夜
――――――――夜――――――――――――――――
「これから各班で出し物をやるぞー」
また盛り上げていたのは日向だった。
「高橋君すごい。また仕切ってるよ。」
雫音はつぶやく。毎回日向の行動に驚かされているのだ。
香乃はそれを聞いていて
「バカは何やってもすごいのよ。」
「そんなバカってハハハ。」
雫音は香乃に合わせて笑う。
「一番おもしろかった班はなんと・・毎日学食半額券!」
日向が叫んだ瞬間みんなやる気をだしたのだ。なぜなら日向達が通ってる学校の学食はうまいが他高に比べ、値段が少し高いのだ。だからその半額券は学生にとって宝石なのだ。
「お前らの班クイズなんかで大丈夫かー」
とクラスの一人がヤジをとばす。
「心配ありがとうございます。だがうちの班は面白いですから。なんならトリでも大丈夫ですよ。」
日向が自信満々に返答した。なんかバトルみたいなことになりクラスはさらに盛り上がった。「では最初の班どうぞ。」
日向が仕切る
最初の班 次の班 そのまた次の班といろいろと出し物が終わってく。
そしてトリだ。日向はいたって普通だが他の三人はとても緊張していた。
「それではクイズいきたいとおもいます。じゃあまず俊からの問題です。」
俊は先ほど日向から配られた紙を見る。それを見た瞬間
「おい日向 これほんとに言うのか?」
俊は少し焦っていた。クラスはざわつきだした。
「それではどうぞ。」
日向が急かす。俊は逃げられないと感じ問題を読み始めた。
「第一問。担任の柴田先生の短所は」
俊は先生をチラッと見て日向の方を見た。すると
「俊 大丈夫だって。この答えは俺が知ってる。 あぁあとクラスのみんなー クイズに正解すると5ポイント 一番ポイントが多い班には半額券プレゼントです。がんばってください。」
「おい日向!俺が心配してるのはそこじゃねぇ」
だが俊の声は日向に聞こえていないのだ。日向は手をあげている生徒を指名した。
「汗がくさいのと女グセが悪いのです。」
一人の生徒が真顔で答える。日向は先生の顔色を見ずに
「はい正解。二個とも当たってるから10ポイントでーす」
クラスはどっと笑った。
俊はビビりながら第二問を読んだ
「近所の吉田さんが飼っている犬の名前は・・・ってこんなのわかるやついんの?」
日向に聞くがやはり日向は聞いてない。
クラスのみんなからは
「そんなの知るかー。」とか言っている生徒もいれば、半額券のために名前を必死に考えている生徒もいた。
ションや太郎、ボルトなどテキトーな名前がでてきた。日向は時計を見て
「時間なので答え発表します。答えは、シルベスターでした。」
生徒は「知るか―」や「おしい」など聞こえた。おしいはないだろ。
次は香乃が問題を発表する番だ。
「では第三問、私のスリーサイズを・・・って日向!」
日向は香乃のパンチをよけながら
「はーいわかる人― わからなかったら見た目で判断してね。」
クラスの男子は見たまんま答えていた
一人目は「88,65,82」二人目は65、65、65」と答えた。もちろん二人目に答えた男子は香乃のパンチがとんだ。日向は
「男子のみなさんは知りたいかもしれないので発表します。答えは72、52、7・・」
パチン 香乃のビンタが日向の頬をクリティカルヒットした音だった。香乃は続きを読み始めた。
「第四問、数学の富岡先生は何回フラれたでしょうか?」
香乃はためらわずに言った。
「3回」「9回」「7回」と言った。
「正解は9回です。てゆうかこの問題簡単よ日向、女子の中では知らない人はいないもん。」
「えっそうなの。そんなにウワサになっていたのか~知らなかった。」
このやりとりを見ていた女教師の富岡先生は悔しそうにコチラを見た。香乃はそれに気付き
「じゃあ次雫音ね」
香乃は焦っていてすぐに雫音にパスした。
「いきます 第五問私の好きな人は?・・えっ」
雫音は読むことに必死だったので内容なんて考えてなかった。言った後に気づいた。
ここで
「みんなーストープ。この答えが聞きたい場合はみんなにポイントを捨ててもらって半額券を得る権利をなくしてもらいます。さぁどうする。」
日向がみんなに聞き出した。日向の計算ではここで決着をつけさせる考えだった。みんなが答えなければみんな半額券なしになり、日向班が盛り上げ一位になり半額券をもらう予定だった。もしクラスのみんながポイントを捨てれば雫音が答えることになり盛り上がり、日向班が半額券をもらう考えだった。だがそれは日向の頭の中での考えだったのだ。クラスノみんなは
「ポイントなんか捨ててやる。」「平井さんがんばって」など聞こえてきた。雫音は顔が赤くなり下をむいている。さすがにヤバイと感じた俊と香乃は日向を止めようとした。
「日向 あんたこの辺にしたら。さすがに雫音かわいそうだよ」
日向が
「じゃぁ平井さんがかわいそうになってきたから・・」
とやめようとするとみんなから
「おい日向 俺らはポイントすてたんだ。ここで言わなかったら半額券お前がおごれよ」
とクラスの一人が言った。それを聞いたみんなは
「そうだ日向責任とれよ」
などと言ってきた。さすがの日向は困った。自分の計算が狂ったのだから。すると下を向いていた雫音が
「高橋君悪く言わないで。私言うから。」
「ちょっと雫音 こんなバカのためにそこまでしなくていいよ。」
香乃が雫音を止めようとした。だが雫音は
「ううん いいの。高橋君にはいつも助けられているから。今度は私が助けないと。」
そう言って雫音は自分の好きな人の名前を口にした。その瞬間クラス全員静まった。