迎撃開始
ー米空母直掩 F8F隊長機 リム中佐ー
「低空に敵雷撃機、うじゃうじゃいるぞ!!」
「隊長!左翼前方にゼロ!!」
僚機と連携を取り、母艦を守り抜いている。
ほかの迎撃機と戦っていた零戦は背後から迫る新たな敵に気づかなかった。
「堕ちろ・・・」
照準の中央に零戦が捉えられる。
躊躇せず引き金は引かれる。
機体を穴だらけにされた零戦は火を噴いて墜落していった。
さらなる獲物を探すリム中佐は低空を乱舞している雷撃機に狙いを定めた。
雷撃機「天山」は機体後部に7ミリ機銃を装備している。
しかし、F8Fには火力不足と言わざるを得ない。
リム中佐機は「天山」の背後についた。
銃座が必死に射撃を開始する。
だが、有効弾を得ることはできない。
再び引き金を引いた。
「天山」は魚雷を抱いたままハワイの青い海に飲み込まれていった。
その時、後ろに不吉な気配を感じた。
振り返るとそこには帝国の誇る新鋭機、「紫電33型」がこちらを狙っていた。
慌てて旋回する。機体の横を20ミリ弾が空を引き裂き飛んでいく。
一瞬でも遅れていたら自分は火だるまになっていた。
エンジン出力を最大まで上げ、急降下で逃げる。
だが、相手も必死だ。しつこく追いかけてくる。
機体を銃弾がかすめていく。
燃料タンクに穴が空いたらしく、燃料が漏れている。
「クソッ こうなったら、対空砲の射程まで逃げ切ってやる!」
リム中佐は宙返りやシザースなどを駆使して時間を稼ぎ、着実に艦隊まで向かっていた。
そして・・・
ドン! ドン! ダダダダダダ!
周囲の艦艇が対空射撃を始めた。
目標はもちろん後ろに張り付いて離れない敵機だ。
1分もたたぬ間に敵機は炎上した。
だが、この敵は中佐の想定をはるかに超える行動をした。
炎上した紫電は急上昇した。
そして高度1000で急旋回。
ほぼ垂直な角度で付近を航行していた駆逐艦に突っ込んだ。
機体は艦橋に直撃。敵駆逐艦は大破した。
だが、どんなに敵を落としても、どんなに敵を殺しても
戦いは終わらない。