


零戦や紫電のような格闘性能はないが、最高速度950キロを誇る高速で敵機を振り切れるだろうと考えられていた。



午前5時30分


ー1番機 山本中尉ー


「あと30分で目標だ。 各機、警戒を怠るな」


ふと、電探に目をおとす。


画面の中央に自機。 その後方に4つの光点がある。


だが、前方に8つの光点。


まちがいなく敵機だ。


「総員戦闘態勢に入れ、目標8機!補足されたら攻撃する!!」


幸い、まだこちらに気づいた様子はない。


この、まま横を素通りできるだろうか。


祈るような眼で敵機を見つめる。


距離はおよそ5キロ。


敵機が急旋回し、こちらに向かってくる。


見つかった。


「敵機にみつかった!数は8機。各機、戦闘態勢に入れ!!」


バンクを振り、攻撃態勢に入る。


このままだと機首を向けたままヘッドオンになるだろう。


機影はマスタング。この一撃を交わしたら速度差で振り切れるだろう。


敵機の翼から発射されたブローニングの赤い曳光弾が見えた。


一瞬遅れて発砲。


少し撃ってから回避軌道に入る。


機体の横を曳光弾がかすめていく。


バスッ!!


鈍い音がした。 回避が間に合わず被弾した。


エンジンから黒煙が出ている。


こちらの攻撃は、30ミリが直撃したらしく片翼を喪失している。


速度計は600キロを示している。


この速度では、無傷のマスタングに追いつかれる。


「隊長、3番機が!!」


風防の外では黒煙を噴いて墜落していく3番機の姿があった。


このままでは全滅してしまう。


「各機に告ぐ、このままでは全滅だ!格闘戦に入れ。重い爆弾は投棄しろ!!」


対地攻撃の爆弾を捨て、空戦に入る。


これまでの機体とは扱いが異なり、戦いづらい。


「くそ、せめて目標が見えれば!!」


ダダダダダ!!


考え事をしている間に背後を取られていた。


弾が機体をかすめていく。


「帝国陸軍のパイロットをなめるなよ!!!」


山本中尉はコブラ軌道を使用し、敵機の背後を取った。


機首から放たれた20ミリが敵機を粉砕する。


「目標は、どこだ!?」


朝日が昇る。


「隊長、前方に目標を確認!」


朝日に照らされた研究所が銀色に輝いている。


「見えた!各機、攻撃せよ!!」


そう叫んだはいいが、みな爆弾を持っていない。


ここで撤退したら敵はこの空域の強化をし、攻撃はこんなんになる。


「全機離脱せよ。 靖国で待つ」


そういい遺し、山本中尉は研究所に激突。


一瞬遅れて大きな火柱が立ち上がった。






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