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 巨大な塔の入り口を抜けて、中に入ったレオたち。

「なんだろうね、この赤黒い天井と床と壁と…」

 辺りを見渡す。

「気持ち悪いよね…」

 天井は十分高いのに、かがんでそろそろと歩くメロン。僕も同じだけど。

カコン…

「ん?」

「どうした?メロン」

 先頭を歩いていたパープルさんが振り向いた。メロンは床を足でコツコツ叩いている。

「…ちょっとこの床が変な音したかな?って思って…」

コツコツ

 まだ気になるらしいメロン。僕も気になって近づいてみる。

「…」

「…変わんないよ?」

 僕も地面を足で叩いてみる。

「んー…。ほいっ」

 メロンがジャンプした。

「ちょっと待」

 パープルさんが何か言おうとした。

ぐるん

「わ!!」

「きゃ!!」


どさっ

 落下した。

「うわあ!」

「きゃう!」

 メロンの声ちょっとかわいかった。

「床が崩れたんだ!」

 天井を見る。

「崩れたんじゃなくて、回転したんじゃない?」

 メロンも天井を眺める。

「ここはどこだろう?」

 周りは壁も床も黒いレンガでできていて、前方には高い天井から格子が続いていて気味が悪い。

グルルル…

「…」

「…」

「どう考えてもさ…」

 微笑みを浮かべて目が泣いているメロン。

「へへ…食べられちゃうのかな…へへっへ…」

 自分でも気持ち悪い僕の声。

がらがらがら

「格子開いた…」

「格子開いたねえ」

 奥から出てきたのは牙の生えた口が顔の半分くらいを占めている、赤い顔をした獣。2人まとめて一口で食べられそうだ。

ぐぐぐぐ…ググググ…

「メ、メロン…なんで僕を前に出すの?」

「そ、そっちこそ私の手を引っ張ってどうしようと?」

するっ

 つかんでいたメロンの腕が抜けた。そしてあっという間に背後に回られた。

「うわああ!!嫌だあーー!!」

 メロンに両腕を捕まれて、背中を押されたけど、なんとか足を踏ん張らせる。

「犠牲になってー!お金ためて立派な墓立ててあげるから!!」

「食べられたらそんなの関係ないって!!」

グルルルル…

 ゆっくりと目の前で口が開く。

「押すなああ!!メロンんん!!」

 バタバタと体をゆすってメロンから逃れる。

「うわっとととと!!!」

 突然僕がよけたのでメロンが前に出てしまう。すかさず僕が後ろに回る。

「やめてよおおお!!男でしょ!?自分がががが、犠牲になって」

「もう知るか!そんなこと!!」

ガラガラガラ!!

 僕達が落ちてきた場所が崩れて人が降りてきて着地した。

「大丈夫か!?」

「パープルさん!?」

「下がってろ!!」

 僕とメロンは隅っこで固まる。

「おおおおお!!」

ドスッ!!ギュルアアアアアアア!!!

 パープルさんが突っ込んでいって獣の眉間に短刀を突き刺した。

グアアアアアア

「おっと!!」

 獣が叫んで腕を振り回して、パープルさんは後ろに飛んだ。

ドサ

 あっけなく獣は倒れた。

「…」

「…」

「……ごめん…メロン!自分が!…た、助かりたかったんだ!!」

 本音を言ってしまった。

「私も…ごめん!!」

 目から一気に涙が出てきた。

「うわああああああ!!」

 思わず、メロンに抱きついて泣きじゃくってしまう。途中で一瞬だけ正気に戻ったが後ろに回した腕を解けなかった

「うわあああああ…!!」

 メロンも僕の背中に手を回して泣いた。

「…お前らな…。まあ、何があったかはなんとなく分かったよ…」

 パープルさんの呆れたような独り言が聞こえてきた。

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