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第1話 (1/4) 落ちこぼれ魔法剣士

「――そこまで!」

 審判の声が施設内に響く。


 試合終了の合図を聞き僕は息を整えながら立ち上がる。


 あの職業選定の日からおおよそ1年が経ち、学園に入学してからもかなり経った。


 今日は週に1度行われる学内対抗戦の日だ。


 ランク制の試合でランクはS~G、Gは0ポイントで3回までポイントをかけずに試合を行えるが、負けたら除籍となる特殊なランクなので実質7段階となる。同ランク同士でポイントをかけて戦うよくあるシステムだ。


 そしてこのランクには学園内、ひいては卒業後の事にも特権が多くある為、ほとんどの者が真剣に取り組んでいる。


 その試合で僕は―


「フォル、お前また負けたのかよ!」

「これで降格戦確定だねー」

「次負けたらまたEランクだな」

「……。」


 対戦相手に礼をしながら野次馬達に耳を傾ける。


 同学年生の3人が言うようにDランク対抗戦で僕は負けたのだ。


 それも後1回負ければEランクというかなり危ない位置に居る。


「≪魔法剣士≫だと言うからすぐにSランクに上がると思ったら、もうすぐEランクか!」

「最初は強かったのにねぇー」

「Aランクで皆の憧れでもあったのに、ここまで下がるとは思っていなかったぞ」


 最初の頃は僕も強かった。

 入学試験の結果もあり、Bランクスタート。


 多くの魔法を使える≪魔法剣士≫のアドバンテージは他の上位職に比べてもやはり大きく、僕自身鍛錬を積み重ね続けていたから一時期はAランクにもなっていたくらいだ。


 だが今ではEランクになるかならないか……。


 その原因は―


「まさか最下級魔法しか使えないとはなあ!」

「幾ら色んな属性が使えてもそれじゃねー」

「俺たちはもう上級魔法も使えると言うのに、情けない」


 そう、どういうわけか僕はどれだけ努力をし、鍛錬を重ねても最下級魔法しか使えなかった。

 上級、中級魔法は愚か、下級魔法ですら発動しないのだ。


 早く上位の魔法を使いたくて色んな属性の魔法を学び、修練を積んだが1つの魔法も使える事なく他の学園生に追い抜かれていった。


 学園生のほとんどが上位職、通常の職業でも最高水準を保ち続けている彼らを相手に、このハンデは大きすぎたのだった。


 それにしてもこの3人、今更学園中に広まりきっている話を大声でうるさいな。


 ……わざとなんだろうけれど。


「だがその割には、今の試合も良い勝負していたな」

「接戦って感じだったね~」

「最下級魔法しか使えないにしてはだがな」


 好き放題言われ、笑い声も正直うるさいが聞き流す。


「まあ頑張れよ!精々EやFランクの奴らにすら追い抜かれないようにすることだな!」


 その言葉に僕は


「あははは……。次は勝つよ」


 と、卑屈っぽく半ば投げやり気味に返事を返した。


「おう!」

「次の試合を楽しみにしているよ~」


 そう言って彼らは去って行った。


「……行ったか。」


 彼らは全員Bランクだ。


 Bランクは人数が多いC、Dランク帯を抜けて人数が一気に減る。

 余裕が生まれやすいランクでもあるのだ。


 今回の件にしても≪魔法剣士≫という上位中の上位の職業に就きながらこのランクに落ちた僕を少しからかおうとしたくらいであり、自分の2つ下のランクなど実際それほど興味ないのだろう。


 だからこそ話のネタになりそうであるなら見下しにも来る、余裕があるのであればその余裕を見せつける様、全くの意味を持たない応援もするのだった。


「はあ……。でもあいつらの言うとおり、次負けたらまたEランクだ。頑張らないとな」


 いつまでもできないことを悲観していても仕方が無い、戦闘訓練でもしよう。


 そう言って僕は学内の鍛錬場へ足を運ぶのだった。

[トピック]

ブレイブ・ローディン入学者数 90人


一年生ランク内訳


Bランク8人

Cランク25人

Dランク26人

Eランク17人

Fランク9人

Gランク1人

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