24話 事件勃発(?)
「なに?言えないようなことなの?」
「いや、そういうんじゃないぞ?お前を担いで運んだだけだ」
「もしかして、私寝てた?」
頬を赤らめながらの質問に対し、俺は慌てて否定する。
「ちっ、違う違う!背負ってきただけだ!」
「ほんと?」
「本当」
胡桃は「ふぅ〜ん」と言いながら拗ねたような顔をした。
ちょっとくらいならいいのに…… と聞こえてきた気がするが、聞こえなかったフリをして食パンを口に放り込む。
「それじゃ、私顔洗ってくる」
「おう」
スタスタとリビングの奥へと胡桃が歩いていった。
その数分後、洗面所の扉が開く。
「って、うわっ」
「なんだようわって」
再びリビングへ帰ってきた妹の濁った声を聞く。
その上何が言いたいのかと思えば
「だって、珍しくお兄が早起きかと思ったら、寝癖凄いことになってるんだもん」
とか言う。言い方的に、さっきまでははっきり見えてなかったらしい。
たしかに今日は普段よりもニワトリ寄りの頭ではあるが。
「鳥用の餌でも買ってこようか?」
「アホか」
寝起きから馬鹿みたいな会話をするあたり、目覚めは良い方かな。
「胡桃は今日予定あったっけ?」
「とくにない」
「じゃあゆっくりだな」
…………。無言。
つい先程までは普通に? 話せていたのに、今は単語すら話していない。
「そ、そういえば胡桃の学校の文化祭はいつなんだ?」
「再来週だよ?前に言わなかったっけ?」
「悪い、忘れてた……って再来週!?」
朝から大きな声を出したせいか盛大に噎せる。
「くる?」
「いいのか?」
「もちろん!」
眩しい笑顔。
そんな可愛い顔で言われたら行くしかない。
「曜日と時間教えてくれ……」
これは、重大事件かもしれない………




