表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/41

第3話 (2/4) 魔導騎士

メザ(端末)の描写をメインに加筆しました。

『おめでとうございます。マスター』


 メザが、僕に何かを言ってくれていた。


 だが、今の僕にはそんな言葉も聞こえていなかった。


「あははは……。」

『どうしましたか? マスター』

「まさか、今までどうあがいても使えなかった魔法がこんな簡単に使えるとは思わなくてね」

『あの超絶オンボロ魔力回路で、あれだけ器用に魔法を使えていたのですから当然です』

「そっか」


 今までやってきていた事が無駄では無かったようで良かった。


「それじゃあ他の属性も試してみようか」


 しばらくの間、色んな魔法を使ってみた。

 流石に今使えるようになったばかりの属性は無理だったが、他の属性は問題なく下級魔法まで使えるようになっていた。


『今まで通り鍛錬していけば中級以降の魔法も使えるようになると思います……が。』


「が?」


『今すぐに魔法属性値を跳ね上げる事も可能です』


「な!?」


 そんなことも可能なのかと聞き返す。


『はい、魔力量の底上げと魔導回路の強制調整をすれば可能です』


 一瞬考えたが、


「いや、でもそれは辞めとくよ」

『ほう、それは何故ですか?』


 メザは興味深そうな声で僕に聞いてくる。


「余り、その技術に頼りすぎると鍛錬の意味を無くしてしまいそうだしね。それに、いきなり強くなり過ぎても戦闘の感が鈍くなったりとどこかで綻びが出そうで怖い。もう今までと違い、鍛錬を積めば強くなれるようになったんだろ? なら地道に強くなるさ」

『なるほど、堅実ですね、それが良いでしょう。』


 自分の考えを伝えた後、驚きの連続で一番言うべき言葉を忘れていたことを思い出し、メザに伝える。


「ここまでの事をされているのにちゃんとお礼をしていなかったね。ありがとうメザ、おかげで今まで一番悩んでいたことが解消された」


『私の好奇心の生贄にした部分が大きいのでお礼を言う必要はありませんよ』


「それでも、僕にとってはどうしようも無かった事だし、最後に受けたいと言ったのは僕だからね。お礼くらいは言わせてよ」


『……旧時代の技術と私の製作者様に対する称賛として受け取っておきます』


「そっか、メザって作られた船何だっけ?それじゃあ君と君の製作者さんにお礼を言うよ」


『……ありがとうございます。そろそろマスターは帰るのでしょう? 私も準備します』


 そう言って、メザは黙ってしまった。


(この船の制作者か、一体どういう人だったんだろう……。)


 遙か昔に亡くなっているだろう人を想像して……そこで気づく。


(ん?、準備? 何のだ?)



 ■



 ――数分後、僕は船の外に居た。


 そして僕の隣には四角い、黒い物体がふよふよと浮いていた。


「何で君まで着いてきているの!?」

『メザとお呼びくださいマスター。 先程所有者登録をされたじゃないですか? 私もマスターの記録を録りたいですし、このままついて行きます』

「たしかにそんな素振りはあったけれど!?」


 そう、この黒い物体はメザなのだ。

 四角い黒い物体の中央には機械の一つ目の様になっていて、両左右には金属の棒が着いており、逆V字の形をしたアンテナみたいな物がくるくる回っている。

 本体はあの船だから着いてこれないと思いきや、このような形で着いて来るつもりのようだ。


「まあ帰り方もわからないし、着いてきてくれるならありがたいんだけどね」


 船の外に出たものの帰り方はわかっていない。


「そういえば、ここは結局ダンジョンの最深部なのか? だとすると、中々帰るのは大変そうだけど」

『いえ、私の船の周りは亜空間になっているはずです。 ダンジョンのどこかではありますが繋がる場所もランダムです。 近くにジャック用テレポーターがあるのでそこから帰れますよ』

「これか?」

『はい、それです』


 暗くてわかりづらかったがよく見ると通常より大がかりなテレポーターがあった。


『ダンジョンの技術をせめて再現できないかと作られた物ですが本家には及ばなかったですね、第1層にしか繋がりません』

「いや、それでも十分凄いと思う」


 テレポーターは異様な技術で今では詳細不明だ。

 ダンジョンは未知の部分が多いとされていたが古代ではそれを再現できる所までできていたのか……。


『それを使えばダンジョン1層まで戻れるはずです』

「わかった」


 使い方は普通のテレポーターと同じだった。

 魔力登録をし、行き先を指定すると光の渦のようなテレポータルが開く。


 中に入ると人気の無いテレポートの間に出た。


「戻ってこれたか? ん?」

『どうしましたか? マスター?』


 僕は戻って来た場所を見渡し、どんどんと青ざめる


「ねえメザ、ここはダンジョン1層、テレポートの間で合ってるよね?」

『はい、合っていますよ。マスターにとっては問題なく戻ってこれた状態のはずです』

「今の時間もわかったりする?」

『時間の概念が変わっていなければ20:00時頃です。本当にどうしましたか、マスター?顔色が悪いですよ?……マスター!?』


 メザからその話を聞くなり僕は、地上に向かって全速力で走り出した。

[トピック]

メザ(端末)

メザは人工知能であり、その本体は宇宙船だが、船内部で作られた端末を通して活動する事もできる。

尚、可動範囲に限界は無い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