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28.大樹の手記 五章(閑話)

 五.魔道具について


 魔道具とは読んで字のごとし、魔力を利用して使用する道具類である。広く出回っているものとして魔灯まとうがある。これは魔力を光へ変換すると言う原理で動作を開始し、その後は込めた魔力量の分だけ継続動作すると言う特徴がある。しかし稼働時間は永遠ではなくせいぜい数十時間のため蝋燭の代わり程度にしかならない。それでも魔力を体外へ流す練習にはもってこいの道具である。


 魔灯の便利な使い方の一つに目印として使用すると言うものがある。深い森や洞窟等を複数人で探索しているとき、先行しながら魔灯を設置していく。するとそれをたどりながら後続がやってくることが出来るし、自分が目印にして戻っていくこともできる。これは見知らぬ土地ではなかなかに有効なのでぜひ覚えておいてほしい。


 他に身近な魔道具として魔道具焜炉こんろが挙げられる。これは魔力を送り込みながら熱源を集中的に発生させるものである。調理をしたり湯を沸かしたりと重宝するはずなのだが、魔人にとって食は必須ではないため出番はそうそうなく、自宅に設置していない家庭も数多い。ただ嗜好品として茶を嗜むことは悪くないので、湯を沸かす程度には使えるようにしておきたいものだ。


 他にも魔力を流すことによって動作する道具は多岐に渡り、エネルギー源として光や熱、または圧力を利用するものであれば大抵は動力源を魔道具へと置き換え可能である。ただし火器類のように瞬発的な熱エネルギーを必要とするものにはあまり向いておらず、どちらかと言えば力を継続的に必要とするような機構に向いていると言える。特に熱を発生させるだけの道具は複雑な構造も必要なく相性がとても良い。


 だが魔道具の真価は複雑さを持たせたものにこそある。屋敷の敷地内全てを覆っている結界や、屋敷内に設置してある浄化装置は、複雑な魔術を埋め込んだ建築素材により永続的な効果を得ているものである。これらの永続装置は、動作を開始させた後は自然界の魔素を自ら取り込みながら動作を続けるよう設計されている。このように道具自体が魔素を取り込んで作動するものは中級魔道具とされる。


 魔術に大切なことは想像力であり、それを道具として具現化するのが魔道具師ということになる。魔道具師は想像し構成した魔術を、同じように構成した物体へ付与し動作原理を与える。これにより自動で動き続ける浄化装置や結界を実現すると言うわけである。石臼を自動的に動かし続けることも試みたが、巨大な機構を動かすだけの魔素を取り込ませることは無謀だったようで、残念ながら完成にはいたらなかった。


 しかし魔力を与えることで回転力を得られる魔道具には無限の可能性が有り、小さなものを動かす程度なら強大な魔力を必要としない。それこそ井戸の釣瓶つるべを昇降させたり、手押し車の車軸へ内包すると言った使い方が可能だ。馬車程度に大型なものだと一人で楽に動かすことは難しくなってくる。だとしても、複数人で魔力供給を行うことで大きな力を得ることもでき、車軸型の魔道具四つを四人で動かす魔力自動車は十分実用的で長距離移動に重宝されている。


 魔道具の道具部分は手加工で作った物へ魔術付与するものと、魔術自体で産み出す一括生成方式に分かれる。魔術付与する魔道具は作成が容易で単純動作する道具に向く。一方一括精製する魔道具は、高度な魔術技量が必要になり製作だけでも並大抵の力量では不可能であるが、その構造や性能、特性等は想像力の範囲内で無限である。


 これらの技術を駆使して製作した数々の品が屋敷の中にはいくつも設置・収蔵してあるため、将来的に参考となれば幸いだ。


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