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短編集

私は唄う

作者: 煌希

―あらざらむ この世のほかの思ひ出に

いまひとだびの あうこともがな


私は、この短歌を詠んだ人と同じ想いを抱えている。

真っ白い部屋の中でこの短歌を唄う。

小さい頃から、身体に重い病気を持っている私は、いつ発作を冒しても可笑しくない状態だった。

だから、いつも一人ぼっちで部屋にいた。生きることを諦めようとしていた。

でも、彼と出逢って生きる喜びを知った、死ぬことが恐くなった。



小さい頃は、歩くことも走り回ることも出来たこの身体は、今では思うように動かない。それだけ病気に蝕まれていた。

薬で一時的に楽になるけど、私には分かる。

もう少しで死ぬことを。

でも、私は諦めない。

彼が私の病気を治してくれるって約束したから。

彼が医者になるのは大分先かもしれない。

でも、待ち続ける。

だって私は、彼のことを信じてるから。



だけどね、一人にしないで…。

一人だと、不安で押し潰されそうになるから。

だから、お願い。

一人にしないで…。




私は、彼を想うことを止めなければいけない。

彼のためにも、私のためにも。

でも、彼のことが好きで…大好きだから。

まだ、想っていても良いですか?

例え、この想いが貶されたって私が彼を好きなことは、変わらない事実だから。




私は、また唄うよ―。


「死」が私のこの身を包み込むまで、


いつまでも、いつまでも


真っ白い部屋の中で唄うよ― 





あらざらむ この世のほかの思ひ出に


いまひとだびの あうこともがな―。






私はこの世から居なくなるでしょうが、せめて…あの世の思い出に、もう一度貴方にお逢いしたいものです。




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― 新着の感想 ―
[良い点] 死、という言葉の後に 真っ白い部屋でという表現に はっきりとした感性を感じました。 [一言] もう一度逢いたいって なかなか難しいこともありますよね……。
2014/02/20 21:39 退会済み
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