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カイト=フォーランド

意識が戻って目を開けたが、頭がボーッとしていてもやがかかったようにしか見えない…。どうやらベットに横たわっているらしい。まだ体には力が入らない。


(転移が終了したのかな?)


そのままじっとしていると徐々に目が見えるようになってきて意識もはっきりしてきた…。

ようやく体の感覚を感じられるようになったので首を左右に動かして辺りを見回すと、どうやら木造の部屋で転そこそこ立派な内装が平民では無い雰囲気を出している…。部屋にはランプのような明かりが灯っているが薄暗いのでどうやら夜らしい。


「カイトさま!」


声のした方を見ると20歳くらいのメイドさんが駆け寄りながらやって来た。

茶髪で栗色の目をした人だった。


「お気づきになられましたか!」


「あ…うん」と答えて身を起そうとすると


俺をすぐに横たえて、観察してタオルみたいな布で俺の上半身のを優しく拭きながら意識がはっきりしている様子をしばらく確認して「すぐに旦那様と奥様をお呼び致しますので、寝ていてくださいね」と言いながら部屋を出て行った…。

どうやら深夜か明け方か?急ぐ時にも音を立てずにドアも音を立てずに閉めて出て行った。



自分の体を確認。(手足も体も小いさい!)

色々動かしてみるが病み上がりな為か感覚は鈍い者の自在に動かせるのでホッと一安心。どんな人が自分の家族なのか不安は有るが、ワクワクしている気持の方が強い。

女神さまが言っていたように、地球の経験をこの世界で活かせるのか早く試したい。けれど、5歳児の自分でどうなのかなど色々と楽しみな自分がいる。


そう言えば…今きづいたのだが、言葉まさに日本語だった。

メイドさんが北欧風の顔立ちだったのに日本語って違和感有りまくりだけど、きっとリソースが足りなくて新しい言語とか作れなかったんだろうな~と勝手に女神事情を想像してみる。


妄想にふけっていると、部屋の外(多分廊下)から複数の足音が聞こえてきて、「本当か!」「ええ、意識もしっかりしていらっしゃいます」…などと会話しながら近づいてくるのが分かる。



ドアが開いたとたん、「カイト!」と大声を出しながら駆け寄ってくる大柄の男性!体がハリウッドのアクション俳優のような均整の取れた体つきでかつイケメン!「(さすが異世界!)」と思ってしまう海人の自分と、「お父さん!」と声に出しているカイトの自分がなんとも微妙な入り混じった感じを味わっていた。


その直後、「カイト目が覚めたの!大丈夫?」と言いながらやって来る綺麗な女性。金髪で温和な感じの女性で金髪だけど何となく東洋人に近い顔立ちをしていた。

「(この人が母親か)」と思いながらも「お母さん。もう大丈夫だよ」と答えている自分がいる。

この海人とカイトの狭間の揺らぎのような感覚。しばらく続くのかな~?



お母さん(と呼ばれた人)はベットの近くの椅子に座って、俺の手を握ったまま涙を流しながらしばらくそのままでいた。

その手から暖かいエネルギーがどんどん体に流れてきて、自分も何だか体だけでなく心まで温かくなってきた感じがして自然と涙を流している自分がいた…。前世では両親の愛情を経験する機会が全くなかったので初めて感じる感覚にただただ涙する事しか出来ないでいた。

ついさっきまで「(母親らしき人)」みたいな感覚はすっかり消え去り「(本当の)お母さんなんだ!)」と強く感じている。


お父さんの方はお母さんの隣の椅子に座りながらその様子を温かい目でじっと見つけていた。

ただ見つめられているだけなのに、温かいまなざしが自分の中に入ってくるような感じに伝わってきて「(これがお父さんの愛情なんだ…)」としみじみ感じていた。


・・・


どれくらいたったのか、夜が明けて来たのか室内が段々と明るくなってきた。


皆が静かにしていた時、俺は頭の中で海人とカイトの魂が融合した事、女神に言われた事などをどれだけ話すか考えていた…。

海人だったころは演技もしたこと無ければおぼろげな記憶しかないカイトを演じきれると欠片も思えないので話さないという選択支は最初から無い。黙っていた方が病気か何かを疑われて大問題になることが分かっているので。


では全てをそのまま話すかと言えばそれは考えていない。原因不明で《《死にかかっていた》》とか《《海人の魂と融合した》》とか衝撃が強すぎて受け止められないかもしれない。せっかく喜びに満ちている二人が悲しんだり酷くショックを受けるかもしれない…。

さっきの不思議な体験で二人を本当の両親と実感出来たので、その二人を悲しませたくなかった…。それで出した海人の結論は…


「お父さん、お母さん、夢の中で大事な事を思い出したのですが・・・あまりに突拍子もないことを言うかもしれないけど、本当に思い出したことなので聞いて下さいますか?」


二人は今まで話したことの無い丁寧な言葉遣いのカイトの様子にただならぬものを感じつつも、カイトの真剣な様子に

「あ・・・ああ、分かった」「なんでも話して」 と答える。


二人にどう思われるか、もしかしたら怖がられたり捨てられたりしないか…などと色々思考が湧いてくるが、とりあえず勇気をもって話しはじめた。

「実は…自分は前世の記憶を思い出したんです!」


 ・・・


「「なんだ、そんな」」


「え?」


「いや…真剣に話してくれたのに『そんな事』などと言って悪かった。あまり積極的に話す事でも無いしカイトは5歳だからなおさら知らなかったと思うが、前世の記憶を持っている人間は結構いるぞ! この俺も農民だった記憶は薄っすらだが持っているからな」

「領主(貴族)という立場上、あまり他人には言えない事だがな。そういう事だ。だから安心して良いぞ!」


カイトの記憶には領内に抱っこされて連れまわされたとき、領民に慕われ、誰とでも気さくに会話している姿があったが《《良い意味で》》貴族らしくないのは人間性だけでなくそういう事も起因しているのかも?


「ありがとうございます。ただ、それだけでは無いのです。前世と言っても他の世界の前世なのです」


「他の世界?」


「はい。日本という国で、霧島海人という名前で成人ぐらいの年まで生きていました」(何となく両親とほぼ同年代とか言いづらく、ごまかした。こっちの成人は15歳らしいけど地球では20歳だし、嘘では無いよな)


「そんなに詳しく覚えているのか…」


その後、日本というこことは違う世界(転生前の地球)の説明や気功という魔法に似た事をやっていてそれをこの世で活用してみたいことや、両親は死んで祖父も死に、天涯孤独だったことなどを語った。二つの魂が融合したなど言わず、ただの転生者だと伝えた。

そしていちばん嬉しい事として、二人の元で暖かい愛情を感じられたことを伝えた。伝えているとまたなぜか涙が出てきた…。前世では泣いた記憶などほとんど無かったのに。


「話はわかったぞ。ただ、この話は信頼出来るものにしか言わない方が良い。当分の間は家族以外に話すなよ」


父いわく、日本という国からの転生者の話は噂程度で有るにしろ、聞いたことがあるそうだ。メジャーでは無いので話せば間違いなく目立つとの事。



ただ、外部に話してはいけない最大の理由は教会の存在だった。

現時点では海人とカイトが混在しているのでややこしいですが、徐々に融合はすすんでいるので、途中からはカイト表記のみになっていく予定です。


カイトの両親である領主夫妻の年齢は30代で海人が外見から同年代と勝手に推測しています。

この世界は魔素に満ちているので成長は早いが成長が終わった後の老化がしにくい設定です。

海人はまだそれを知りません。

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