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【18】騎士時代-王都⑥side:D


 動かないオズの元へがむしゃらに近づこうとして魔物の腕に弾き飛ばされた。

 背中を思い切り打ちつけて一瞬息がつまる。

 オズに近づけない。

 オズの体がずるずると魔物の腕に引きずられていく。

 そんなオズを、見ていることしかできない。

 生きながらに喰われていった同僚の最期が脳裏によぎった。

 オズが魔物に喰われてしまう?

 オズが。俺の大事な親友が、いなくなってしまう。

 恐怖で、呼吸ができない。


 やめてくれ、それだけは。


 おねがいだから、オズだけは、うばわないで。


 いやだ、おずわると、おずが、しんじゃう――


 その瞬間俺の体から何かが溢れ、視界が闇色に染まる。

 気がつけば、魔物の大半が跡形もなく消滅していた。

 先程とは打って変わって怯えるように弱々しく後退し始める魔物を前に、座り込んだまま呆然とする。

 何が起きたかなんてわからない。

 でも、そんな事は今どうでもよかった。


「お、ず」


 俺はうまく動かない足を引きずりながら、地面に横たわっているオズへと近づいた。

 土に汚れた頬に触れれば温かくて無性に泣きたくなった。

 呼吸も、ちゃんとしている。決して無事ではないけれど――オズは、まだ生きている。


 オズの頭を抱えていると、ふいにぽたりと雫が頬にあたった。

 のろのろと空を見上げれば、空から沢山の雫が落ちてくるところだった。

 ザァザァと雨が降りそそぐ中、近くで鎧の音と誰かの声が聞こえる。

 ようやくそこで後続部隊が近くまで来ていることを知った。


 もう、大丈夫……だろうか。


 薄ぼんやりとした思考でそんな事を考えながら、俺は意識を手放した。


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