29話 妹の友達
「ところで、くるちゃんって家ではどんなこなんですかー?」
くるちゃんと呼んでるからには、それなりに仲がいいんだろう。妹の友達と話す時の兄って、こんなに複雑なものなんだな。
「そうだな、学校でのことはよく知らないけど、家の中ではのんびりしているよ。ただ最近は勉強時間画少し増えたくらい」
ほうほうといいながら視線を机の下に向けるゆめ。それと右腕が細かく動いている。
「机の下で、なにやってんの?」
「なにってそりゃ、メモですけど」
何当然のように言ってんの!?
「イマドキの子ならみんなしてますよ?」
最近の中学生はわけわからん。純粋な胡桃は大丈夫だろうか?
あとその手の動きとかはいろいろ誤解されやすいからやめて。
「さすがに嘘ですよ(笑)」
イラッ……
「私は学級新聞作る係だからです。他の子はやってません」
よかった。妹が汚れてなくて。
「で、家ではのんびりか〜くふふっ」
ごめんお兄ちゃんやっぱりだめだわ。この顔完全にエロおやじそのものだよ。
「まぁ胡桃と仲いいならなんでもいいよ」
「妹想いですね」
「兄だからな」
などと会話をしているうちに、いつの間にか1時間ほど経っていた。
テーブルの上には俺とゆめが飲んだコーヒーとお茶の空のコップが置かれている。
「あっ、そろそろ時間なのでみんな帰ってきますね」
「それじゃあ、俺はここら辺でお暇するよ」
「ちょーっとまったー!」
俺が席を立とうとした途端、右側から知らない女の子に腕を捕まえられた。そしてその反対、つまり左腕はゆめにぎゅっと掴まれる。
そして運悪く、そこに可愛いが、恐ろしい声が聞こえてきた。
「……お兄?」




