第二の刃
ハワイに夜が訪れた。
米軍戦闘機の奮闘で日本の航空隊は引き返し、この隙に米軍は艦隊を立て直し損傷した艦は応急修理を行っていた。
だが、帝国海軍は第二の刃を用意していた。
空でも海上でもない・・・海中だ。
帝国海軍は伊400や伊19などを主力とした潜水艦を海域に派遣した。
闇に乗じて接近し、魚雷を撃って早急に離脱するといったものだ。
また、魚雷発射管には酸素魚雷が装填され空母や戦艦でも致命的なダメージを与えることができた。
だが、米軍の輪形陣を帝国海軍は過小評価していた。
敵艦隊まで10キロまで接近した潜水艦部隊は、早速輪形陣の外側を航行する駆逐艦を発見した。
だが、この駆逐艦は無視し、中心にいる空母や戦艦を狙おうと艦長は決断した。
この決断が命取りになる。
外周を航行していた駆逐艦は、そのソナーではっきりと多数の潜水艦を捉えていた。
米艦隊司令は輪形陣の中心まで引き込んで退路を塞ぎ、確実に仕留めようとしていた。
指令を受けた駆逐艦や駆潜艇が包囲の輪を狭める。
上空には水偵が飛び、サーチライトで潜水艦がいると思われる付近を照らしている。
その時、駆逐艦のソナーが再び反応した。
幸い、潜水艦は密集している。
攻撃命令が出た。
駆逐艦や駆潜艇の後部から爆雷が次々に投下される。
大きな水柱が何本も立ち上がる。
潜水艦は、一本の魚雷を発射することもかなわず、回避航行に徹していた。
だが、敵の攻撃は正確だった。
艦内の各所で浸水が発生、緊急浮上と潜航を繰り返すが被害は拡大する。
この攻撃を受け生還できたのはボロボロの伊18一隻だけだった。
帝国海軍の第二の刃は儚く砕け散った。




