第1話 (2/4) 落ちこぼれ魔法剣士
基本的に第1話の変更点は少なめです。
鍛錬場へ移動した後、その一角で僕は打ち込み訓練用の動かない人型ウッドゴーレムに対し、魔法を放ち始めた。
<ファイアボール>
火(炎)属性魔法、火の玉がゴーレムに向かって飛び、当たると燃え上がった。
<ウオーターボール>
水属性魔法、水の玉がゴーレムに向かって飛び、当たると水が弾けた。
<ウインドボール>
風属性魔法、風の玉がゴーレムに向かって飛び、当たるとゴーレムの体を浅いが切り裂いた。
<ランドボール>
土属性魔法、土の玉がゴーレムに向かって飛び、当た……らない、ポテッと間の抜けた音が施設内に響く、実質泥団子を投げつけた様なものだ。
そもそも飛距離が足りず届いてすらない。
今打った魔法は全て基本属性だ。後は木属性があるが生命力を司る属性のため<ウッドボール>は木属性であるウッドゴーレムに使うと逆効果になってしまうので使わない。
ここからは上位属性だ。
<サンダーボール>
雷属性魔法、雷の玉がゴーレムに向かって超高速で飛び、当たると燃え上がり周囲に電撃の余波を発生させた。
<アイスボール>
氷属性魔法、氷の玉がゴーレムに向かって軌道上の地面を凍らせながら飛び、当たると氷漬けにした。
<ボム>
爆属性魔法、氷漬けとなったゴーレムに魔力が集まり、爆発して粉々に砕け散った。
上位属性と呼ばれるだけあってその効果は最下級魔法ですら凄まじい。
尚、最下級魔法の攻撃魔法で今僕が使える魔法はこれが全てである。
最下級魔法は基本的に魔力を集める特性しか持たない、勿論例外もあるが今回は例の通りだ。
だが、攻撃魔法がこれしかないだけで最下級魔法でも色んな応用ができる。
ほとんど見せ場のなさそうに見えた基本属性もここからが本番だ。
床に設置された魔方陣から再召還されたウッドゴーレムにもう一度<ウオーターボール>を放つ。
今度は水の玉がゴーレムに向かって飛び……、そのままゴーレムの体を突き抜けた。
「良し!」
何故先ほどと違う結果になったのか、それは今回のウオーターボールには風と土の魔力も混ぜたのだ。
風の魔力で速度を出し、土の魔力で水の粘り気を上げる。
一般に魔力付与と呼ばれる技術だ。
消費魔力が大きいがその分強力である。
複数の属性を持っているからこそできる、今となっては唯一の僕の強みだ。
「今日は魔法の鍛錬に集中しよう」
そうして僕はしばらくの間最下級魔法を打ち続ける事にした。
■
「―ォル! フォルってば!」
――後ろから僕を呼ぶ声がしたので魔法を打つ手を止め振り返った。
「なんだリアか」
「なんだとは何よ! さっきから呼んでるのに!」
リア、本名サリア・ローズ。僕の幼馴染みだ。赤く長い髪が特徴の、綺麗な水色の瞳におとなしそうで優しそうな顔立ち、服もいつもこれまたおとなしそうな緋色を基調とした物を着ている。今日はドレス姿のようだ。
まあ性格は真逆も良いところなんだけど……、彼女の二つ名を考えるとピッタリかもしれない。
「ごめんごめん、ちょっと集中していたんだ」
「こんな時間まで鍛錬していたの?」
「え?」
時計を見るともうとっくに日が暮れている時間であり照明魔導具の明かりだけでもう窓からの光は無かった。
「それに、そっちで訓練していても仕方が無いでしょ、いつもはこっちで鍛錬しているのにどうしたの?」
そう言いながら彼女はウッドゴーレムを指した後、近くのアイアンゴーレムを指した。
「ちょっと魔法の鍛錬をしたくてね、僕の魔法じゃアイアンゴーレムの装甲は傷1つ付けられないから」
「ふーん、そっか」
「まあ魔法と剣の両方の練習ならやりようがあるけれど」
僕はそう言うとアイアンゴーレムに向けて剣を構え
「<ダブルエンチャント[火・風]、<パワースラッシュ>」
剣に2属性の魔力付与を行いスキルで斬りつける。
<パワースラッシュ>は単発の強力な斬撃を放つスキルだ。
扱い易く基本的な剣術スキルである。
そして僕が放ったその斬撃はアイアンゴーレムを真っ二つにした。
ズウゥンと金属が落ちる重い音がした。
「とはいえ、これじゃあ鍛錬じゃなくてただの試し斬りになっちゃうからね」
「うーん……」
斬れ落ちたアイアンゴーレムを見た彼女は何かを考え込むと――
「ねえフォル? 私と模擬戦しない?」
――急にそんなことを言い始めた。
[トピック]
魔法属性16
・基本属性5属性
火(炎)・水・風・木・土
・上位属性5属性
雷・氷・爆・?・?
・??属性6属性
?・?・?・?・?・?
魔力付与
強力だが混ざらない物を無理矢理混ぜている様なものなので魔力効率が凄く悪い。