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第3話 (4/4) 魔導騎士

 僕は森を出て王都の惨状を見た後、全速力で走り学園までたどり着いた。

 そして、リアが黒い竜と戦っている所を目撃したのだ。


(あれは……、まさかブラックドラゴン!?)


 そう気づいたときにはリアがブラックドラゴンの咆吼を受け、追撃を貰う所だった。


「危ない!」


 船で用意した替えの剣を抜き、風の魔力を纏わせて竜の尾を弾く。

 重い攻撃だが軌道を逸らす事はできた。


「大丈夫か! リア!」


 そう尋ねると一瞬驚いた顔をしていたが、すぐに大丈夫と返ってきた。


「麻痺毒を貰ったみたい、だけれどもう治療できたから平気よ。フォルも周辺住民の保護と誘導にあたって頂戴」

「リアは勝てるのか? 相手はSランクモンスターだよ?」

「貴方が居たところで足手まといよ」


 リアは少し苦い顔をしてそんなことを言う。


「それはどうかな?」

「?、何を言って……!? 危ない!」


 竜はこちらに向けて炎のブレスを放っていた。


 それに向けて僕は幾つかの魔法と魔法剣を放った。


<アイス・ウインドウエーブ>

 氷と風の渦でブレスを止める。魔力付与とは違い、下級魔法となって使える様になった完全な複合魔法だ。


<サンダー・ボムアロ―>

 超速の雷の矢でブレスを貫き、ブレスの中心で爆発させる。こちらも複合魔法だ。


「<雷光風飛斬>!」

 逆袈裟に切り上げて超光速の斬撃を飛ばし、ブレスごと竜を切り裂いた。剣技への魔力付与も魔力の制御能力が上がったことで、威力も上がっていた。


「なっ!? 下級魔法をっ!? それに最後のは光属性!? 何でフォルが!?」


 リアが驚いた顔をしてこちらを見ている。驚きと疑問で頭が一杯という感じだ。


「今日、ダンジョンで色々あってね、ついに下級魔法が使える様になったんだ。ついでに他にも4属性使えるようになったらしい」


『説明をまるごと省きましたね……』


 メザは透明化して僕の横を浮いていた。これも古代魔導技術の応用らしい。


 そんなことを言われても仕方が無い、今は詳しい説明をしている時間が無いのだ。


「というか、どうやって話しているんだ?」


『マスター登録を済ませた事による、魔力での会話ですね。魔力の線で繋がっている事をイメージしてください。マスターも意識すればできますよ』


(……こんな感じか?)


『はい』


(なるほど)


 リアはしばらくの間、わけがわからないという顔をしていたが……。


「意味がわからないけれど、まあ良いわ。今はそんな場合じゃ無さそうだし。とりあえずこれだけ言っとくわ、おめでとうフォル。後でその話、詳しく聞かせてよね」


 最初は複雑そうな顔をして言っていたが、やがて諦めたようで微笑みながらお祝いの言葉だけを伝えてくる。

 最後はどこか嬉しそうな顔をしていた様に感じたのは、僕の気のせいだろうか?


「ありがとうリア。そうだね、まずはあの敵を何とかしないと……」


 竜は様子を伺いこちらを見ていた。

 先程の斬撃は大した傷になっていない様だ。


「あの鱗、伝承通り、かなり硬いね」


「あれに傷が付けられるだけでも相当なもんよ。全く、本当に下級魔法かしら?この分だとすぐに抜かされそうね」


 そうリアは言うが全く悔しそうじゃ無い。恐らく本人も負ける気は無いのだろう。


「共闘と行きましょう、フォル。」


「わかった、合わせるよ」


 僕とリアは並んで武器を構えた。


 先にリアが走り出した。竜は爪を振り降ろし、避ける為に飛んだリアに咆吼を浴びせようとする。


「させないよ、<ライト・ボムアロー>!」


 僕は高速で飛んで爆発する矢を放ち、竜の口の中に直撃させる。


「ごぁあ!?」


「今度は当てさせて貰うわよ! <炎窮閃(フレイムシャープネス)>!」


 リアの<炎窮閃>は竜の頭部に一撃を入れる。

 だが、そこまで効いていない様で竜は爪で反撃を返してきた。


「っく!」


 リアは棍で攻撃を防ぐが弾き飛ばされる。

 竜は更に追撃しようとするが、僕が<ライト・ボムアロー>で牽制して防ぐ。


「駄目ね、どちらかというとフォルの攻撃の方が効いている?」

「って事は……」


 僕とリアは竜を見て、すぐに同じ結論を出す。


「「光か」」


 2人とも竜の苦手属性を予測し、光主体の攻撃に切り替える。


「――<ホーリージャベリン>!」

「<エンチャント光>! <飛斬>!」


 二つの攻撃がドラゴンに襲うと、炎だけでなく、闇の魔力を混ぜたブレスを放ち相殺する。


「光が弱点なのは間違い無いみたいだね」


『マスター、解析結果が出ました。 弱点属性は水・氷・光、特に光が大きな弱点で、それ以外の属性は強耐性ですね。 恐らくあの鱗が原因かと』


(わかった)


