郊外オリエンテーション
―――――そして郊外オリエンテーションの日がやってきた。――――――――――――――
「いぇーい。みんなー今日は盛り上がるぞー。」
まだバスが学校から出発して3分なのにもう盛り上がっていた。どこかのカップラーメンみたいだ。日向はなぜかイベント係でもないのに仕切っていた。
後ろの方に座っていた香乃は
「なんでアイツが仕切ってるの。意味分かんない。」
香乃はちょっと寂しそうだ。それに気づいた雫音は
「香乃は気にしすぎだよ。みんなを盛り上げようとするのはいいことだし・・」
最後の方はやっぱり雫音独特のしゃべり方になってしまうのである。
「自分の言いたいことはしっかり言った方がいいよ。じゃなきゃいろいろ後悔するよ。」
香乃は笑いながら雫音に助言した。雫音は少しだけ自信がついた。
「うん。ありがとね 香乃。」
ほほ笑んだ雫音は少し照れていた。
バスの中で仕切っていた日向はみんなで歌ったたりしていた。普段寝ていることから女子のなかでは
「あんがい高橋君いいかも。」「ちょっと見なおした。」などプラスの感想ばかり口にしていた。
確かに普段寝ているのにいざというときにはやる男だ。
香乃は少し複雑な気持ちになった。
バスに乗り一時間でフェリー乗り場に着いた。
先生はめんどそうに
「委員長は全員いるか確認しといてくれ。あとは頼むわー。」
先生はやはり適当だ。まぁそんなとこが生徒からは好かれている。
委員長が点呼を終わるとクラス単位でフェリーにぞろぞろと乗り込んだ。
乗り込むときにはしゃいでいるのはやはり日向と俊、そして香乃だった。この三人はクラスの バカトップスリーである。雫音はそんな3人を見て微笑んでいる。
「3人は走ってフェリーに乗り、外の風があたる椅子に座った。だが日向は1分もたたないうちに立ち上がり、顔を乗り出した。日向に続いて俊も乗り出した。香乃も
「私も海見たーい。 ちょっとスペースをあけるてよ。日向どきなさいよ。」
香乃と日向がじゃれてると
「あっ」
香乃のポケットからハンカチがおちた。ピンクのハンカチは海へと消えていった。香乃は涙を少し流れた瞬間に走って日向の前から消えた。日向は唖然とした。なぜなら香乃が泣くことなんてめったにないからである。それを見た俊は
「謝りにいった方がいいよ。この先やばいよ。」
と日向に言ったが日向は
「ちょっとトイレに行ってくるわ。」
と質問の答えになってないのである。日向はフェリーの橋の階段を降りた。そこで俊は日向の背中が見えなくなった。俊がまた海を見ようとすると
どぼんっ
何かが海に落ちた音が聞こえた。そこには日向が落ちていた。俊は
「あのバカっ。」
俊はすぐに先生をよんだ
一方香乃はトイレに行って涙が乾くのを待った。
「あのハンカチとってもお気に入りなのに・・・」
かわいたと思った涙がまた少しあふれてきたので
「ええい めんどくさい。」
といい顔を洗った。ハンカチがないので顔を服の袖で拭いてると、上の方から騒ぎ声が聞こえた。香乃は急いでいっていみると俊と先生が海と繋がる紐を持っていた。俊と先生がもってる紐の先は赤くて丸いものに繋がっていた。そうそれは浮輪だった。その浮輪をもっているのは日向だったのだ。俊と先生に助けられた日向はいつも以上に先生に怒られていた。
長い説教が終わった後日向は俊にも怒られていた。日向を釣っているときにいた雫音は香乃に状況を説明した。俊からの説教も終わってゆっくり座っていたら雫音がタオルをもってきてくれたのだ。
「高橋君 濡れたままでは風邪ひくよ。はい これタオル 使ってね。」
と言い雫音は少し頬を赤めてフェリーの室内席に戻った。
日向がタオルで髪を拭いているときに
「俺がトイレ行こうとしたらすべってしまってよー 海に落ちちゃったよ。そしたらお前のハンカチがちょうどあってよ。ついでに拾っといたよ。」
日向はニッと笑い香乃にピンクのハンカチを渡した。
「うん ありがと。これ大切な思い出があるの。そしてまた思い出が増えちゃった。」
香乃がまた涙を流した。だがこの涙はさっきの 悲しさの涙 ではなく うれしさの涙 であった。
涙を見られた香乃は照れを隠すように
「わざと落ちたんでしょ。」
「はっ んなわけねーよ すべっただけだよ。」
「それもどうかと思うけどね。」
じーーーーー
じーーーーー
二人は睨め合った。いつもはここからケンカが始まるのだが今は笑いしかでなかった二人の笑い声はフェリーに響き渡った。
そしてフェリーは目的地についた。みんな降りていくなか日向だけ少し濡れていた。香乃は少し心配していたが、日向は何事もなかったかのように走りだした。走った先には今日から三日間お世話になる施設があった。その施設は島にあるとしか聞いてなかった生徒はみんなボロイ建物だと思っていたらしい。だがあまりにもキレイだったため生徒はさらにテンションがあがった。日向の後に俊と香乃も走っていた。先生は
「コラー 先に行くなよー。いろいろ面倒だからな。」
先生は普通に注意したつもりだが周りから見れば先生がめんどくさそうに見えた。
みんなが施設に到着したら 施設の使い方や決まり事などを聞いた。日向達三人は聞く気がなく話していた。雫音は止めようとしているがやはりこの三人を止めることはできない。そこへ先生が
「高橋 立町 杉原 平井 静かにしろっ」
先生が久々に怒った。
「えっ 私も?」
雫音は話してないのに、怒られたので 驚き 半泣きになってしまった。それを見た日向は
「せんせーい 今話してたのは 俺と俊と香乃だけですよ。 平井さんは話してません。とゆうか俺達を止めようとしていました。」
俊と香乃は目をまるくした。
先生は
「おぉ そうか、すんな平井。近くにいたもんだから。」
「あ いえ 大丈夫です。」
雫音はホっとした。香乃は
「ちょっと日向、アンタと俊だけにしてよ。私の名前言わないでよ。」
と日向に言った。先生は
「おい立町、聞こえてるぞ。」
「はい すいません」
さすがの香乃でもみんなの前で注意されると顔が赤くなった。
長い説明も終わりグダグダとそれぞれの部屋に移動するとき、雫音は日向のとこまで走っていって
「高橋君 さっきはありがと。私がもっとはやく注意していれば・・・」
「全然いいよ。それに平井さんは話してなかったし。」
日向はニッと笑いその場を後にした。
みんなが部屋に移動し、昼食も食べたので今から、各班で出し物の準備になったのだ。
みんなはいろいろ準備していたが、日向達の班はもうクイズを考えてきたので、日向達はしゃべっていた。
「たぶん俺達の出し物が一番だよな。」
「日向そんなんでほんとに大丈夫なの?」
「あぁ大丈夫だよ。みんなが読む問題は出し物するときに渡すわ。それまでお楽しみね。」
まぁみんな日向はやる奴って知っているから反論はしなかった。