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 早朝のことであるから営業しているお店は一切なく何の因果かこの通りに三つくらい営業を始めたテナントがあったがどれも敗退しそうであった。ここら辺は本当に寂れているのか、活性化しているのかよくわからないが、昔で言ったらデパートみたいなお店の集まりが定期的に撤退しては別の店が並んでの繰り返しであり、全く寂れてないが出店したら収支は合わないというところなのであろうか。


 そんなところにポツンとサンドイッチのお店がやっていてその店が六時開店で、たまに通りかかるとよく人が前の道路に車を停めて買い求めているのであった。今回もおばさんがショウケースを眺めているのであった。私は中に入ることもできたが、近年、流行病などで、色々うるさいことであるから、外にいて待つとこにしたのだった。しかし、そうしていると私の後ろにも人がいて、中に入りたがっているので、中に入ることにする。


 足を引き摺りながらである。その時、着ていた外套は、まるでホームレスのように少し薄汚れており、ラクダのような色をしたジャケットで、頭はボサボサで髭も剃らず、私は、まるで、落ちぶれた老人のようなしがわれた声で、サンドイッチを頼んだのであったが、もう一つ食べたいものがあった。


「コココ、コロッケ、クロールください」


と、私はようやく声を捻り出したのである。カウンターの向こうは作業所になっていて、家族たちが台の上でサンドイッチを作っているのであるが、その時、押し殺したような笑いが響いた。そして、レジをする中年女店員にもそれは伝わったようでクスクスと笑いを堪えながら会計をしている。


 私もその時すぐに、「あっ、コロッケロールだ。間違えた」とか反応すれば良かったのであるが、寒さと回復しない足の痛さのためにそれをする気力もなかった。昨日の朝の激痛のことばかりを考えていたからだ。しばらくたってから、私は、


「いや、別に笑ってもいいんですよ。ほら、笑いを我慢するというのは体に悪いですからね。かく言う俺も、何で、クロールなんだよ。って自分で、思いましたからね。泳ぐのかよって」


と言っておいたが、あまり反応はなく、次の客が待っていたので、私は紙パックに入ったサンドイッチを手にお店を出たのだった。


 きっとあの人たちは、私のことを気の毒な人だと思って、わざと我慢したのだろう。だが、少なくともあの時、私は気の毒な人と同じ状態だった。

 

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