砲戦開始
米軍の砲をはるかに超える射程を誇る巨砲が敵艦へ咆哮した。
初弾は敵艦を逸れた。
だが、発艦した水偵が着弾場所を報告する。
「砲雷長、左に修正急げ!!」
「了解、各砲塔、左に修正」
再び徹甲弾が装填される。
「撃てええええええええええ!!」
発砲の衝撃で海面がへこむ。
放物線を描いた砲弾は敵艦を捉えた。
ドオオオオオオオオオン!!!!
敵の重巡、「インディアナ・ポリス」に4発が命中。轟沈した。
アメリカ艦隊も慌てて撃ち返すが、届くはずもない。
不利を悟ったアメリカ艦隊は後方の空母部隊に航空支援を要請した。
その間にも「大和」と「武蔵」の攻撃は続く。
実力を長らく発揮できなかった46センチ砲は次々に命中する。
焦ったアメリカ艦隊は航空支援を待たず、「大和」艦隊に突撃する。
アメリカ艦隊の射程圏内に日本艦隊が入るまでに戦艦一隻、巡洋艦4隻が戦闘不能、あるいは沈没している。
しかし、両者の射程に入ると、砲の数で優る米軍が少しずつ形成を逆転していった。
40.6センチ砲は、戦艦相手でも多大な威力を発揮する。
多くの砲弾を受け、「金剛」が航行不能に、そこを雷撃され轟沈した。
主力だった戦艦を失った連合艦隊は不穏な空気を察した。
だが、その主砲も「大和」と「武蔵」には効かない。
自身の砲弾にも耐えられる強靭な装甲を貫通できるはずもない。
重巡や駆逐艦が次々に被弾していく中、「大和」と「武蔵」は健在だった。
乱戦のなか、「大和」と「武蔵」は宿敵を発見した。
米軍の誇る、戦艦「アイオワ」である。
40.6センチ3連装砲を装備している強力な戦艦だ。
その大きな主砲が火を噴いた。
5発が「武蔵」に命中。
装甲こそ問題ないが、2発が煙突と後艦橋に命中。
多数の死傷者がでた。
負けじと「大和」が撃ち返す。
4発が命中。後部甲板に砲弾が集中し、「アイオワ」は機関が停止。
しかし、戦闘は可能だった。
近くを航行していた重巡「愛宕」に砲弾が集中した。
火災が各所で発生し、「愛宕」は総員退艦を下命し、自沈した。
装填が終わった「武蔵」が再度発砲。全弾が命中し、止めを刺された「アイオワ」は絶叫のような爆発音を遺し轟沈した。
ハワイに夜明けが訪れた。
朝日を浴びた連合艦隊は、進撃を続ける。
しかし、米軍は高速の魚雷艇と突撃させた。
計100隻を超える魚雷艇が日本艦隊を攻撃する。
駆逐艦や巡洋艦の砲撃で大半が削られた。
しかし、12隻の魚雷艇が「大和」に迫った。
一斉に計24本の魚雷を射出。
いかに「大和」といえど、この量は到底耐えられない。
面舵をきって回避しようとするが、間に合わない。
ー駆逐艦 初月 艦橋ー
「艦長、多数の魚雷が『大和』に!!」
「クソ!間に合わなかったか!!」
護衛の駆逐艦の「初月」は「大和」の護衛を命じられていた。
「艦長、『大和』が!!」
艦長は決断を迫られた。だが、軍人であるならば答えは一つだ。
「総員退艦せよ!これは艦長命令だ!!」
「初月」は「大和」の盾となることを決意した。
だが、艦橋にいるものは誰も動かない。
「お前ら、退艦しろ」
「どんな時も、持ち場を離れるなと、艦長から教わりました」
「艦長を残していけません。ご一緒させてください」
艦長は、新兵や、若い兵士だけを退艦させ、幹部と運命を共にした。
「機関最大船速、『大和』の左舷にでる!!」
「初月」が「大和」の左舷に並びかける。
「大日本帝国 万歳!!!!」
ドオオオオオオオオオン!!
24本の魚雷を一斉にくらった「初月」は原型を留めないほどに破壊され、沈んでいった。
次回、対空戦闘!!
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