 そんなこともできるのかと内心驚きながら返事を返す。


「リア、弱点属性だけのエンチャントをかけた剣で鱗を抉るから、君は抉った所を光属性の大技でトドメを刺してくれ」

「私はできるけれど貴方は大丈夫?」

「やる」

「頼もしい限りね」


 今度こそリアは、はっきりと嬉しそうに言った。


 プランが決まり、今度は2人同時に走り出す。竜はブレスを吐き、僕達を二分する。


「「<エンチャント光>、<アクセル>」」


 2人とも武器に光の魔力を纏い、無属性魔法<アクセル>で加速して竜の足を斬りつける。


 竜は体全体を回転させて僕達を弾き飛ばそうとするがすぐに離脱して避ける。

 僕達はしばらくの間ヒットアンドアウェイを繰り返し、時にはお互いの立ち位置が入れ替わったり、飛んで竜の背にもダメージを与えたりして竜の体力を削る。


 だが竜の方も動きのほとんどに闇の魔力が付随するようになってきており、避けづらく強力で危険となってきている。


 たまに攻撃を避け損ねて、2人とも攻撃を受けてしまってもいる。

 幸い、両方回復効果のある光属性魔力持ちなので回復は早いが……。


(この辺りで仕掛けないとこっちがジリ貧だな、よし)


 僕は魔法を駆使して竜がよろめいた隙に竜の背に乗った。


「フォル!?」


「鱗が原因なら、間に差し込めば耐性も弱まるだろう!」


 剣を鱗の間に差し込み、剣ごしに闇以外の9属性の魔法を滅茶苦茶に打ち込む。


 効果は覿面だったようで、竜は叫び声を上げながら多量の闇魔力を放出し暴れる。


 ダメージはこちらも多いが、それでもかなりの傷を竜に負わせられている。


(よし、このまま……っ!?)


 流石に無理があったのか振り落とされてしまい、爪が振り下ろされる。


「はあ! <光窮閃(ホーリーシャープネス)>!」


 リアが竜の腕に光の魔力を纏った<窮閃>を当て、竜の体勢が大きく崩れる。


(今しかないっ!)


 このタイミングがチャンスだと感じ、剣を握り大技を放つ。


「<スリーエンチャント水・氷・光>、<アースブースト>、<五月雨斬り・改>!」


 水と氷と光の魔力を纏わせた剣を、無属性魔法の<身体強化>より時間制限があるが強化倍率の高い、<ブースト>を土の魔力で更に重心を安定させる複合魔法<アースブースト>に強化して、条件が整ったことにより放てる様になった<五月雨斬り・改>を放つ。


<五月雨斬り>より速く、威力も大きく、手数も増えた斬撃が竜の鱗を消し飛ばした。


「リア!」


「わかってる! これで、トドメよ! <光神槍五月雨一閃ライトニング・ジ・エンド>!」


 リアは光の巨大な魔力を幾つも連続で放つと、それを全て貫きながら竜に連突を放ち、最後の一突きは彼女自身が光の槍が貫く様に竜の体を貫いた。


 竜の体は大きな音を立てながら倒れた。


 当然ながら竜に息は無い、


「「……」」


 お互いに顔を見合わせる。


「勝てたのか……?」

「そう、みたいね」

『……』


 お互いに勝利を確信して喜び合う。


「残りのドラゴンの数も減って来ているし、これでもう大丈夫そうね」

『……』


 たしかに他の生徒達の奮戦も有り、ドラゴンの数は減っている。

 それも上位竜はほぼいない為、このまま何事も無く終わるだろう。


「それにしてもリアの最後の技、凄かったね」

「フォルの技術も凄いと思うわよ。前より出力を上げられる様になったとはいえ、まだ下級魔法なのにSランクモンスター相手に一歩も引かなかったじゃない」

「そう? それなら良かったかな」

『……』


 今まで最下級魔法だけでも強くなろうと努力した結果だろう。


「――ねえ、フォル。貴方また英雄を……」


 そうリアが何かを言おうとした瞬間。




 ――周辺が大きな影に包まれた。


『……マスター、周辺に巨大な生命反応を数体確認。このブラックドラゴンよりも大きな反応もあります。解析不能でしたが特徴を確認したところ――』


 空にはブラックドラゴンが3体と更にそれよりも大きな竜が2体居た。


『――一致したデータは、ブラックドラゴン3体、クイーンドラゴン1体、竜王1体でした』


 ---------------------------------------------

 クイーンドラゴン

 ランク:暫定SS

 平均レベル:-/- 

 データ無し

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 竜王

 ランク:SS

 平均レベル:-/-

 滅ぼされた都市の名のみ記載、いずれも大都市。

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[トピック]

混合魔法

多属性持ちの下級以降の魔法の応用技術の一つ

魔力付与と違い、属性魔力の混ざりは良く、消費も少ない。

ただし、少しでも調整を間違えると魔法が暴発する。


属性強化

武器や自身にかける魔力付与の高位技術

こちらも調整に失敗すると武器の崩壊、自身へのダメージとなる。

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