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第6話 お得意様から大剣をもらう

 夜勤の仕事に行くと管理小屋の前に女の子がいます。

 オレンジ色に髪を染めて目の色はブルーです。

 若い子のセンスは分かりません。

 芸能人の真似かも知れないので聞かないでおきましょう。


 二人いるという事は、もしかして私は首ですか。

 女の子の値踏みするような目を横に管理小屋の扉をノックします。

 ドアが開き管理人が顔を出しました。


「瘴気が更に濃くなったので、今日から二人で回ってもらうよ」


 そういう事でしたか。

 増員という訳ですね。


「はい、分かりました」

「ええ、任せて」


 管理人が小屋に入ったので二人で墓場に立ちます。

 暇ですね。


「ティアよ。あんた装備がやけに新しいけど、ボンボンとかじゃないでしょうね」


 雑談するのも良いでしょう。


「キンロウです。まだ入社二日目です」

「入社が何か分からないけど、冒険者二日目なの。とんだ貧乏くじね。何が出来るの」

「聖なる光が出来ます」


「えっ、いい歳だと思ったけど、元神官なの」

「いいえ、昨日管理人に教わりました」

「墓守は教会の人間だから、頷ける話ね。聖魔法を一日で取得するなんてやるじゃない。見直したわ」

「造作もない事です。睡眠学習すれば誰にでも出来ますよ」


「睡眠学習ぅ? 寝てて勉強するの。どうやるのよ」

「上司の方が行ったと思うのですが、詳しくは分かりません。マル秘なのかも」

「秘儀という訳ね。納得ね」


「一つ聞きたいのですが、皆さんナノマシンは使っておられますか」

「ナノマシン? 聞いた事がないわね」

「パスワードを唱えるとナノマシンが聖なる光を出します」

「ああ、パスワードが呪文で魔力がナノマシンね。一体どこの国の言葉よ」


「二ホンです」

「知らない国ね。この国にはどうやって来たの」


「ワープですね」

「ワープも初めて聞くわ」

「一瞬で風景が変わったのです」

「ああ、転移ね。転移でこの国に来たのね。そうそう、魔力だけど、みんな使ってるわ」

「24時間ですか」

「ええ、必要ならね」


 おお、やっぱりそうです。

 同僚は24時間使っているのですな。


「使い方をレクチャーして貰ってもいいですか」

「ええ、良いわよ。私が使える攻撃魔法はこれ。炎の矢(ファイヤーアロー)


 ナノマシンが炎の矢となって飛んでいきます。

 うむ、覚える事ができました。


炎の矢(ファイヤーアロー)

「えっ、一発で出来るなんてずるい」

「ずるいと言われましても。そうだ、こんど上司に会ったら、睡眠学習を頼んでみます」

「絶対よ」


 地面が揺れました。

 地震ですか。


「アンデッドのお出ましよ」


 地面が割れ大剣を持った骸骨が出てきました。


聖なる光(ホーリーライト)

「駄目よ。ソルジャースケルトンには効き目が薄いわ」


 そうですか。

 ソルジャースケルトンがティアに大剣を振り下ろして来たので、彼女を突き飛ばし真剣白刃取りします。

 だって遅いですから。


「えっ、止めた」

聖なる光(ホーリーライト)


 ソルジャースケルトンの頭蓋骨の中に光をぶち込みます。

 暴れますが、私はピクリとも動きません。

 三分ほど暴れたらソルジャースケルトンは溶けて無くなりました。


「何よ。私の方が足を引っ張ってるじゃない」


 大剣が残りましたけど、これって戦利品という事で良いのですかね。


「大剣はどうしましょう。換金して山分けですかね」

「あなた、呪いが掛かった剣を良く持てるわね」


 呪いはたぶんナノマシンの変調をきたすウィルスプログラムなのでしょう。

 業界用語多すぎです。


「別に平気です」

「聖なる光で浄化できるかも」

「そうですか。聖なる光(ホーリーライト)


 真っ黒な剣が段々と灰色になり、そして白銀になりました。


「うわっ、これって物凄く高いわよ」

「幾らぐらいですか」

「そうね。金貨100枚ぐらいかしら」


「では会社、もとい冒険者ギルドで換金しましょう」

「駄目よ。もったいない。価値が分かる武器屋か、オークションよ」

「あのですね。冒険者ギルドに私達は生かされているのです。仕事も貰えますし、恩を返さないと」

「確かにギルドが儲からないと、大変な事になるのは分かるけど。恩には感じないわね」


「いいですか。働かない人間はクズです。勤労の喜びは何にも代えがたいものです。働けるだけで幸せなのです。給料はオマケです」

「あんた、ちょっとネジが外れているわね。どういう育ち方をしたのよ」

「父親が飲んだくれて、働かない人間でした。ああいうクズになったらお終いです」

「なるほどズボラな父親がいて、ああなりたくないと願ったのね。働かない人間より働いている人間の方が偉いけど。あなたのはちょっと行き過ぎよ。もしかして、昼間も働いている?」

「ええ、良く分かりましたね」

「何時寝てるのよ」

「朝、4時間ほど」

「今まで農村から出てきて、寝ないで仕送りしている子をみたけど。そういう子は長生きしないわ。高額な討伐依頼を受けて、たいがい死ぬの。体を壊して死んだ子もいるわね」

「私は仕送りはしていなし平気だと思います」

「なんだかほっとけないわ。さっき助けられた恩もあるし、しばらく付き合ってあげる」

「そうですか。では10時にギルドで」

「もう、何聞いてたのよ。仕方ない付き合ってあげるわよ」


 相棒が出来たみたいですね。

 ますます仕事もはかどるはずです。


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