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平凡魔王の善行日記  作者: 雪月華
魔王城周辺
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6話『飛行魔法の研鑽と新しい力で慌ただしい今日』

飛行魔法を試して見ようと思う。これから、何をするにしても翔べた方が良いし、ルリを自宅まで届けるのにも、速いだろうからね。


そして案の定、この世界には飛行魔法は存在していないそうだ。


この世界の主流は大都市間を結ぶ転移魔法を内包する施設だからそうだ。

これは中位貴族以上の身分か、それに値する人物からの推薦がないと使用出来ないという。


また、一回の使用に金貨10枚と言う値段の為、余程の大物か、緊急時以外では使用されないとのことだ。


この施設が使えない下級貴族以下は遠出は滅多にしないし、仮に必用な場合は数週間から数ヵ月掛けて、徒歩か馬車を使用するらしい。


ついでだけど、この世界の貨幣はペルカと言い、1ペルカが日本円で約100円程度の価値みたいだ。


1ペルカ=銅貨1枚

10ペルカ=銀貨1枚

100ペルカ=金貨1枚


と言う割合らしい。


まぁ、僕には関係ない話しなんだ。

何せ、現在この世界のお金なんて一円たりとも持ってないんだから。


もう笑うしかないよ。

あの...バカ女神。何で本とか武器は準備万端の癖に、お金と食料の準備忘れてるんだよ。


え?、昨日夕食はどうしたって?。決まってる、自称勇者の荷物から貰ったのだ。

保存が効く食料が、数日分あったので少しだけ拝借した。


本当は、村や街の人に返さないといけないけど、お腹が減ってはなんとやら、と言うことでいただきました。勿論、必用最低限の量だけどね。


それと、魔王城の探索も広すぎて、一階部分と二階の一部しか見ていなかった。ルリを自宅に帰してからじっくり見て回ろう。


おっと、話が脱線してた。

飛行魔法を創って見ると言う話しだったよね。

結論から言えば、失敗した。材料が足りなかった。さすがに、火球と水球だけじゃ再現出来なかった。


某殺し屋家庭教師の主人公のように炎を噴き出す推進力で行けるかと思ったけど、ダメだった。

真上には行けるけど、横移動しようとすると、たちまちバランスが崩れるし、仮にバランスが取れても、徐々に高度が下がる。


何よりも魔力燃費が異様に悪い。


推進力を得る炎と、炎から身体を守る水の膜の維持で魔力を大量に使用し続けるので、実用性は皆無だった。


「う~ん。この方法はダメか。」


「炎で飛び続けるのは、さすがに無茶ですね。」


ルリも同意見らしい。

そして、今日の服装は、何故か大量に私蔵されていた暗幕で創った、黒のメイド服である。同然のようにスカート丈は脛の辺りまであるロングタイプを採用、胸元の大きなリボンが可愛いらしいデザインである。


そして僕は、土埃にまみれていた。

何分、飛行魔法のテストで何度も地面に突っ込むはめになったからねぇ。


と言うことで、昼食後は書庫で魔法教本を読む事に......しようと思ったけど、文字が読めなかった。


でも、不思議な事に文字の意味は解らなくても、魔法のイメージと魔法名が頭に浮かんで来るのだ。


「(な、なんだ...これは?)」


最初に浮かんだ魔法名は《突風(ヴェント)》。風が吹き荒れるイメージ。



《突風》を修得しました。



その位置をルリに読んで貰うと、同名の魔法で、効果も突風を起こすと言う、イメージ通りの物だった。


「(......というか、修得したんだけど...良いのかこれ?)」


この魔法教本だけど、昨日の探索中にルリが見つけてくれた。何でも、この国の学院でも使用されている物らしい。


突風の魔法以外では、回復魔法に、岩放魔法。さらには、雷球魔法等々、初級魔法ながら色々と覚える事が出来た。


「いやー。ルリのお陰で色々助かったよ。」


実際問題、ルリがいなかったらもっと大変だったと思う。何せ、イメージは魔法関連......しかも、大体が魔法名と説明にしか反応せず、通常の文面には全く反応しなかったから。


違いに気が付けたのは、解らない文面をルリに聞けたからだ。


「私は、クロに聞かれた事に答えただけですから。それに、これぐらいでしたら、学院に通う子達なら答えられると思うので、別段、私が凄いと言うわけでわないかと。」 


「僕が言っても説得力ないと思うけど、ルリは凄いと思うよ。」


「そ、そう...ですか......。」


それだけ呟くとルリはそっぽを向いてしまった。


「(あれ?......僕何か怒らせるような事言ったかな?。)」


心なしか、顔も赤い気がする。

それほどまでに、彼女を怒らせてしまったのかな?

また、『魔王は敵だ!』見たいな雰囲気になったら...ねぇ。ほら、せっかく仲良くなった娘と殺し合いなんて展開、誰も得しないし......ゴメンこうむる。


なんて事考えてると、ルリから『クロは、私を過大評価し過ぎです......でも、ほ、誉めてくれるのは嬉しく思います。』なんて早口で言ってた。真っ赤な顔だったけど、怒ってないなら良いかな。


それにもう夜だし、そろそろ寝よっか。


そして、今日の収穫は魔法を少し覚えただけ。そろそろ食料が少なくなってきたから、近場で狩りや採取が出来る所が有れば良いな。


ーーー

オマケ『クロの日記』

ーー

異世界日記2日目


今日は、飛行魔法の修得を目指して見たけど、見事に失敗した。


さすがに、炎の推進力だけじゃ、高度を維持出来なかったね。でも、全く使えない魔法って訳でもなかったよ。一応、空は翔べるし...風で苦しいけど(苦笑)。

でも、それさえ我慢すれば、後は高度が墜ちきる前にどれだけ進めるかは、僕の魔力次第だし、何よりも加速が凄いね。


両手両足から、炎を一気に噴き出すからね。ロケットエンジンみたいなものかな。


お陰で飛行中、バランスを崩して何度地面に突っ込んだことか。でも、僕が着てる服。墜落であちこち、破れたり、ほつれたりしてたのに、いつの間にか元通りになってたんだ......ふっしぎー。


それより問題は、魔法情報をイメージとして捉えた謎の能力の方。可能性としては、やっぱりあの腹黒女神ティアの力って事だよね。


人物開示(ステータス)》で僕自身を調べたら《義霊神眼(ホール)》っていうのが、特殊の項目にあったよ。


効果も予想通りで、魔法情報の取得だったし。


ティア。先に全部伝えておいてよ。もう、こっちはいきなりで少しパニックになったし。


まぁ、これのお陰で、自称勇者兄弟も撃退できたし、何よりも、魔法の取得が大分楽になった。


あと、ルリも魔法を覚えたんだよね。

何でも魔力が少し上がって、使える魔法が増えたみたいに言ってた。いつもおとなしい感じなのに、大分はしゃいでたからなぁ。


とりあえず、明日は、食料を調達する為に、近くに出掛けて見よう。

森でも有れば、食べ物があると思うけど。


ーー 

ーーー

次回はついに、クロとルリ以外にも何か出るかも。

あ、仲間とかじゃありませんので。


...そういえば、二人以外に自称勇者いたね。

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