19. 儀式
よろしくお願いします。
マルクスやエルナと一緒に出店の料理を食べ歩いたり、広場のステージで開催されているコンサートやダンスを見物しながらお祭りを楽しんでいたオレ達。
そろそろ時間も昼にさしかかる頃になり、マルクスとエルナが家に帰ろうかと話していたところに、ふと大きな太鼓の音が鳴り響いた。
何かと思って見ると、アインクル湖の桟橋から1艘の小舟(オレ達が昨日乗ったボートよりは少し大きい)が出て、対岸の方に向かってゆっくりと進んで行く。
小舟には2人の人が乗っていて、1人は村長でもう1人は漕ぎ手、2人とも正装している。
「あれは?」
「お祭りの儀式だよ。村長が湖の向こう側にあるヌシ様を祀ったお社に湖のお恵みと、今年も平和に過ごせますようにっていうのをお祈りして、それからお供え物をするんだ」
「ほう」
見ると、広場の湖の前には祭壇のようなものが建てられて、そこにたくさんの酒や肉や野菜、それから料理などが供えられていた。
あのお供え物は村の人達が自主的に持ち寄って供えるものなのだそうで、マルクスの家からも毎年クンツさんが腕をふるった料理が供えられているとのこと。
なんだか、地球の神社とかと同じようなことをやっているな。
世界が変わっても、人間考えることはそう変わらないということなのかもしれない。
お供えの食べ物は露天に出されているのにもかかわらず鳥などに食べられてしまうことが無く、また誰かが片付けるわけでもないのに明日の朝になるときれいになくなっているのだそう。
やっぱり湖の主が食べているのだろうか。
不思議なこともあるものだ。
「マルクスとエルナは、これから家の手伝いをするのか?」
「うん。これ見たら一緒に帰るよ」
そんなことを話しながら、湖の中ほどを進んで行く小舟を眺めていた、その時だった。
突然、湖の対岸のお社の上空に赤く輝く円形の紋章のようなものが浮かび上がった。
「おい!」
「なんだありゃ!?」
「タマさんあれ何!?」
「わからん!何かあるといけないから、3人ともオレの後ろに下がれ!」
オレ達を含む広場の群衆がざわめく中、ふと横にいたミズキが「あれって、魔法陣……?」と呟くのが聞こえる。
対岸の上空に浮かんでいた魔法陣が一際強く輝いたかと思うと、次の瞬間魔法陣の下にあったお社が大爆発を起こした。
「うわあ!」
「主様のお社が!」
広場の人達から、口々に悲鳴が上がる。
上空にあった赤い魔法陣はお社の爆発とともに消えていたが、続いて元お社があった場所に立ち込める土煙の中から数本の赤い光の筋が走り出た。
光の筋は湖の表面を駆けめぐり、立て続けに水の上で爆発が巻き起こる。
「何だ!?何が起きてるんだ!?」
「村長!!」
さらにパニックになる湖畔。
湖の中ほどにいた村長達の小舟は爆発の大波にあおられて、今にも転覆しそうになっている。
爆発の衝撃で広場にあった祭壇はひっくり返り、お供えの食べ物が地面にぶちまけられる。
もったいない。
そんな混乱の中、オレの耳に「バカな、早すぎる!」「これでは予定が……!」という声が聞こえてきた。
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