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花散る季節に  作者: タラ
2/9

五月

みんなと打ち解けたくらいに郊外オリエンテーションは始まった。おそいくらいだ。

だが

「班が気になる~ 日向、どう思う。」

いきなり隣の席の日向に聞いた。

日向は寝ていたらしく

「ん? お前に任せる」

などと言い、また寝始めた。

「班は男子二人、女子二人でひと班なー ちなみに男子と女子の組み合わせはお前らがきめていいよー。 あと各班で出し物考えてね。」

などと言い出した。勝手な先生である。それとも生徒を信じているのか。まぁこのさいどちらでもよい。クラスのみんなは

「男子と決めるのなんかハズイ」や「話したことないから不安、どうしよう」などと不安の声が上がっていた。

そんな中 

「おーい 日向、一緒の班になろうぜ。」

 日向に話かけてきたのは、短いポニーテールが似合い、男みたいなしゃべりかた、そして平均より少し可愛い女の子だった。日向に馴れ馴れしいのは、日向と香乃は幼馴染だからである。


女子の中で「えー 寝てばかりの日向君と同じ班になるなんて」 「うそー  香乃ちゃんが なんでー」などとヒソヒソ声がしていた。それを聞いていた香乃は

「コイツにイベント任せると楽しいんだぜー。まぁこいつ自分から話さないから仕方ないけど、 ねぇ雫音 コイツ同じ班でいいよね?」

ロングヘアーでおとなしそうな女の子が

「うん 香乃が言うなら私はいいよ。」

香乃は返事を聞くとすぐに

「はい じゃあうちらの班は決まりね。」

寝ていた日向は目を覚まし、腕を伸ばした。現在の状態が分からない日向は隣の席の俊に

「結局班はどうなった?」とドキドキしながら聞いた。

俊は苦笑いをしながら

「お前が寝ているから、香乃と同じ班になってしまった。」とやってしまったかのように答えた。日向は

「はぁー マジかよ それはヤバイじゃんか。 香乃はいろいろめんどくさいだろ。だってアイツ小学生の頃・・・うわっ」

「誰がめんどくさいって? もう一回言ってみなさいよ。 うん?」

後ろの席の香乃が日向の頭を力いっぱい抑える。

「おい 香乃 や、やめろ やめろって。」日向は必死に香乃の手をどけようとする。

「わかったわよ。てゆうか同じ班なんだから盛り上げてね。」

威張ったように香乃は日向に押しつける。困った日向を右後ろの席の雫音が

「高橋君、私も手伝うから。」雫音はおどおどしながら日向に話しかけた。

「雫音は気にしなくていいよ。日向に任せればいいって 私たちは何を持っていく~?」

香乃はもう関係ないかのように雫音に話しかけていた。

日向はもう逃げられないことを知っていたので

「はぁ~ もうやるしかないか。俊、今日オレん家に集合な。やるからには楽しいオリエンテーションにしないと。」

急にやる気を出した。そこで日向はいつもと違うことに気づいた。日向は後ろを振り向いて

「香乃 お前いつもは男みたいなしゃべり方なのに最近女の子っぽくしゃべっているのはなんで。」

香乃は窓の外を見ながら真面目な顔で

「私だって女の子だから。」

日向は驚いた。なぜなら日向は小さい頃から香乃とバカ騒ぎをしているときの顔しか知らないのだ。いや見たことあってもあまりシリアスな話をしないから忘れただけだ。



キーンコーンカーンコーン

ホームルームが終わるチャイムがなり、部活に行く人は急いで部室に、帰る人はぞろぞろと靴箱へ移動し始めている。

日向と俊はオリエンエーションの出し物を決めるため日向の家に行こうとしていた。そこへ     どんっ 後ろから香乃がタックルしてくる。そして香乃の後ろから雫音がゆっくりと歩いてきた。日向は振り向いて、タックルされた左肩を押さえながら

「香乃 お前用があるなら普通に話かけてくれないか?」

自分の意見を言ってみる。だが香乃は気にすることなく

「まぁいつものことじゃん 気にすんな。」

日向はダルそうに

「お前が言うなよ。」とため息の後につぶやいた。

香乃の後ろから

「ごめんね 高橋君。私が止めてればこんなことにはならなかたのに。」申し訳なさそうに話しかけてきた。日向は

「いやいや 平井さんは悪くないよ。だから気にしないでよ。」おどおどしている雫音に安心感をあたえた。香乃が会話に割り込んできて

「ちょっと日向、私にも優しくしてよ いっつも雫音には優しくして。」

香乃は少し喧嘩ごしに話かけてきた。日向は少しうっとおしそうに

「香乃には関係ないから。何?香乃に優しくする必要ないだろ。」

お互いが喧嘩のゴングを鳴らそうとしたとき俊が二人の間に入り

「まぁまぁそんなことより平井さん達は何しにきたの?」俊はあえて雫音に話しかけた。雫音は今しかないと思い口を開いた。

「あの 香乃が二人の うっ。」

口を開いたと思えば今度は香乃に口を抑えられる。そこで香乃が何かを隠すように

「あーなんかね 雫音が二人の手伝いをしたいって言うから 雫音が行くなら私も行くってことになったの ハハハー。」

思いっきり焦っていて真実はあまり隠せていなかった。

「まぁいいじゃないの。早く日向の家行こうよ。」

いきなり香乃は機嫌を直した。なぜなら今から話し合うのにケンカしていたら何にもならないからである。



学校から徒歩15分のとこに日向の家があった。俊は何回も日向の家に来たことがあり、香乃は家が隣なので、あまり新鮮な気持ちにはならなかった。一人だけ新鮮な気持ちになっているのがいた。そう雫音である。雫音は男の子の家に入るのは初めてらしく、少し緊張していた。隣で雫音の肩に手をおいて

「大丈夫。自分家だと思ってくつろいでよ。」

と、香乃が自分家のことかのようにOKサインをだした。日向はもうどうにでもよくなり、

「香乃ん家よりはキレイなんで、どうぞ上がってください。」

となげやりに言った。

「んー? なんか言いたー?」

香乃が反応してくる。喧嘩をしかけたのは香乃だろうに。

「また喧嘩みたいなことして。お前ら仲いいな。」

笑いながら俊が煽る。それを聞いて瞬間香乃は顔が少し赤くなり、それに比べ日向はめんどくさそうに

「どうでもいいわ。早いとこ出し物決めようぜ。」

このときは誰も香乃の気持ちに気づいてなかった。


部屋に入って話し合いをしていると雫音が

「この写真 香乃と高橋君だよね。幼いね。」

見たまんまの感想を口にした。それに続いて俊が

「でもそれ中学生の時だよ。野外活動が一緒の班になってバカ騒ぎしてる時の写真。あんときのお前ら見てるとこっちも面白くなったからな。」

そう、三人は同じ中学校だったのだ。

「毎日バカ騒ぎして、先生に怒られて、またバカ騒ぎして そんな繰り返しの日々だったよな。日向は懐かしい過去を振り返ってた。これからは雫音も巻き沿いだ。

「今日から平井さんも俺達の仲間な。」

日向がニッと笑う。雫音はうれしそうに

「私もみんなと仲間?」

「あぁ仲間だ。」

日向は強く口にした。

その後もいろいろと話し合いをした結果 日向たちの班の出し物はクイズに決まった。だがこのクイズは普通のクイズではなかった。それを知るのは郊外オリエンテーションの日である。



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