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第1話 (3/4) 落ちこぼれ魔法剣士

「模擬戦って今から?」


 鍛錬場には模擬戦をする設備もある為、問題はないんだが……。


「そうよ。昔はよくやってたでしょ?」

「それはそうだけど」


 それは僕がまだAランクだった時の話だ。

 リアの職業は≪バトルダンサー≫、火、風、光、無属性の4属性持ち上位職業であり彼女は今でもAランク、それもかなり上位の方にいる。


 昔は良い勝負をしていたが、今では差が開き過ぎて勝てるビジョンが全く見えない。


「今と昔じゃ全然違う、多分勝負にならないよ」

「やって見なきゃわからないでしょ。ほら、早く準備をするわよ」

「えぇー……。」


 ――どうあがいても僕が負ける未来しかないと思うんだけど……。


 そう思いながらも僕はリアに続いて模擬戦の準備を始めた。



 ■



「さあ始めるわよ、模擬戦だからって手を抜いたら許さないから」

「わかってるよ」


 やるからには僕も本気だ。勝つことは無理でもせめて一手だけでも通す。

 最下級魔法でも扱い方は色々できるのだ、打ち込みではできなかったこともついでに試そう。


 それにリアには――


「始め!」


 リアの合図で僕は思考を途中で止め、切り替える。

 お互いに武器を構えたまま様子を見ている状態だ。


 僕の武器は訓練用片手剣、対するリアは同じく訓練用だが棍を武器としている。


 しばらくにらみ合っていたが先に僕が動きだした。


<ウインドボール>、<ウオーターボール>、<サンダーボール>

 後発で放った2発は相手の死角になるようにして3連射を放つ。僕がよく使う手だ。


 それをリアは――


「<ファイアランス>!」


 中級炎属性魔法の炎の槍を放ち、3発全て相殺して防いだ。

 同時に煙が発生する。


 すかさず僕は足に風の魔力を宿して、発生した煙に紛れ――

「――させないわよ」


 リアも特殊属性である無属性魔法<身体強化>を使い、棍を僕に叩き付けにきた。


「―っ!」


 ギリギリのところで攻撃を防ぎ、はじき返す。


「まだまだ―」

「っ!?」


 彼女はそのまま乱打を繰り返してきた。


(!?、昔より重くて速いッ!)


「剣の腕はちゃんと成長しているみたいね。でも、これは防げるかしら!<風連突>!」


 彼女は一瞬動きを止めると、次の瞬間には風の魔力をまとった突きを連打してきた。


「ぐっ!?、<五月雨斬り>!」

「あら? これも防げるとは思わなかったわ」


 剣技技術(スキル)を放ち、何とか防ぐ。

 彼女は驚いた顔をしてみせるものの余裕綽々といった感じだ。


 何とか持ち堪えてるものの本当にギリギリである。打開する為に次の手を探す。


(<ボム>!)


 足下にボムを放ち、距離を無理矢理取る。


(距離は取れたが、取ったところで魔法が来るはず!)


 その予感は正しかった様でリアの方に視線を向けた時には、彼女は次の魔法の詠唱を終える所だった。


「――<ホーリージャベリン>!」


 少し顔を上げると、上位属性である光属性上級魔法、光の槍の雨が降り注いで来ていた。

 速度も速く相対する属性である闇属性以外では中々打ち消せない、僕には闇属性の適性も無ければ最下級魔法しか扱えない、どう工夫しあがいても相殺できないだろう。


 魔法が着弾すると、施設内で大きな音がして煙が巻き起こった。


「勝負有り、かな?」

「まだだよ!」


 僕はリアの後ろから斬りかかる、<ホーリージャベリン>が着弾する瞬間に風と氷の魔力を混ぜた<ボム>をもう一度放った、吹き飛ばす力を上げて被弾を最小限にしたのだ。

 氷で爆発の熱は奪ったので<ボム>自体のダメージはほとんど無い。

 結構ボロボロの状態だが、後一撃入れるくらいはできる。


「<ファイブエンチャント水・土・雷・氷・爆>ッ!」


 リアに対して優位に働く属性魔力を魔力付与で剣に纏わせる。魔力消費が馬鹿高い使い方だがこれで生半可な防御には打ち勝てるはずだ。今日はもう戦う事も無いのでこの一撃に賭ける!


「―――――<インフェルノ・ハリケーン>」

「なっ!?」


 長めの詠唱が終わるとリアの周囲に激しい炎の渦が巻き起こる。

 超級炎魔法<インフェルノ>と超級風魔法<ハリケーン>の合成魔法だ。後もう少しのところで僕の剣はその魔法に阻まれ、僕の体も吹き飛ばされる。


「これで本当に終わりね。<炎窮閃>!」

「ぐはっ!?」


 吹き飛び、体勢が整っていない状態で炎を纏った棍の突きを入れられノックダウン、勝負有りである。

[トピック]

言語

火(炎)の様に正式な名称が決まってないものがある、どちらが正しいではなくどちらも正しい。


尚、技能、技術はそれぞれ'ぎのう'と'スキル'、'ぎじゅつ'と'スキル'の様に二通りの読み方が存在するが、技能はただの名称、技術はトリガーとしての意味を持つなど、ほとんど同じ意味でも若干の使い分けが存在するなど細かいものもある。

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