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1.王子の駆け落ち

「王子の影武者を卒業したら、側近に求婚されています」の番外編ですが、この作品のみでもお楽しみ頂けます。



「王子が駆け落ちしたぞ!!!」



そんなニュースが城中を駆け巡ったのは、もう二日も前のことだった。



伯爵家の愛娘ビアンカ・アンダーソンは第一王子アルバートの所謂「許嫁」で申し分無い相手だった、はずだ。



しかし王子が選んだのは一緒に連れてきた侍女エリザベスの方だったらしい。



別に情熱的に好きだとかそういうのじゃなかったけど、少し胸が痛くてほんの少し、羨ましかった。


侍女として連れて来ていたエリザベスの事は姉のように慕っていたし、


偉そうに


『貴方にも良いお相手を見つけてあげるわ!』


なんて意気込んだ事も有ったのだ。



恥ずかしい気持ちと裏切られた様な気持ちがない混ぜになってまた、泣きたくなった。




「はぁ」


今日何度目かのため息を吐く。




頭を悩ませるのは、今後の身の振り方だった。王子に嫁ぐと大々的に見送られたのに、のこのこ帰るわけにも行かない。それに『王子の元婚約者』に求婚する人が出てくる見込みも、少なそうだった。



このまま帰ったとしても怒り狂ったお父様が反乱でも起こしかねないし、王国側としても持て余している事はわかっていた。



ーーコンコン


急にドアが叩かれ振り返る。臨時で雇われた侍女に開けるよう促すと


「やあ」


と宰相クロードが顔を出す。子供の頃から知ってるせいか、随分フランクに話しかけてくる。



前宰相の汚職を暴いた為、最年少での大出世との事だった。



「帰れないなら、私のところに来ませんか」


ポカンと口を開けていると彼が続ける。


「私の地位を確固たるものにしたいので」


「それに」


クロードは続ける。


「王国に恩も売っておきたいですし」


にっこりと笑った。



「まずは、」


「婚約者のフリから始めませんか」

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